NYの視点:トランプ米政権、ドル高容認
ドル指数は14カ月ぶりの高値を更新したが、トランプ米大統領は米国経済が強く、「めったににないほど、資金が大切なドルに流入している」とドル高を歓迎する発言をした。トランプ大統領は選挙時から自国通貨安を誘導し貿易の競争力を強めている諸国を度々批判、「ドルは強すぎる」としてきた。このため、米国が「強いドル」方針から、ドル安誘導に転じたとの見方も強まった。常にドル強気派のクドロー国家経済会議(NEC)委員長もインタビューで、「強いドルは世界の米国への信頼のあらわれだ」と強調。2018年の最大のイベントは「経済ブーム」で、まだ始まったばかりだと自信を表明した。
クドロー委員長はまた、今月、世界経済の成長を脅かす貿易摩擦の深刻化を鎮めるために、中国が代表団をワシントンに送ってくることを確認した。米国経済の強さを強調する一方で、中国経済が鈍化の貴重にあり、悲惨な状況だと訴えた。今回、強気であった中国が米国の招請に答えたのも、景気の鈍化や資本流入に滞りが見え始めたことが背景にあると考えられる。
通貨問題などを担当する財務次官(国際問題担当)デビッド・マルパス米財務省次官級が率いるグループと協議すると、クドロー氏は記者団に明らかにした。中国側は商務次官が協議に参加。あくまでも対等な立場で、保護貿易主義への反対をあらためて表明するとした。この会合は、6月3日に中国で開催された米中高官による協議が物別れに終わって以来、初めての会合となる。
米国はすでに340憶ドル規模の中国産品に関税を課している。さらに、2160億ドル規模の中国産品に関税を賦課する計画を発表している。これに対し、中国も報復関税を発動。ムニューシン米財務長官、クドロー国家経済会議(NEC)委員長とのハイレベルの貿易協議に発展することができるかどうかに焦点が集まる。
世界経済を抑制する可能性があると警戒される米中貿易関係が改善した場合、米国政府のドル高容認もあり、ドルが本格的に上昇する可能性がある。
《CS》
提供:フィスコ