川重、今期経常を31％下方修正

会社側からの【修正の理由】

売上高は前回（１月31日）公表値から150億円減少の１兆5,750億円、営業利益は航空宇宙事業およびガスタービン・機械事業等の増加があるものの、車両事業における損失の計上により約140億円、　円高の影響により約20億円の減少もあり、90億円減少の530億円となる見通しです。経常利益については、営業利益の減少に加え、為替差損として約30億円、一部固定資産の売却益約30億円を特別利益に振り替えること等から、前回公表値から170億円減少の385億円、親会社株主に帰属する当期純利益については105億円減少の230億円となる見通しです。１．車両事業における損失の計上　(1)　米国車両案件における採算の悪化　当社は米国法人Kawasaki Rail Car, Inc.を通じて、ニューヨーク州交通局傘下のロングアイランド鉄道とメトロノース鉄道が共同で調達する通勤電車を2013年に受注しております。当該案件では、契約済み92両および客先のオプション行使による追加車両（250両）の発注を想定し、プロジェクトに取り組んで来ました。現在、米国において量産先行車の性能確認試験中であり、量産車についても米国工場にて順次生産を開始しておりますが、以下の要因により受注工事損失引当金約130億円を計上する見込みとなりました。・想定していた追加車両の発注両数が大幅に減少することが確実となり、資材費等のスケールメリットおよび生産における習熟効果等が限定的となったこと。・客先からの設計変更要求への対応による工程遅れ等によりコストが増加したこと。・ロングアイランド鉄道とは、設計変更要求に起因する追加代価や契約納期延長に関する協議に加え、契約の定めに基づき調停人を選任し、オプション行使の条件に関する交渉を重ねてきたが、本日（３月30日）時点でも合意に至っていないこと。なお、ロングアイランド鉄道とは引き続き上記に記載の条件面での交渉を継続していきます。　(2)　N700系新幹線台車枠の交換に伴う費用　２月28日の報告の通り、き裂発生台車枠と同じ仕様で当社が製造したN700系台車枠について、側バリ下面の板厚が設計要求値を下回っていることが判明した台車だけでなく、超音波探傷により何らかのきずが存在することが疑われる台車枠についても、当社の判断で交換する予定です。　本件に関しては客先と対応協議中ですが、台車枠交換に伴う費用を約10億円と見積もり、保証工事引当金に計上する見込みとなりました。なお、再発防止に関する進捗状況については、本日（３月30日）公表の「全社品質管理委員会の設置について」をご参照下さい。(3) 車両事業の収益改善に向けた取り組み　現在、車両事業においては、採算を重視した選別受注をこれまで以上に徹底しており、その方針のもと2018年1月に受注した大型案件のニューヨーク市交通局向け新型地下鉄電車「R211」（オプション含め最大1612両、受注総額約37億米ドル）にて、2021年から2025年までの収益確保を見込んでおります。　また、将来的にはこれまでの車両納入実績が寄与して部品・改造工事案件が国内・海外で拡大すること、北米貨物事業者向け軌道モニタリング事業も具体化してきていること、アジアにおける都市交通・高速鉄道の需要も拡大すること等から、車両事業においては、収益性の高い分野への経営資源シフトを行うとともにコスト競争力を更に強化し、事業構造の抜本的変革を進めていきます。２．その他　本業績見通しの修正に伴う年間配当予想額の変更は行いません。