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2017年5月10日 20時00分
特集

始まった「5G関連」資金流入、観測“外国人投資家”ホンキ買い <株探トップ特集>

IoT時代到来で熱視線、海外勢買い越し8500億円超の行き先―

東京株式市場は4月下旬を境に急速な戻り足に転じ、日経平均株価2万円大台を指呼の間にとらえている。4月下旬以降の出直り相場を牽引しているのは外国人投資家で、4月第4週は現物で約2800億円、先物で約5700億円を買い越している。

その外国人投資家の買い対象は好業績の主力株が中心とみられるが、国内準大手証券ストラテジストによると「インデックス的な買いを除けば、個別銘柄の買いは目先の決算発表で選別するほど単純なものではなく、(外国人投資家は)もう少し長い目で見ている。安倍政権が東京五輪開催年である2020年をメドに打ち出している“国策銘柄”を買い直す動き」という指摘がある。その際に、改めて有力視されるテーマのひとつとして「5G(第5世代移動通信システム)」関連銘柄が浮上している。

IoT時代に必須のインフラとなる「5G」

工場の生産ラインや産業ロボットはもとより、家電や住宅、自動車などあらゆるモノをインターネットで接続するという概念は、今でこそ「IoT」という“Internet of Things”の頭文字3文字で当たり前のように表現されている。しかし、実際に本格普及する段階では多くのハード面の技術を必要とする。3年後の20年には500億台の機器がオンライン化されるとの試算があるなか、部品としてはセンサーデバイスが重要な役割を担うことになるが、インフラ面では次世代通信規格である「5G」が必須となってくることは意外と認識されていない。今、この5G分野でビジネスチャンスをつかむ銘柄群に、海外マネーも含めたマーケットの熱い視線が注がれ始めた。

安倍政権では、LTEの1000倍以上の大容量化と10Gbps以上の通信速度を実現する5Gの商用化に向け17年度から実証実験を開始、総務省が今夏にも5G向け周波数帯について取りまとめる方針とされ、IoT時代に向けた布石を漸次進めていく構えだ。5Gの国際規格については18年中にも決まる見通しにあり、20年には国内で商業化される運びとなる。言うまでもなく、このスケジュールに間に合わせる形で急速な設備投資需要が立ち上がることになる。

●トヨタ-NTT連合で技術開発を推進

既にトヨタ自動車 <7203> とNTT <9432> は自動車・超高速無線通信技術での提携を図る方向にあり、国内大手自動車メーカーと、通信メガキャリアが同分野で提携するのは初の事例ということもあって、話題となった。トヨタが経営資源を注ぐコネクティッドカーはIoTの一形態といってよく、そこでも5G技術の導入が前提となる。このほか、遠隔医療などでも5Gは普及のカギを握るキーテクノロジーだ。これにとどまらず、今まで困難であったサービス実現に向けた可能性が、今後は大きく広がっていくことになる。

現行のLTEはいわゆる4Gで、既に移動通信システム初期の1Gに比べ100万倍の通信速度を持っている。しかし、IoT時代では前述の高速・大容量化はもとより、多数同時接続などの通信技術が求められ、4Gに代わってこのニーズに応えていくのが5Gだ。多数同時接続については1平方キロメートル当たり100万台の端末接続が可能となるといわれている。

●「5G」関連の象徴株として買われるアンリツ

関連銘柄の筆頭格として昨年秋口以降、株価を急動意させているのがアンリツ <6754> だ。株価は2014年7月以来、約3年ぶりの4ケタ大台が目前。18年3月期は最終利益段階で前期比2ケタ増益の30億円を見込んでいるとはいえ、それでもPERは43倍台と決して割安とはいえない。しかし、株価は利益確定売りをこなしながら上値指向を継続、目先ではなくIoT時代に収益が変貌する可能性を反映しているようにもみえる。なぜなら、同社は通信機器向け計測器で世界屈指、5G向けソリューションで圧倒的な存在感を有しているからだ。

アンリツでは取材に対し、今後想定される5G市場の規模感については言及を避けたが、同分野に注力姿勢をみせている点については肯定している。「基地局との通信環境、具体的には建物などに反射する電波の衰調をテストする技術を持つ米国のアジマスシステムを昨年9月に買収し、フェージング(電波の受信レベルの変動)に関するソリューションを強化した。その他の5Gに関する技術開発も社内で漸次進捗させている」(会社側)という。また、路車間通信や車同士の通信をコンセプトとするコネクティッドカーの普及については5Gが前提となるだけに、「自動車業界が当社の新たな顧客となる可能性は意識している」(同)と期待感をのぞかせている。同社株が昨年12月以降、直近高値まで時価総額が1.7倍となった背景には、そうした可能性をマーケットが読んでいるからにほかならない。

アンリツの株価はきょう(10日)まで9連続陽線と異彩を放ち、売買代金にも厚みが加わるなかで機関投資家とみられる継続的な買いが観測されている。くしくも外国人投資家のテーマ買いの動きが観測されるなか、市場では「(アンリツの買い主体は)比較的足の長い海外のファンド系資金ではないか」(準大手証券ストラテジスト)という見方も出ている。

●活躍余地が広がるアルチザ、PALTEK

このほか、5G関連として注目される銘柄としては、高速データ通信向けなどに強みを持つ通信計測機メーカーで、C-RAN基地局の性能を測定する計測器をワールドワイドに提供、5G対応のデータ処理迅速化などの開発に傾注するアルチザネットワークス <6778> [東証2]や、ASICやFPGA、GPUなどに強みを持ち、5G通信機器分野の需要開拓に前向きに取り組んでいる電子デバイス商社のPALTEK <7587> [東証2]などが挙げられる。また、通信系システム開発会社のアイレックス <6944> [JQ]も、通信インフラ設備で先頭を走るNECグループを主要取引先としており、スマートフォンでは5G対応の開発に注力、グループを挙げてIoT分野に照準を合わせ需要取り込みに虎視眈々だ。

コネクティッドカーでは必須アイテムとなる車載用アンテナを手掛けるヨコオ <6800> も5G対応のアンテナ開発を進めており要注目といえる。同社はマイクロウェーブ技術や微細精密加工技術などを駆使して低周波帯から高周波帯まで対応可能な統合アンテナを開発、大量生産に伴い業績飛躍のチャンスを待つ。一方、原田工業 <6904> [JQ]もマークしたい。同社は自動車用アンテナのトップメーカーで、日本アンテナの車載用アンテナ事業部門を譲受し国内シェアを拡大、19年3月期に売上高営業利益率10%以上を目指す中期計画を掲げるが、コネクティッドカー普及に並行した5G特需も当然ながら視野に入ってくる。

●デンソーは台風の目、JIG-SAWの人気再燃も

次世代通信制御システム構築や通信網のメンテナンスを手掛けるネクストジェン <3842> [JQG]は5G技術分野で主導権を握るNTTドコモ <9437> との連携が強力な点が評価材料。今年2月には協和エクシオ <1951> と資本・業務提携し、高付加価値サービスの提供や新規顧客の開拓に動き出しており、来るべき次世代通信網に対応した布石を着々と進めている。

国内自動車部品最大手メーカーのデンソー <6902>自動運転車開発の急先鋒、IT機器に強く通信インフラ設備のトップメーカーであるNEC <6701> とも提携関係にあるほか、富士通 <6702> のカーナビ関連子会社を買収するなど自動運転分野における技術の集約・強化に動いており、5G分野での合従連衡でも台風の目となりそうだ。

情報機器輸入商社の理経 <8226> [東証2]は官学との連携で強みを発揮しているが、5G実用化におけるサービスでも先駆しそうだ。4月にはアルチザと販売代理店契約を締結しており、今後の連携にも注目が集まりやすい。

ネット環境の自動監視システムを提供するJIG-SAW <3914> [東証M]はIoT関連の課金サービスを開始、成長期待が高まっているが、5G分野でも活躍が有望視される。LTE技術に特化した製品の開発と販売を行うイスラエルのアルティア社とは4Gだけではなく、5Gを含む将来提供予定のすべてのチップで包括技術ライセンス契約を締結、株式市場でも物色人気が再燃する可能性があろう。

このほか、富士ソフト <9749> 子会社で通信機器を主力に手掛けるサイバーコム <3852> はカーナビなど自動車関連ソフトへの展開が厚いほか、次世代ネットワーク制御・監視システム開発で実力を有し、5G分野での展開に思惑を内包している。

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