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2017年6月2日 19時06分
特集

完全突破“2万円”、上値追い加速の真相と「これから買うべき株」 <株探トップ特集>

―国際比較で割安感、必然の上昇と15年6月高値2万952円突破への期待感―

近いように見えて遠かった日経平均2万円、2日の東京株式市場は満を持してこの大台をクリア、にわかに“上げ潮相場”の様相を呈している。

寄り後早々の9時8分にその時は訪れた。日経平均株価は162円75銭高の2万22円78銭をつけ、取引時間中としては15年12月2日以来、ちょうど1年半ぶりにこの因縁場ともいえる上値のフシを突破した。

●“離れ小島”形成後の怒涛の切り返し

振り返れば5月大型連休明けに全体指数は上に放れ、一気に投資家心理も強気に傾いたが、日経平均は5月11日にザラ場高値1万9989円、同月16日には1万9998円まで買われたものの、わずかに届かず大台替えはお預けとなっていた。18日には前日の米株急落を受けて日経平均はマドを開けて売られ、目先天井を示唆する典型的な離れ小島“アイランド・リバーサル”を形成、市場には落胆ムードが漂ったが、それだけに今回の2万円大台回復はマーケットの体感温度を急上昇させるに十分なインパクトがあった。

大引けの日経平均は前日比317円25銭高の2万177円28銭と、2万円ラインは通過点だといわんばかりの大幅高を演じ、東証1部の売買代金も3兆2200億円強と大きく膨らんだ。水準的には15年8月19日以来約1年9ヵ月ぶりの高値圏に歩を進めた。

前日の米株高に追随したとはいえ、トランプ相場主導の展開から日本株は徐々に独り立ちの様相をみせつつある。東証1部銘柄の平均PERは15倍台、日経平均採用銘柄ベースでは14倍前後にすぎず、割安感が意識されるなか国内外の機関投資家にとって、持たざるリスクが浮上している。目先は北朝鮮を巡る北東アジア情勢の緊迫化や、米トランプ政権のロシアゲート疑惑など海外政局を含めた地政学リスクが重荷ではあるが、株価形成の基本であるファンダメンタルズが強ければ、それを反映する形で株式市場は上値指向を強める、という相場の摂理が今回も証明される格好となった。

●実態はなお割安で“アベノミクス天井”突破へ

市場では株価の先行きにも強気な意見を唱える向きが多いようだ。見方を変えれば、これまで日経平均が2万円の壁を破れなかったという事実に対し、地政学リスク以外に確固たる根拠が見当たらなかった、ということの裏返しといえるかもしれない。

東洋証券ストラテジストの大塚竜太氏は、「きょうの相場展開を見てもわかるように、“2万円”は道路標識のようなもので、単なる通過点に過ぎない。前日時点でPERは日経225ベースで14.16倍と明らかに割安感があった。仮に15倍とすれば日経平均は2万1040円弱。そこまでは、バリュエーション的に何の問題もなくクリアできる水準とみている。しかも、企業の為替レートは実勢よりも厳しめにみており、その分だけ伸びしろがある」と指摘する。アベノミクス華やかなりし頃の15年6月24日に日経平均株価はザラ場高値2万952円をつけているが、自然体でそこを上回るような展開が十分可能という見方だ。

また、北朝鮮問題についても、大塚氏は「かの国の瀬戸際外交は今に始まったことではない。暴発リスクはないのかといわれれば、100%ないと断言できる材料はないが、これまでと状況は基本的に変わっていない。越えてはいけないラインを跨ぐことはしない。核実験を封印していることをみても、それは明らかで、海外投資家もその辺の事情はよく理解しているはず」という。

機関投資家はミクロにせよマクロにせよ、あくまで経済的な側面から株式市場を評価するという不文律があるとし、北朝鮮問題の内実はともかく、この問題で日本株だけが買えないというのはナンセンスであるということを主張している。

●既に17年ぶり高値圏走るドル建て日経平均

一方、松井証券シニアマーケットアナリストの窪田朋一郎氏は「ドル建ての日経平均はこれまでも決して逡巡していたわけではない」という。いわく「(ドル建て日経平均は)一貫して右肩上がりで、既に2000年4月以来17年ぶりの高値圏を走っている状況にある。また指標面でも、英国ではPER20倍近くまで買われており、米国以外の他の先進国と比べても日本株の割安感は顕著。外国人も手を拱(こまぬ)いていたということはなく、最近はしたたかに日本株を買い集めるような動きをみせていた」とする。上値メドについて窪田氏は、やはり2万1000円を次の目標ラインとみているようだ。今後、物色対象として注目されるセクターについて、「単刀直入に株式市場活性化で恩恵を受けるところに注目。一つは売買手数料の増加やファンドの運用成績向上などが見込める証券株。もう一つは、株高資産効果で消費需要が喚起される百貨店株に水準訂正余地が意識されるだろう」(窪田氏)としている。

●懐疑的な見方をやめた国内機関投資家

ブーケ・ド・フルーレット代表の馬渕治好氏は「ここ信託銀行経由で国内年金系資金の買いが観測されている。いわゆる足の長い資金だが、これまでは為替の円高警戒感が日本株のバリュー面に対する懐疑的な要素として買わない理由となっていた。しかし、実勢の為替相場を見て会社方針として運用スタンスを変更した可能性が高く、これが6月相場入りにタイミングを合わせて顕在化した」と指摘する。この日の日経平均の戻り足に弾みがついたことについては「デリバティブ絡みのポジションの巻き戻し(空売りの買い戻し)が反映された可能性が高い。ただ、これは一過性の買い需要としても大勢上昇波はこれからも変わらないだろう」(馬渕氏)という見解をみせている。馬渕氏は銘柄的には「世界的な景況感の改善を背景に安川電機 <6506> やキーエンス <6861> のような設備投資関連が今後高いパフォーマンスを見せるだろう」という。

●米利上げポジティブ相場なら日本株には好都合

また、以前のような日米「二人三脚」の上昇相場ではなく、トランプ相場との連動性が薄れつつある東京市場だが、結局は米国株の動向がカギを握っているという見方を示すのは株式評論家の植木靖男氏だ。「今の米国株の強さは金融相場ではなく、米国の実勢経済の強さを映し出したもの。今後、経済の強さを再認識する形で米長期金利は再び上昇傾向を強め、為替のドル高・円安を後押しするだろう。利上げをポジティブ評価する米株高は、日本株にとっても為替動向などを含めて心地よい環境を作る」(植木氏)と、相場が好循環に動き出したことを指摘する。そのなか植木氏は「トランプ相場の初動で注目され、その後調整局面に入った三菱UFJフィナンシャル・グループ <8306> をはじめとするメガバンクの再上昇に期待したい」としている。

●利益確定売り圧力も意識される局面に

もちろん、今後の日本株について本格的な上げ賛成相場に入ったとみている市場関係者ばかりではない。SMBC日興証券投資情報部部長の太田千尋氏は、「(日経平均2万円大台回復は)6月に新しい運用がスタートしたという背景に加え、日米ともに経済が強いという環境が後押しした。米国の6月利上げは確実視されるとして、直近はADP雇用報告などを受けて、9月利上げについてもこれまで通りメーンシナリオとするコンセンサスが出来上がった形だ。ただし、日経平均2万円大台はこれで盤石かといえば決してそんなことはなく、利益確定売り圧力も意識されるなか、6月中は2万円ラインを挟んでの浮沈を繰り返す展開となっても全く違和感はない」としている。中期的に上昇余地は広がるとの見方だが、足もと上値追いが加速するほど、地合いは強くないという冷静な見方を示している。

米5月の雇用統計発表を通過すれば、いよいよ6月13~14日の米連邦公開市場委員会(FOMC)が待つ。ここでの利上げは既定路線ながら、年末をメドとした債券再投資の縮小シナリオがどの程度マーケットに影響を与えるのかは未知数だ。「セル・イン・メイ」を逃れた日米株式市場だが、この6月相場は中長期上昇トレンド継続に向けたひとつの大きなヤマとなりそうだ。

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