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2017年7月3日 19時30分
【特集】 圧勝“小池新党”は株高の扉を開くか? 再検証・東京市場の行方 <株探トップ特集>


―アベノミクスへの打撃懸念も全体相場は頑強、関連株の動きを追う―

 2日に投開票が実施された東京都議選の結果、小池百合子知事が率いる地域政党「都民ファーストの会」が追加公認を含めて55議席を獲得し第1党の座を占めた。また、公明党などを合わせた小池支持勢力で79議席と過半数(64議席)を大きく上回った。半面、自民党は選挙前の議席数57が半分以下の23議席に激減する大敗を喫した。安倍晋三内閣の今後の政権運営に不透明感が浮上するなか、株式市場などへの影響と、小池知事の掲げる政策に関連する銘柄を探った。

 都議選での自民党の大敗で、安倍政権への批判が現実のものとなり、「安倍1強体制」に大きな打撃を与えることとなった。ただ、3日の市場では寄り付き前に発表された日銀短観6月調査の結果が市場予想を上回ったことや、現地4日の独立記念日による米株式市場の休場に関連して、海外投資家の動きがまだ本格的に反映されていないことなどから、日経平均株価は小康状態を保ち、3日終値は前週末比22円37銭高の2万55円80銭となった。都議選の株式相場、外国為替市場への影響と今後の見通しを第一線の専門家3人に聞いた。

●東洋証券ストラテジスト 大塚竜太氏

「1強体制の驕りを改め政策原点に回帰」

 都政と国政は違うという見方もあるが、今回の「都民ファーストの会」圧勝は自民党に対する国民の現状の認識に近いとみられる。安倍政権も1強体制で楽観していた部分もあったと思うが、驕(おご)ることなく“国民ファースト”で仕切り直す必要があることを示唆している。これは少し長い目で見れば政策面を決して疎かにできないという意識を現政権に与えるという点で、株式市場にとっても良い方向に作用するとみている。

●上田ハーロー執行役員 山内俊哉氏

「アベノミクス路線の修正を警戒」

 自民党内の「安倍1強体制」に、揺らぎが見えたことが今回の都議選の意味だと思う。今後の世論調査を確かめる必要があるが、状況次第ではポスト安倍の候補として、麻生財務相や石破氏が浮上する可能性もある。麻生氏が浮上した場合、財務省の意向が強く働き、消費増税の実施や黒田日銀総裁の再任が不透明となることも予想される。市場はアベノミクスの株高・円安路線が修正されることを懸念している。当面の為替相場は、株価に左右される展開が続きそうだが、今回の自民惨敗は相場に円高の芽をはらませるものになったと思う。

●証券ジャパン調査情報部長 大谷正之氏

「信頼回復へ経済政策強化の可能性も」

 都議選での自民党の後退は、事前にある程度想定されてはいたものの、都民ファーストの会との議席数の差が、予想以上に拡大したとの印象がある。これによって、内閣改造の時期が早まるなどの影響が出る可能性はあるが、当面の株式マーケットへの影響は軽微とみている。安倍政権としては信頼回復に向けて、やや即効性のある経済政策を打ち出してくる可能性もありそうだ。

●改めて注目を集める小池知事「東京大改革」関連銘柄は?

 「都民ファーストの会」が掲げる「東京大改革」。その実現に向けた具体的な重点政策として「都民の食の安全と安心を守る」、「格差と段差をなくす」、「受動喫煙対策を実施」、「女性とシニアの力をもっと活かす」、「待機児童という言葉をなくす」と5項目を挙げている。

●無電柱化が加速する可能性も、ゼニス羽田など注目

 昨年夏の都知事選以来、小池知事が減災などの観点から無電柱化(電線地中化)を提唱し、都民ファーストの会の政策のなかでも「無電柱化推進に向け、区市町村道への財政支援、技術革新によるコスト縮減で総合的な取り組みを推進」としており、実施が加速する可能性もある。無電柱化は、電線を地中に埋設することで震災時の電柱倒壊による2次災害を防止する効果があるうえ、電柱を撤去することで街の景観を改善することを目指す。東京23区の無電柱化率がわずか7%(13年度末)なのに比べ、ロンドン、パリ、香港は100%、シンガポール93%、ソウル46%と海外に比較して遅れが際立っており、小池知事のみならず政府も推進している大きなテーマのひとつだ。

 無電柱化関連銘柄としては、通信工事大手のコムシスホールディングス <1721> をはじめ、関電工 <1942> 、協和エクシオ <1951> 、きんでん <1944> 、共同溝などコンクリート2次製品のイトーヨーギョー <5287> [東証2]、ゼニス羽田ホールディングス <5289> [東証2]、電線類共同溝用鉄蓋など鋳物大手の虹技 <5603> などが挙げられる。なかでも株価面では、PER9倍台と割安で値動きの軽いゼニス羽田に注目が集まりそうだ。

 さらに、注目なのが地下に埋設される電線・ケーブル関連の銘柄だ。なかでも沖電線 <5815> は電線・ケーブルが売り上げの約8割を占めており、収益機会が膨らむとの思惑が高まっている。いずれにしても、日本の無電柱化率の極端な低さを考慮すると、今後の関連事業の需要は膨大なものとなる。

●待機児童解消、学童クラブの充実でJPHD

 待ったなしの課題となっているのが「 待機児童解消」への施策だ。都民ファーストの会基本政策では「保育士の更なる待遇改善、保育サービスの拡充、規制緩和などにより待機児童ゼロをめざす」としている。関連銘柄としては、全国の幼稚園、保育園での体育指導を手掛ける幼児活動研究会 <2152> [JQ]、保育園運営などの子育て支援最大手のJPホールディングス <2749> 、事業所内保育所受託と公的保育施設運営のサクセスホールディングス <6065> 、通信教育最大手で保育施設も手掛けるベネッセホールディングス <9783> などがある。なかでも、待機児童解消に加えた政策のひとつに「学童クラブの充実」があり、JPHDに注目が集まりそうだ。同社は、保育所数172、学童クラブ63施設、児童館12施設、民間学童クラブ4施設、子育て支援施設の合計は251施設(3月末日現在)を運営している。

●介護関連のやまねメディは“サ高住”推進で注目

 子育て支援と並んで高齢者対策も重要課題の一つだ。基本政策で「介護サービスを十分に受けられないことによる介護離職の増加、介護人材の処遇の低さ、介護事業者の不安定な経営などが課題だった。健康長寿社会推進条例をつくる」としており、今後、介護サービス関連にも焦点が当たりそうだ。

 関連銘柄では、首都圏中心に通所介護併設のサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)展開するやまねメディカル <2144> [JQG]、通所介護主力だが訪問介護も手掛けるケアサービス <2425> [JQG]、介護事業トップで、医療事務受託でも最大手のニチイ学館 <9792> などが挙げられる。基本政策に「サービス付き高齢者向け住宅の整備」が掲げられており、いわゆるサ高住の積極開設を進めるやまねメディに関心が集まりそうだ。

●「ロボット介護機器導入」で菊池製も

 さらに基本政策で「ロボット介護機器導入による介護職員の負担軽減策を実施」するとしており、介護支援ロボットを手掛ける菊池製作所 <3444> [JQ]、CYBERDYNE <7779> [東証M]などにも関心が向きそうだ。そのうち菊池製は、家電や自動車向け精密部品や金型を手掛けるほか、作業補助ロボットの「マッスルスーツ」を開発販売しており、業績は回復トレンドにある。

●受動喫煙対策でJT「プルーム・テック」、日鉄鉱は「プラズマダッシュ」

 幅広い層から関心度が高いのが「受動喫煙対策」だ。基本政策では「喫煙防止条例(罰則付き)をつくる」としている。政府も受動喫煙については厳しい姿勢をとる方針で検討を進めており、これに伴い愛煙家は当面は規制のない、いわゆる“電子たばこ”に切り替える動きが加速しそうだ。

 電子たばこ関連では、既に実績のあるトランザクション <7818> やマルマン <7834> [JQ]が挙げられるが、ここにきて注目されるのが、6月29日から東京都心部で、たばこ用デバイス「プルーム・テック」と専用たばこカプセルの販売を開始したJT <2914> だ。「プルーム・テック」は、たばこ葉を燃やさず、直接加熱もしない、独自の“たばこベイパーテクノロジー”を用いている。

 一方、分煙では日鉄鉱業 <1515> に注目。同社は、資源分野を中核とする企業だが、最近では分煙機でも脚光を浴びている。同社のプラズマ脱臭技術を搭載した「プラズマダッシュ」は、従来の分煙機では除去できなかった、たばこのにおいを大幅に低減。例えば、たばこ4本燃焼後の室内のにおい成分は、9分で99%除去されるというものだ。

 そのほかでは、いかにも経済通の小池知事らしいのが「アジアナンバー1の国際金融市場への復活を目指す」「金融とITを融合したフィンテックを推進」で、兜町再開発を進める平和不動産 <8803>フィンテック関連の株価を刺激することもあり得る。また豊洲市場移転に絡み、環境管理センター <4657> [JQ]、エンバイオ・ホールディングス <6092> [東証M]など土壌汚染対策に関連する企業も折に触れて物色されそうだ。

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