市場ニュース

2017年9月11日 19時30分
【特集】 電線は地中に株価は空に、待ち受ける“巨大市場”と上昇余地 <株探トップ特集>


―電柱いまも年7万本増加の現実と国家的プロジェクトの片鱗と―

 北朝鮮の建国記念日であった9日にミサイルが発射されなかったことで、きょうの東京市場は大幅反発。しかし、依然として北朝鮮情勢の不透明感は消えず、材料不足も相まって東京株式市場に安心感はない。そんななか、改めて「電線地中化」関連株に注目してみたい。いうなれば、同テーマは“小池関連株”の筆頭ともいえる存在だが、いまだ理想買いの段階で、株価は初動との見方も強い。中長期で挑む電線地中化関連株の現状と今後を追った。

●まさに国家プロジェクト

 電線地中化に絡む銘柄のすそ野が広がっている。無電柱化の進展で、街路灯の新設需要が拡大するとの見方から、照明に使用されるLED関連株に買いの矛先が向かうなど連想ゲーム的な色彩が強まっていることもまた株式投資の醍醐味といえる。ただ、電線地中化は小池都知事の目玉政策というだけではなく、政府も強力に推進するまさに国家プロジェクトであり、その背後には巨大な市場が広がっていることは言うまでもない。

 7月2日の東京都議選の投開票日を挟み、株式市場においては、いわゆる小池銘柄にスポットライトが当たった。なかでも、小池都知事が掲げる「無電柱化」の推進から、ゼニス羽田ホールディングス <5289> [東証2]をはじめ、コムシスホールディングス <1721> 、関電工 <1942> 、イトーヨーギョー <5287> [東証2]、虹技 <5603> など多くの関連銘柄に注目が集まったことは記憶に新しい。

 そうしたなか、穴株的存在から一躍、電線地中化関連のスターダムにのし上がったのが沖電線 <5815> だった。同社は電線・ケーブルが売り上げの約8割を占め通信ケーブルにも展開、電線地中化では従来品から高付加価値品への代替が見込まれ、株価は200円台前半で底練りが続いていたものの、都知事選を前にした6月に入り上値指向を強め、一気にボックス圏を離脱した。現在でも株価は310円近辺にある。

●中長期的に取り組むテーマ

 こうした株式市場の思惑とは裏腹に、電線地中化の進捗具合の遅さも聞こえてくるのも事実だ。ある業界関係者は、都議選の際に取材をすると、「(電線地中化による需要の拡大については)現状では大きな変化はない。これから、伸びてくれるかどうかも正直わからない。もちろん期待感はあるが…」と、ホンネを語っていた。

 準大手証券のストラテジストは「電線地中化は、景観面はもちろんのこと、都市防災機能の面でも進めていく必要に迫られている。東京では小池都知事が積極的な姿勢をみせているが、現状は都道全体で35%程度の地中化率。しかし、国道や区道、村道などを入れれば実質的には都内で1割前後というところだ」と現状を語る。ただ、「全国的にはともかく、東京およびその周辺地域については2020年の東京五輪開催というスケジュールに合わせて急ピッチで地中化が推進されていくことになる。なお、無電柱化が叫ばれてはいるが、実際のところ電柱の本数は全国ベースでは年間7万本ペースで増えているのが実態だ。直近統計では3500万本といわれており、現実とのギャップは大きい。それだけ中長期的に取り組むべきテーマということになる」(同)という。

●低コスト手法確立で市場拡大へ

 調査会社の富士経済では「土木資材の国内市場調査」において、地中埋設電線用保護管市場の視点から分析し、「無電柱化にかかるコストが高いことが普及の阻害要因となっていたが、16年に従前より設置基準が緩和され、電線類を浅く埋設することができるようになったことも市場拡大に弾みをつけている。諸外国で採用されている直接埋設方式と比較すると、国内の電線共同溝の整備は工事費用が高いなどの課題があるため、低コスト化手法の技術開発が進められている」と指摘。

 今後の展開については「設置基準緩和により、浅層埋設や小型ボックスを活用した埋設が可能となり、さらに無電柱化の低コスト手法が確立されれば、都市部や政令指定都市だけでなく全国的に無電柱化がすすみ、地中埋設電線用保護管の市場も大幅に拡大する」と予想している。

●ゼニス羽田、コムシスHDは業績好調

 電線地中化関連銘柄は思惑だけではなく業績も好調だ。関連株の筆頭格ともいえる電線共同溝などを扱うゼニス羽田は、8月9日に18年3月期第1四半期決算を発表。連結経常利益は前年同期比72.7%増の4億6100万円に拡大し、上期計画の7億円に対する進捗率は65.9%に達している。同社株は4月13日の年初来安値231円を底に7月11日には365円まで駆け上がり、その後調整を挟みながら再び8月31日には367円まで買われ年初来高値を更新。現在は、地合い悪を受けてもなお340円水準にあり、その頑強展開が目を引く。

 また、通信工事大手のコムシスHDは9連騰で年初来高値街道を行く。8月4日発表した第1四半期営業利益は34億9400万円(前年同期比2.6倍)と好スタート。同時に18年3月期通期予想の営業利益を270億円から285億円へ上方修正している。さらに、5G(第5世代移動通信システム)関連の切り口もあり、ここにきて国内大手証券が投資判断、目標株価を引き上げるなど注目場面は続きそうだ。

●面白い存在の丸一鋼管

 電線地中化の波は、前述のようにLED関連株にも広がった。オーデリック <6889> [JQ]、岩崎電気 <6924> 、遠藤照明 <6932> などの株価が動意、電線地中化関連のすそ野が広がった格好だ。現在、オーデリックと遠藤照明の株価は高値圏で底堅い動きを見せているものの、岩崎電は7月18日に年初来高値237円をつけて以降、第1四半期の連結経常損益で赤字幅が拡大したことなどもあり調整局面が継続している。ただ、同社はLED関連株の中核ともいえるだけに注目は怠れない。

 すそ野が広がる関連株だが、丸一鋼管 <5463> も面白い存在だ。同社は、照明柱の大手で、街路灯の新設需要が拡大すれば恩恵を受けるのではないかとの思惑も働く。また、衝撃や圧縮に強く、燃えないうえ、電磁遮蔽効果がある鋼製電線管も手掛けており、調整を続ける株価に再評価機運が高まる可能性もある。

●セメント需要で太平洋セメ、旭コンクリ

 また、前出のストラテジストは「太平洋セメント <5233> 、旭コンクリート工業 <5268> [東証2]、イトーヨーギョー、ゼニス羽田、タツタ電線 <5809> 、沖電線などに注目」と言う。太平洋セメ、旭コンクリなどについては、電線共同溝などでセメント需要が拡大するとの思惑があるうえ、いうまでもなく東京五輪に向けて需給に逼迫感が出ているという背景がある。さらに、鉄塔だけでなく地中線・電線共同溝関連製品も手掛ける那須電機鉄工 <5922> [東証2]に注目する向きもある。

 思惑から一歩進む電線地中化関連株、いまその動きはスタートしたばかりだ。

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