始まった「ドローン関連」相場、株価“大飛翔”銘柄を見よ <株探トップ特集>

特集
2018年3月31日 19時30分

―政府ドローン規制緩和方針で物色に火、株価変貌「穴株」候補は―

東京株式市場では3月最終週になってリスクオフ相場が一巡、急速な巻き返しをみせてきた。ここまで米トランプ政権の保護主義色の強い政策スタンスや、国内では「森友学園」の国有地売却に絡む問題で安倍政権の支持率低下などが全体相場の足かせとなっていたが、足もとは悪材料に対して打たれ強くなっている。主力株の上値は依然として重さが残るものの、個別テーマ株については良い形で資金の回転が利いてきた。外国人をはじめとする全体の売り圧力に買い向かった個人投資家の面目躍如といってもよい。

●世界が先陣を競う有力テーマとして急浮上

そうしたなか、テーマ買い対象として急浮上してきたのがドローン関連株だ。波状的に物色の矛先が向かい、銘柄にも横に広がりが出てきた。ぜひとも、このチャンスを捉えたいところだ。

ドローンは無人で遠隔操作やコンピューター制御によって飛行する小型航空機として定義されているが、人間が立ち入ることができない場所の撮影や点検・測量を行うほか、物流(配送)や警備などでも活躍が期待されている。今年は「ドローン物流元年」とも位置付けられるなか、関連銘柄に対するマーケットの視線がにわかに強まっている。

ドローンの存在を強く我々の脳裏に焼き付けたのは、今年の平昌オリンピックであろう。開会式や閉会式でのライトショーに思わず見入ってしまった人も少なくないはずだ。同時にこの見事な光の編隊を目の当たりにして、技術力では負けない日本が行き過ぎた規制によって世界の後塵を拝するのではないか、という漠然とした危機感も感じたのではないか。海外では中国やフランスなどが基準作りを進捗させており、例えば中国では、人の目が届かない場所でも機体が軽量であれば飛行可能で、離島への宅配便などで利活用されている。これを意識してか米国でも昨年10月にトランプ大統領がドローンの規制緩和に関する大統領令を出すなど抜かりない動きをみせている。

●日本でも規制緩和を背景に関連株が急動意

そうしたなか、世界の状況を横目に日本政府も遂にドローン商用化に向け規制緩和に動く構えにあることが伝わり、これが関連株を強く刺激する背景となった。日本では2015年にドローンが首相官邸に落下する事故が起きたことで、同年9月に航空法の一部を改正、飛行方法や飛ばすことが可能な地域に関する基本ルールを策定した経緯がある。現在は、原則として人の目の届かない場所でのドローン飛行は認められず、人の頭上を飛ばすことも禁じられており、これが実証試験を難しくしている。政府はこれを緩和して今夏にも山間部と離島では人の目が届かなくても飛行を認める規定を策定する方針という。

この動きを受けて激しく動意したのが、GIS(地理情報システム)クラウドソリューションや防災・防犯分野向けに空間情報技術で強みを持つドーン <2303> [JQ]だ。3月15日に1200円近辺にあった株価は、2日連続のストップ高を交えて3月20日にわずか3営業日で1937円(ザラ場ベース)まで上値を伸ばす急騰劇を演じた。その後は調整を余儀なくされたものの、この時の瞬発力の高さは市場でも話題となった。時価は1400円近辺で売り物を枯らし、目先再浮上の兆しを漂わせている。

また、ドローンの研究で先駆するアジア航測 <9233> [東証2]も魅せた。3月23日の終値651円から、3月30日のザラ場高値830円まで短期間で27%も上昇している。これは、同社が共同で取り組んでいたドローンによる水中レーザー測量システムなどの実証試験に成功したと発表したことが株高を助長した。

同テーマでは常連組のイメージ ワン <2667> [JQ]も上値追いを加速させている。同社は早くからドローン分野を深耕、搭載されたカメラを使って自動撮影ができる「MD4-200」と「MD4-1000」などを取り扱っている。株価は今年2月初旬に週足で下ヒゲをつけ420円近辺で底入れ完了、そこから大陽線の連続で急勾配を駆け上がるような鮮烈な上昇トレンドを描いている。

●AI、5Gとの融合で果てしない可能性を内包

ドローンがテーマとして世界的に脚光を浴びる背景は、現状におけるニーズの高さもさることながら、次世代技術との融合で今後の商業的な可能性に果てしない広がりをもっている点が挙げられる。とりわけ、現在マーケットを賑わしている人工知能(AI)次世代高速通信規格「5G」などと密接にリンクしていることが大きなポイントだ。物流や測量では高度なAI技術を搭載することで、ドローンの性能は格段に高まる。また、5Gは高速・大容量化に加えて、多数同時接続といったIoT時代に必須の条件を有しているが、ドローンを普及させるうえでもこれは重要なインフラとなっていく。

また、当面はスケジュール的にも刺激材料が多い。ドローンの開発・製造・操作技術などの最新テクノロジーを紹介する専門展示会である「第4回国際ドローン展」が4月18日から20日にかけて幕張メッセで開催される。ここではドローンのデモ飛行や活用ソリューション、ドローン機体構成部品・機器などが出展される見通しにあり、これが4月前半の相場で意識されていくことになる。一方、米半導体大手インテルは4月に産業用ドローンを日本で発売することを発表している。同社の国内での販売はこれが初めてであり、同時に空撮した画像を分析して3次元データに置換する高度なサービスもクラウドで展開する計画。必然的にその動向が耳目を集めることになりそうだ。

また、国内大手企業もドローンを取り入れる動きが浸透してきた。直近では建機業界トップのコマツ <6301> が、世界最大手メーカーである中国DJIが開発したドローンを1000台導入すると報じられた。子会社を通して建設業界向けに貸し出し、土木向けサービス「スマートコンストラクション」の利用を促すという。1000台という台数はインパクトが大きく、こうした動きは業界他社にも広がっていく公算が大きい。

ドローン関連ではドーン、アジア航測、イメージワンの3銘柄のほかに、ディジタルメディアプロフェッショナル <3652> [東証M]、モルフォ <3653> [東証M]、ビーマップ <4316> [JQG]、ソフトバンク・テクノロジー <4726> 、石井工作研究所 <6314> [JQ]、ALSOK <2331> 、菊池製作所 <3444> [JQ]などが挙げられ、マーケットの熱い視線を浴びそうだ。

●穴株でアクモスとパスコに株価変貌余地

さらに、穴株として株価変貌余地があるアクモス <6888> [JQ]とパスコ <9232> をマークしたい。

アクモスはIT基盤の構築やシステム開発、運用・保守などITソリューション事業を中心に展開しM&A戦略に長じている。同社傘下のASロカスがドローンを活用した災害防止監視システムを開発している。株価は25日移動平均線を上放れた矢先で300~400円のボックス相場抜けに期待がかかる。

また、パスコ <9232> は航空測量の最大手でセコム <9735> が同社の7割弱の株式を保有している。セコム傘下でドローンの技術開発に注力しており、ドローンを活用した「i-Construction」サービスなどを展開している。株価は300円近辺で大底圏に位置している。セコムが日本初となる発進から飛行、帰還・充電までを完全自律で行う「セコムドローン」によるシカの食害対策の実証実験を4月から開始する計画にあり、パスコにとっても強力な株価刺激要因となりそうだ。

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