米国株式市場見通し:貿易摩擦を巡るトランプ政権や各国の動向を注視
先週の雇用統計は、12-13日に開催される連邦公開市場委員会(FOMC)前に公表される最も重要な経済統計であったが、失業率は約50年ぶりの低水準となった。就業者数、賃金ともに予想を上振れる堅調な内容となった。好調な雇用状況が続いているとの見方から、6月の利上げは既定路線となり、年内の追加利上げ見通しも拡大した。今週以降は、経済指標やトランプ政権の動向が主な相場変動要因となるだろう。
先週にトランプ政権がEU(欧州連合)やカナダ、メキシコ製の鉄鋼及びアルミニウムの輸入関税発動を発表し、各国が報復措置を表明するなど貿易戦争への懸念が強まるなか、2日に終了するG7財務相・中銀総裁会議の協議内容が週明けの株式市場に影響を与えそうだ。さらに8日から9日にかけてG7首脳会議が開催予定であり、トランプ政権が何らかの条件で譲歩できなければ、貿易摩擦を巡る懸念が相場の重しとなるだろう。また、6月12日に予定される米朝首脳会談に向けた交渉動向も注視したい。
4日から8日にかけてアップルの世界開発者会議 (WWDC) の開催が予定されている。今回のWWDCは、MacBook ProやiPad Proなどのハードウェアに関する発表は少なく、音声アシスタントの「Siri」やアプリ開発などソフトウェア関連に重点が置かれるとの見方が広がっている。iPhoneに内蔵されている通信機能を公共交通機関の乗車チケットやホテルの鍵などの決済サービス以外に応用する計画の発表や、人工知能(AI)スピーカー「HomePod」の低価格版の発表が噂されており、注目したい。
経済指標では、4月製造業・耐久財受注(4日)、5月ISM非製造業景況指数(5日)、4月貿易収支(6日)などの発表が控えている。また、8日には中国の5月貿易収支が発表される。3月の米貿易赤字は17年9月以来の低水準となったが、4月は米中両国の貿易摩擦が激化したこともあり、注目を集めそうだ。
(Horiko Capital Management LLC)
《FA》
提供:フィスコ