新興市場見通し:決算シーズン前に、出遅れ中小型株に幕間つなぎ的な物色も
先週の新興市場では、マザーズ指数や日経ジャスダック平均が持ち直しの動きを見せた。米中貿易摩擦への警戒感が和らいだこと、為替市場で1ドル=112円台まで円安が進んだことから日経平均が急ピッチのリバウンドを見せ、新興市場でも個人投資家のマインドが改善した。ただ、ソフトバンクグループ<9984>やファーストリテイリング<9983>といった大型株が大幅高となって投資家の関心を集めたため、新興市場の売買はやや低調だった。なお、週間の騰落率は、日経平均が+3.7%であったのに対して、マザーズ指数は+2.1%、日経ジャスダック平均は+1.8%だった。
個別では、メルカリ<4385>が週間で4.4%高、サイバーダイン<7779>が同8.7%高となる一方、ミクシィ<2121>が同0.1%安にとどまるなどマザーズ時価総額上位は高安まちまちだった。サイバーダインは投資ファンド設立を発表している。売買代金上位ではホットリンク<3680>やグレイステクノロジー<6541>などが買われ、KDDI<9433>との資本・業務提携を発表したデータセクション<3905>が週間のマザーズ上昇率トップとなった。一方、ロジザード<4391>やアイ・ピー・エス<4390>、和心<9271>といった直近IPO銘柄は利益確定売りがかさんだ。ジャスダック主力では日本マクドナルドHD<2702>が同5.2%安、ハーモニック・ドライブ・システムズ<6324>が同4.6%安と軟調だったものの、セリア<2782>が同14.0%高と強いリバウンドを見せた。売買代金上位ではラクオリア創薬<4579>やテリロジー<3356>が物色を集め、栄電子<7567>などが週間のジャスダック上昇率上位に顔を出した。反面、決算がネガティブ視されたアルファ<4760>などが下落率上位だった。IPOでは、7月10日上場のMTG<7806>が大型案件ながら公開価格を2割ほど上回る堅調な初値を付けた。時価総額はメルカリ<4385>に次ぎマザーズ市場で2番目となっている。
今週の新興市場では、中小型株に物色が向かう場面も出てきそうだ。日経平均は先物の買い戻し主導で急ピッチのリバウンドを見せたが、短期的な過熱感が意識されやすいところだろう。マザーズ指数や日経ジャスダック平均は相対的に出遅れ感があり、主力企業の決算発表が始まる前の幕間つなぎ的な物色が中小型株に向かう展開が見込まれる。ただ、引き続き米中などの通商問題を巡る動向には注意を払う必要がある。
今週は、7月17日にティーケーピー<3479>、マネーフォワード<3994>などが決算発表を予定している。貸し会議室等のティーケーピーは第1四半期決算発表となるが、ここまで業績の順調な拡大とともに株価を伸ばしてきた。家計簿アプリ等のマネーフォワードは先行投資期にあるが、損益改善が続くか注目したい。また、18日には6月訪日外客数が発表され、インバウンド(訪日外国人客)関連銘柄の見直しにつながる可能性がある。
IPO関連では、今週の新規上場予定はない。ただ、アクリート<4395>やプロレド・パートナーズ<7034>が7月17日までブックビルディング(BB)期間となるほか、17日にはイボキン<5699>、18日にはシステムサポート<4396>が新たにBB期間に入る。マネジメントソリューションズ<7033>など先週までBB期間だった案件はいずれも需要堅調だったようだ。
《FA》
提供:フィスコ