倉持宏朗氏【“日銀プレー”で激変した相場の視界、この続きは?】(2) <相場観特集>

特集
2018年7月23日 19時15分

―トランプだけじゃない波乱のタネ、出口戦略への恐怖感―

週明け23日の東京株式市場は売り優勢となり、日経平均株価は300円安で2万2400円台を割り込んだ。ただ、メガバンクをはじめ銀行セクターなどが買われたこともあってTOPIXは小幅の下げにとどまった。日銀の金融緩和策が曲がり角にきているとの思惑がくすぶるなか、来週の日銀金融政策決定会合を控え、為替を絡めた仕掛け的な売りが炸裂した格好だ。きょうのイレギュラーな動きは、ここからの相場展望にも変化を生じさせる要因となるのか。第一線で活躍する市場関係者に話を聞いた。

●「日銀決定会合など注視、当面は銀行株とハイテク株の綱引き相場に」

倉持宏朗氏(サクソバンク証券 チーフマーケットアナリスト)

23日の東京株式市場は、米国のトランプ政権による保護主義政策への警戒感に日本銀行の金融政策の修正観測も加わり、軟調に推移した。当面は30~31日の日銀金融政策決定会合の結果が注目される。その内容が、単なる現状維持に終わるのか、それとも金融政策に対する副作用に関わる議論が行われるかで、市場の反応も異なりそうだ。

今後1ヵ月程度の日経平均のレンジは、2万2000~2万3000円前後を予想する。目先的には先週末時点の25日移動平均線の2万2300円前後が下値とみているが、トランプ大統領の政策がリスク要因となった場合などは、2万2000円近辺まで下値を探ることも予想される。

もっとも、東京株式市場はバリュエーション的には割安感があり、不透明要因を織り込めば、先行き2万3000円前後まで上昇してもおかしくないとみている。2万3000円を超えて上昇するには、一段の出来高の増加が必要だろう。

米国企業に加え、今週からは国内企業の決算発表が本格化するため、その結果に注目したい。当面は金利上昇思惑で見直し買いが流入した銀行株と、円高で下落したハイテクなど輸出株の綱引き相場がどう展開するかが関心を集めそうだ。

為替相場は1ドル=110円00~113円00銭前後のレンジを想定する。足もとでは円高が進んでいるが、先行き113円まで値を戻してもおかしくないとみている。また今後、8月に入りお盆が近づき商いが一段と細るとともに、先物を中心に仕掛け的な動きが出てくる可能性があり注意したい。

(聞き手・岡里英幸)

<プロフィール>(くらもち・ひろあき)

東海東京証券(エクイティ部長・株式業務統括)、ベアー・スターンズ証券(株式営業部長・マネージングディレクター)、クレディ・リヨネ証券(グローバルエクイティーズ営業本部長・マネージングディレクター)など欧米投資銀行などで、国内外機関投資家及び国内外ヘッジファンド向けセールス及びセールストレーダーとして携わる。マーケットアナリストとしても国内外の主要メディアで取り上げられる。

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