米国株式市場見通し:FOMC発表や雇用統計に注目
先週発表された4-6月期GDP速報値が良好な内容となり、貿易摩擦への懸念が強まる中でも米経済は堅調であることが示された。1日に開催されるFOMCでは利上げの可能性は低く、従来通りの利上げ継続方針に変更はなく、9月の利上げ可能性が強まるだろう。一方で、自動車・自動車部品の関税導入を巡る他国との交渉や米中交渉は未だ解決しておらず、引き続き注視する必要がある。
企業決算では、建設機械のキャタピラー(30日)、アルミ応用製品のアルコニック(31日)、携帯端末のアップル(31日)、通信大手のスプリントやTモバイル(1日)、鉄鋼大手のUSスチール(1日)、電気自動車のテスラ・モーターズ(1日)、衛星テレビのディッシュ・ネットワーク(3日)、クーポン共同購入サイトのグルーポン(3日)などの発表が予定されている。相場の牽引役となっていた大型ハイテク株も、ネットフリックスやフェイスブック、ツイッターなどが決算発表後に急落する例が相次いでいる。アマゾンも利益は予想を上回ったものの、売上高が下振れた。今週はアップルの決算発表が予定されているが、次期iPhoneに関する追加情報と米中貿易摩擦の影響についての発表に注目したい。特に次期iPhoneの中で最安モデルとなる6.1インチ液晶ディスプレイ搭載端末の発売時期が10月以降に遅れるとの一部報道もあり、7-9月期の業績見通しに次期iPhoneの9月中の売り上げが含まれるかどうかが焦点になりそうだ。また自社株買いによって発行済株式数がどの程度減少しているかも注目だ。
27日時点のファクトセット社の集計によるとS&P500構成銘柄の53%が決算発表を終了し、83%が利益、77%が売上高のアナリスト予想平均を上回った。全体では、先月末時点で20%の増益が予想されていたが、21.3%の増益見通しへと改善した。ヘルスケアや一般消費財セクターの成長が要因で、製薬のギリアド・サイエンシズやブリストルマイヤーズ、ネット小売のアマゾンの好決算が寄与した。
経済指標では、6月中古住宅販売仮契約指数(30日)、7月シカゴ購買部協会景気指数(31日)、6月個人所得・支出(31日)、7月消費者信頼感指数(31日)、6月建設支出(1日)、7月ADP雇用統計(1日)、7月ISM製造業景況指数(1日)、6月製造業受注(2日)、6月貿易収支(3日)、7月ISM非製造業景況指数(3日)、7月雇用統計(3日)などの発表が予定されている。雇用統計では、非農業雇用者数が19.3万人増、失業率は3.9%増が予想されている。市場を大幅に下回らなければ、年内の追加利上げ見通しが拡大するだろう。
(Horiko Capital Management LLC)
《FA》
提供:フィスコ