日本電技 Research Memo(6):事業基盤の強化と事業領域の拡大を目指す

特集
2018年8月21日 15時10分

■日本電技<1723>の中期経営計画

1. 今後の事業展望

事業基盤の強化と、産業計装関連事業における新規アイテムを活用した事業領域の拡大が、今後の成長戦略の目標となると考えられる。事業基盤の強化では、空調計装関連事業において、引き続き旺盛な建設需要が想定されており、効率性を見極めた大型新設案件の戦略受注への注力、ならびに既設市場での利益率向上、積極受注の進捗に期待出来る。また、2014年に開設したテクニカルセンターで、空調・産業計装関連事業ともに、IoTやAIを活用した先端技術や新規アイテムの開発など研究開発体制の拡充を図る。同センターでは、人材育成、施工品質の向上などを目的に導入した空調設備の実機を活用し、定期的により専門的な技術研修を行うことができるようになった。こうした、社員の早期育成や協力会社の教育など幅の広い人材育成にも注力している。事業領域の拡大では、産業用ロボットやヒートポンプを用いた廃熱システム、地域冷暖房関連設備など、同社のエンジニアリング力が応用できる新規アイテムの取扱いを伸ばす。工場・プラントの機械設備や電気計装設備に新規アイテムを最適に融合させた、総合産業ソリューションに注力している。

2021年3月期に営業利益3,500百万円を目指す

2. 中期経営計画

同社は中期経営計画の中で、2021年3月期に受注高31,000百万円(空調計装関連事業26,000百万円、産業計装関連事業5,000百万円)、売上高30,000百万円(空調計装関連事業26,000百万円、産業計装関連事業4,000百万円)、営業利益目標3,500百万円を目指している。

重点戦略は、効率重視の事業展開、顧客との関係強化の推進、戦略的受注の徹底、ニーズに応える技術力強化と領域拡大、働き方改革への対応??の5つである。効率重視の事業展開では、空調計装関連事業の既設事業に予算・経営資源をシフト、元請ビジネスなど同社が主体的に管理できる収益性の高い事業を拡大する。顧客との関係強化の推進では、省エネ化提案やロボットなど同社のエンジニアリング技術力が幅広いソリューション能力を保有していることを顧客に理解してもらい、特にエンドユーザーと長期良好な取引関係を構築する。戦略的受注の徹底は、空調計装の新設事業は既設事業につなげることを基本とし、大型物件の受注については採算を考慮して適切な判断をし、収益性を重視した受注を推進する。ニーズに応える技術力強化と領域拡大では、新規事業にも対応できる技術集団の育成に加え、空調計装関連事業では空調設備以外の設備の取扱いやメンテナンスを増やし、産業計装関連事業では食品・薬品・化学工場の施設内外で取引を増やすなど、事業領域を拡大する。働き方改革への対応では、人事制度の整備や現場負担の軽減、生産性向上のための関連諸施策の推進により人材を確保する。建設業界では、コンプライアンスの観点からも人材確保は重要なテーマとなっている。

さらに、事業基盤の強化にも取り組む。本部体制の整備、人員増強、協力会社体制の構築??の3点で、長期的な取り組みでもある。本部体制の整備は、事業本部を事業本部と技術本部に分割し、事業本部では全社事業の統括、戦略推進、戦略的な大型物件の受注判断など、技術本部では先端技術、新規アイテムの研究開発、人材の育成(施工品質の向上・協力会社の教育)、実証試験用産業用ロボットの拡充などを推進する。また、事業本部ではエリア制度導入、技術本部ではIoT、AIを活用した先端技術の研究開発を進める。人員の増強については、近年20~30人のペースで純増していたが、2019年3月期は45人増の計画にするなど積極的な採用を開始、監理体制の向上と同時に現場労働者の高齢化などにも対応する方針である。協力会社体制の構築では、出向を受け入れて教育することで人材教育支援を継続、協力会社の拡充と体制の強化を図る。

事業環境としては、民間非住宅建築着工床面積が2018年も2017年に引き続いて高水準で推移するとの予測もあり、建築着工は堅調に推移する見通しである。また、2018年度~2020年度に予定されている東京都心部の主要再開発は9地域で進行または計画中である。東京オリンピックまでは人的ボトルネックが懸念されるが、重点戦略を遂行することで、当面は売上高を伸ばしながら採算を改善していく局面となるだろう。また、2020年以降、少子高齢化の影響拡大によりオフィスや商業施設向の新設投資は大きく減ることが懸念されているが、訪日外国人数は引き続き伸びることが予想されるため、宿泊施設の新設・更新投資は継続が見込まれる。その上で、物作りを日本のコアコンピタンスとするならば、工場への増強・効率化・省人化・省エネ投資の継続も見込まれる。2020年以降の同社は、既設事業に経営資源を注力した成果が顕在化する一方、産業計装関連事業でロボットやヒートポンプなど計装エンジニアリングの技術力を活用する場が大きく広がることが期待される。

■株主還元策

株主への利益配分については、業績に多大な影響を及ぼす事象や新規設備投資計画がない限り、配当性向を一定に保ち、利益の伸長に見合った配当を目指す。このため、2019年3月期の1株配当金は71円を予定している。なお、株主優待制度は採用していない。

■情報セキュリティ

同社は、個人情報保護の社会的重要性を強く認識し、プライバシーポリシーを制定し、「個人情報の保護に関する法律」その他関係法令、ガイドライン等を遵守するなど、個人情報の適切な取扱い及び管理に取り組んでいる。顧客が事業会社であるため、消費財メーカーや小売サービス業に比べるとリスクは小さいと考えられる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)

《TN》

提供:フィスコ

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