夏の終わりの“大玉花火”、動き始めた「東証2部」急騰候補10連発 <株探トップ特集>

特集
2018年9月1日 19時30分

―季節は年末ラリーへ走り出す、復活の小型株“次の大化け期待銘柄”は―

全体相場は8月下旬に入ってにわかに風景を変えた。暦の上では暑さがおさまるとされる“処暑”を目前に、あたかも覚醒したかのように日経平均株価は上値追い態勢に入り、8月30日まであれよという間の8日続伸、2万3000円大台まで一気に歩を進めた。

この2万3000円ラインは過去に5月21日、6月12日、7月18日と3度にわたりワンタッチもしくは“指呼の間”まで迫りながら押し返された、いわば因縁場(いんねんば)である。31日はさすがに利益確定の動きが強まったが、それでも米株安や為替の円高に抗して下値では買いが入り、一時プラス圏に切り返す強さをみせた。ただ、今回も日経平均2万3000円という目の前の壁をブレークできなければ、再び下値模索の展開に逆戻りしないとも限らず、名実ともに9月相場入りとなる週明け以降のマーケットを市場関係者はみな固唾を飲んで見守る局面にある。

●これから年末にかけては「満ち潮」の時間帯

もっとも、今はもう少し長い視点で相場を捉える必要がある。東京株式市場ではアベノミクス相場が始まった2012年以降のデータとして、9月に買い出動して年末まで保有した場合、高い確率で大幅なキャピタルゲインを掌中に収めることができるという黄金アノマリーが存在する。これは日経平均をベースにしたもので、個別株となればまた事情は異なってくるが、少なくとも全体の潮の流れが「満ち潮」なのか「引き潮」なのかで投資家の置かれる環境は大きく変わる。前者であれば、たとえ銘柄選択の急所を外しても全体の潮の流れが助けてくれるケースが多く、個別株戦略においても投資家にとって大きなアドバンテージとなり得ることはいうまでもない。

「セル・イン・メイ(株は5月に売れ)」はウォール街に伝わる有名な格言だが、実はこの後に続く言葉にむしろインパクトがある。それは「カムバック・イン・セプテンバー(9月に戻って来い)」である。正確には9月のセント・レジャー・デー(第2土曜日)を過ぎたら戻って来いというもので、9月の月替わり早々に買い参戦を促しているわけではないが、いずれにせよこの時期は年末に向けた仕込みのタイミングが近づいていることを強く示唆している。

●アクティブな銘柄選択で結果を追求する9月

米中貿易摩擦を中心とした通商問題や中国の景気減速懸念、トルコリラ急落でクローズアップされた新興国通貨安(米国への資金回帰による弊害)、北朝鮮や中東を巡る地政学リスク、このほか諸々の後講釈的なネガティブ材料は売り方の仕掛け的なアナウンスである要素も多分に含んでおり、時にこの反動で空売り筋の強制的な買い戻しを誘発する、いわゆる踏み上げ的な地合いが演出される。もとより米国を中心に経済ファンダメンタルズや企業業績は盤石で、中期上昇相場の礎を成している。ここは弱気になっても始まらない。アクティブな銘柄選択で貪欲に結果を追求してよい場面である。

個別株投資は全体観とはまた違った実践的な戦略が求められる。今、東京市場で注目すべきエリアは東証2部だ。8月は新興市場(マザース・ジャスダック市場)が出遅れていたが、30日現在の騰落レシオはマザーズが86.8%、ジャスダックもグロース基準で88.9%といずれも売られ過ぎとされる80%割れ水準から脱却しており、これが個人投資家の投資余力復活につながっている。一方、東証2部は30日現在の騰落レシオが92.6%と東証1部と同水準で、相対的に新興市場よりも足腰の強さが目立つ。

●新興市場の大化け株が東証2部銘柄も刺激

ただし、ここで目を向けたいのはモメンタムの強さである。東証2部指数の5日・25日移動平均線のゴールデンクロスは、日経平均や日経ジャスダック平均マザーズ指数などと比べて遅れており、リターンリバーサルの対象として4市場のなかで最も妙味がある位置にいる。それを裏打ちするように足もとは東証2部の材料株に資金が向かっている。株価指標面では全銘柄ベースのPERが6.3倍前後と、東証1部や新興市場と比べても突出して割安だ。出来高流動性の乏しさが、超割安でも“放置されてしまう”銘柄を生んでいるのだが、ひとたび投資資金が向かい始めると潜在的な売りニーズの希薄さが、思わぬ高値形成につながることも少なくない。

ちなみに新興市場では8月相場で大化けを果たす銘柄が複数出現している。まずマザーズ市場では、スマートフォンゲームの開発支援を行うエクストリーム <6033> [東証M]が8月2日に突発人気化、そこからストップ高を連発しわずか2週間で株価を7倍化させるという驚愕の上昇パフォーマンスを演じた。

一方、ジャスダック市場では森トラスト傘下で住宅リニューアルを手掛けるエムティジェネックス <9820> [JQ]が現在進行形で強烈な需給相場を繰り広げている。同銘柄の“急騰スイッチ”が入ったのは6月中旬以降だが、怒涛の上昇波形成に移行したのは8月から。4000円前後の株価水準からやはりストップ高連発で30日には2万5290円の高値に到達している。ざっと見積もっても6倍以上である。

●そして次の大玉花火は東証2部で堪能

こうした、中小型株の急騰劇は今後2部市場からも生まれる可能性は少なからずある。

その際、投資家のスタンスとしてはマネーゲームを最初から期待するのは本末転倒であり、実態面で買いを呼び込む魅力のある銘柄に目を向けることが金科玉条となる。今回はそれを念頭に東証2部に特化して銘柄を選別、投資妙味の高い急騰候補株を10銘柄エントリーした。

【リミックスポイントの逆襲相場スタートか】

リミックスポイント <3825> [東証2]は中古車販売のほか電力管理など省エネ支援事業を手掛けるが、2016年に仮想通貨事業に進出し子会社を通じてビットコインなど仮想通貨サービスを展開、収益に大きく寄与している。最近ではサッカー選手の本田圭佑氏を仮想通貨のイメージキャラクターとして起用するなど話題性も提供している。18年3月期はトップラインが前の期比2.5倍と急拡大。さらに19年3月期も前期比2.4倍の伸びを予想しており、利益面でも営業利益段階で前期比3倍の102億3800万円と100億円大台乗せを見込む。株式需給面では圧倒的な出来高流動性に加え、急騰性も抜群で5月に1843円の高値をつけているだけに、時価は上値余地の大きさが意識される。<急騰性5・中期的上値余地3>

【キョウデンはプリント基板の成長で一段の上値期待】

キョウデン <6881> [東証2]も東証2部銘柄と感じさせない活況な商いを日々こなしており、8月初旬に大きく上放れてからも、目先筋の売り玉を完全に吸収して上値を慕う強力な上昇波を構築している。プリント基板が自動車向けなどを中心に絶好調だ。自動車の電装化が進展し、今後は電気自動車(EV)の普及加速や自動運転車の市場が形成されるなか、一段と活躍余地が高まる。18年4-6月期連結営業利益は11億2800万円(前年同期比73%増)と急拡大。19年3月期通期では前年実績を3割強上回る40億円を見込むが、一段の上振れも視野に入っている。<急騰性3・中期的上値余地4>

【底入れモードのマルマエは半導体投資需要追い風】

マルマエ <6264> [東証2]は半導体製造装置向けなど中心に精密部品加工を手掛け、旺盛な半導体投資需要をフォローの風に業績は絶好調に推移している。18年8月期は中国メーカーの液晶設備投資拡大も寄与し、営業利益段階で前期比65%増の12億6000万円を見込む。電子ビーム溶接機を導入して新事業も立ち上げている。今年5月以降、一貫して下値を探る展開にあったが、目先売り物が枯れており、株価は底入れモードに。<急騰性4・中期的上値余地5>

【海運の伏兵、玉井商船はPBR超割安で足も軽い】

玉井商船 <9127> [東証2]は8月8日に上ヒゲで153円の戻り高値をつけた後調整しているが、25日移動平均線に接触することなく体勢を立て直し、上値慕いの動きをみせている。株価130円台は低位株物色の波に乗りやすく、株価指標面でPER3倍は一過性要因としてもPBRも0.5倍台で水準訂正期待をはらむ。日軽金系で売り上げの8割を占める外航はアルミニウム原料や穀物輸送を主力としている。19年3月期は営業黒字化を見込んでいる。時価総額20億円台で物色人気化したときの足の速さは折り紙付き。<急騰性4・中期的上値余地3>

【野崎印は新元号とセルフレジ関連の低位株で魅力】

野崎印刷紙業 <7919> [東証2]も200円台に位置する低位の株価が魅力。地味な業態から見落とされがちな銘柄だが、手掛かり材料は多く株価変身余地を内包している。新元号に絡む特需が期待できるとともに、セルフレジの普及で市場拡大が加速するICタグ関連としても注目度が高い。18年4-6月期営業利益は前年同期比約3倍となる6900万円と回復色鮮明。19年3月期通期は7割増益の2億6000万円を見込む。<急騰性3・中期的上値余地4>

【戻り相場初動の石井表記は瞬発力も天井も高い】

石井表記 <6336> [東証2]はプリント基板の製造装置メーカーで、商品競争力の高いプリント基板研磨機をはじめ高実績を誇る。19年1月期は前期のインクジェット装置大型受注獲得の反動もあって営業利益段階で約2割の減益を見込むが、PER10倍で割安感がある。目先8連騰だが値幅はそれほど出しておらず、時価は出直り相場初動といってよい。瞬発力があるうえ、天井も高く、4ケタ大台回復は通過点となる公算が大きい。<急騰性4・中期的上値余地4>

【ヒガシ21はオフィス移転需要捉え一転増益も】

ヒガシトゥエンティワン <9029> [東証2]は大阪エリアの運送会社13社統合によって設立され、大株主の日本生命や関西電力 <9503> などを主要取引先に業績は堅調に推移している。地盤の関西圏及び首都圏では事務所移転のニーズが活況で、同社のビジネスチャンスにつながっている。18年4-6月期は営業利益が前年同期比68%増の3億2900万円と大幅な伸びを示した。19年3月期通期予想では7億5800万円と減益を見込んでいるものの、上振れの公算が大きく一転して増益に変わる可能性もある。株価は25日移動平均線をサポートラインに急勾配の上昇相場が続きそうだ。<急騰性4・中期的上値余地3>

【ロータリーカッター好調で日タングスが見直し急】

日本タングステン <6998> [東証2]は粉末冶金技術に強みを持つ機械・電機部品の加工メーカー。タングステンやモリブデンの加工を手掛け、活況な自動車向け電極や半導体部品などの需要を捉えている。中国などアジア地域の紙おむつ需要は旺盛でロータリーカッターなどの販路を開拓している。ここ株価水準を急速に切り上げてきたものの、戻り相場は緒に就いた段階でPBR0.6倍台は見直し余地が大きい。株主還元姿勢も高く、年間配当60円は配当利回り2%超、さらなる上積みも期待。<急騰性4・中期的上値余地3>

【川金HDはジリ高、株価指標割安で意外高も】

川金ホールディングス <5614> [東証2]は電子機器やFA関連向け素形材のほか、産業機械や土木建築機材、鋳造部品なども製造する。橋梁向け支承(上部構造と下部構造の間に設置する部材)ではトップメーカー。18年4-6月期営業利益は前年同期比6.5倍と急拡大。PER7倍台、PBR0.6倍台は割安感が際立つ。出来高流動性に乏しいものの、8月中旬に株価を急動意させて以降は、断続的な投資資金流入でじりじりと下値を切り上げている。時価は上場来高値圏で戻り売り圧力のない青空圏で意外高に走る可能性もある。<急騰性3・中期的上値余地4>

【インテリWはセキュリティーとキャッシュレス】

インテリジェント ウェイブ <4847> [東証2]はここ人気化の経緯をたどっているサイバーセキュリティー関連株の出遅れとして要マークだ。世界的にサイバーテロに対する警戒感が高まるなか、その対策は喫緊の課題といえる。日本でも東京五輪開催年である2020年までに、サイバー攻撃対応への取り組みを官民を挙げて加速する方向にあり、同社の標的型メール攻撃を防ぐセキュリティー関連システムなどの受注が今後も増勢となる見込み。一方、金融決済システムなどの構築で先駆した実力を有し、日本でもキャッシュレス決済の普及が進むなか同社の活躍期待が高まっている。<急騰性3・中期的上値余地3>

◇東証2部の大玉花火! 今が買い場の「急騰候補」10連発◇

銘柄 <コード>        急騰性   中期的上値余地

リミックスポイント <3825>  ☆☆☆☆☆ ◆◆◆

インテリW <4847>      ☆☆☆   ◆◆◆

川金HD <5614>       ☆☆☆   ◆◆◆◆

マルマエ <6264>       ☆☆☆☆  ◆◆◆◆◆

石井表記 <6336>       ☆☆☆☆  ◆◆◆◆

キョウデン <6881>      ☆☆☆   ◆◆◆◆

日本タングステン <6998>   ☆☆☆☆  ◆◆◆

野崎印 <7919>        ☆☆☆   ◆◆◆◆

ヒガシ21 <9029>      ☆☆☆☆  ◆◆◆

玉井商船 <9127>       ☆☆☆☆  ◆◆◆

※急騰性は☆が多いほど強く、中期的上値余地は◆が多いほど大きい。

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