植木靖男氏【フシ突破で上昇加速! リスクオン相場は続くか】(1) <相場観特集>

特集
2018年9月18日 18時30分

―2万3000円ライン突き抜け視界が変わった東京市場―

東京市場では前週後半を境に一気に視界が変わってきた。日経平均株価はこれまで度々跳ね返されてきた2万3000円ラインを遂に突き抜け、上値追いを加速。3連休明けの18日は一時380円以上の上昇で3連騰、3日間合計で880円近い上げ幅を記録したことになる。相場大転換の背景にあるのは何か。そしてここからの展望と物色の方向性はいかに。経験豊富でマーケットの先読みに定評のある市場関係者3人に意見を聞いた。

●「違和感のある上昇で反動も考慮する場面に」

植木靖男氏(株式評論家)

日経平均は上値の強力なフシとなっていた2万3000円ラインを明確に突破したことで買いに勢いがつき、一気に2万3000円台半ばまで歩を進めた。しかし、外部環境を眺める限り、ひと言でいえば違和感のある上昇といえる。前日の米国株は軟調だったが、ナスダック指数は目先売り転換を暗示しており、アジア新興国の株価もまだ不安定。中国・上海株は下げ渋っているとはいえ、年初来安値を連日更新している(前場段階)。米中貿易摩擦の問題は24日に追加関税第3弾が発動される見込みで改善の傾向はみられない。日本と米国との通商会議もこれからで、期待と懸念が相半ばするなか少なくとも楽観はできない段階だ。

つまり、今の上昇はファンダメンタルズ面からポジティブな材料に乏しい。考えられるのは9月第1週に現先合わせて1兆円以上売り越した外国人投資家が、前週後半から一気に買い戻しに動いたということだ。ヘッジファンドなどの決算に絡むショートポジションの整理が株価を押し上げた可能性が高い。とすれば、これに続く実需買いがなければさらなる一段高は難しいと思われ、反動安も念頭に置いておくところ。おそらく、2万3000円台半ばから上は戻り売り圧力を跳ねのけるほどの買いニーズに乏しく、早晩もみ合い局面に移行するだろう。

これまでの2万2000~2万3000円のボックスからステージは切り上がり、今後は2万3000円ラインを下限に売り物をこなす展開が想定される。銘柄によって投資のタイミングは異なるものの、全体観として、ここで買い乗せするのは得策ではないと考えられ、押し目を丁寧に拾っていく姿勢が望まれる。

物色対象として注目したいのは、まず売り込まれた反動で保険セクターに意外性がある。切り返し態勢にある東京海上ホールディングス <8766> を継続的に注目したい。同様に蚊帳の外にあった三菱UFJフィナンシャル・グループ <8306> などメガバンクも合わせてマーク。さらに、原油市況が再び上昇基調に転じそうで、その観点から日揮 <1963> などプラント関連や三菱商事 <8058> など総合商社が面白そうだ。最後に大底買いの有力候補としてメルカリ <4385> [東証M]を挙げておきたい。

(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(うえき・やすお)

慶応義塾大学経済学部卒。日興証券(現SMBC日興証券)入社。情報部を経て株式本部スポークスマン。独立後、株式評論家としてテレビ、ラジオ、週刊誌さらに講演会などで活躍。的確な相場見通しと独自の銘柄観に定評がある。

株探ニュース

人気ニュースアクセスランキング 直近8時間

特集記事

株探からのお知らせ

過去のお知らせを見る
米国株へ
株探プレミアムとは
PC版を表示
【当サイトで提供する情報について】
当サイト「株探(かぶたん)」で提供する情報は投資勧誘または投資に関する助言をすることを目的としておりません。
投資の決定は、ご自身の判断でなされますようお願いいたします。
当サイトにおけるデータは、東京証券取引所、大阪取引所、名古屋証券取引所、JPX総研、ジャパンネクスト証券、China Investment Information Services、CME Group Inc. 等からの情報の提供を受けております。
日経平均株価の著作権は日本経済新聞社に帰属します。
株探に掲載される株価チャートは、その銘柄の過去の株価推移を確認する用途で掲載しているものであり、その銘柄の将来の価値の動向を示唆あるいは保証するものではなく、また、売買を推奨するものではありません。
決算を扱う記事における「サプライズ決算」とは、決算情報として注目に値するかという観点から、発表された決算のサプライズ度(当該会社の本決算か各四半期であるか、業績予想の修正か配当予想の修正であるか、及びそこで発表された決算結果ならびに当該会社が過去に公表した業績予想・配当予想との比較及び過去の決算との比較を数値化し判定)が高い銘柄であり、また「サプライズ順」はサプライズ度に基づいた順番で決算情報を掲載しているものであり、記事に掲載されている各銘柄の将来の価値の動向を示唆あるいは保証するものではなく、また、売買を推奨するものではありません。
(C) MINKABU THE INFONOID, Inc.