【休日に読む】一尾仁司の虎視眈々(3):◆真空地帯の戻り◆

経済
2018年10月21日 10時05分

〇ボックス圏か、上昇トレンド復帰か〇

日米の株価は急反発場面に転じた。日経平均で見ると、昨日の安値は22269円、一昨日の22261円を下回らず、後場急伸に転じた。その勢いが米市場に持ち込まれた感がある。戻り待ちの売り物があると見られる23000円台には届いていないので、売り方が再び攻勢を賭ける可能性はあるが、一本調子の下落トレンドにはなり難いと考えられる。23000-23500円帯での戻り待ちの壁が厚ければ、当面ボックス圏形成の見方になり、23500円を奪回してくれば、23500-25000円ゾーンでの上昇トレンド復帰との見方に変わろう。

昨日の東京市場では、TOPIX+0.74%に対し、コア30が+1.49%、TOPIXsmallは-0.10%だった。東証1部の値上がり銘柄数1112銘柄、値下がり910(変わらず87)と、取り残された銘柄も多く、如何にも先物主導での戻り相場だった。NY市場ではダウ+2.17%に対し、ナスダック+2.89%、小型株指数のラッセル2000指数+2.82%、フィラデルフィア半導体指数+3.31%と広範囲に買われており、日本市場も中味で追随できるか注目される。

時間外の発表だが、動画配信大手ネットフリックスの好決算が象徴的。契約者数が大幅に伸び(米国内で予想67.4万人→109万人、海外同448万人→587万人)、第3四半期決算は前年同期比34%増収、最終利益同3.1倍。時間外の株価は13.5%の急伸。一両日で発表されている主要金融機関決算も予想を上回るケースが多く、企業業績期待が戻って来たことが、株価早期回復の原動力と考えられる。

「マティスが戻って来た」、辞任観測が出ていたマティス国防長官は訪問先のベトナムに向かうなか、「大統領が100%支持している。任務を続けて行くだけだ」と述べ、辞任観測を一蹴した。

カナダは対米報復関税の対象品目を大幅に減らした。7月の米政府による鉄鋼・アルミ高関税に対する対抗措置だったが、製品不足を理由に新たに関税を免除するリストを公表。鉄鋼製品が大半で、米鉄鋼製品に依存するカナダ自動車業界に安堵と伝えられる。

ブレグジット交渉はアッサリと12月最終期限に先送りされた。17-18日のEU会合を前に緊張が高まっていたが、バルニエEU首席交渉官は「交渉の最終的な合意期限が12月になる」と各国に通達した。

15日、国連貿易開発会議(UNCTAD)は18年上半期の世界全体の海外直接投資(FDI)が41%減の4700億ドル、05年以降の最低水準だったと発表した。米トランプ減税で、米企業が海外子会社から差引2170億ドルの資金を本国に送金したことが主因と説明された。金融統計ではないが、「資金の米一極集中」を裏付ける材料と看做される。

米中摩擦など大きな懸念材料は継続中だが、探せば安易な売り込みをし難い材料も出ている。大きなフシ目と考えられる来月の米中間選挙に向け、目まぐるしい攻防が続くと想定される。

出所:一尾仁司のデイリーストラテジーマガジン「虎視眈々」(18/10/17号)

《CS》

提供:フィスコ

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