ログイン
2018年12月10日 18時11分
経済

アマゾン・エフェクトの脅威vol.3 「アマゾン恐怖銘柄指数」とは【フィスコ 株・企業報】

◇以下は、FISCO監修の投資情報誌『FISCO 株・企業報 2018年冬号 -10年後の日本未来予想図』(10月5日発売)の特集『アマゾン・エフェクトの脅威』の一部である。全9回に分けて配信する。

米アマゾン・ドット・コムの急成長・急拡大による市場での混乱や変革。一大現象となっているアマゾン・エフェクト。実店舗からオンラインへと消費者購買行動が移行し、米国内の百貨店やショッピングモールが閉鎖に追い込まれるなど、既存の消費関連企業に衝撃をもたらした。同社のさらなる買収や事業拡大は他の分野にも広がっており、その影響で収益低下が見込まれる「アマゾン恐怖銘柄指数」なるものまで設定された。アマゾン・エフェクトとはいかなるもので、これから日本にもどのような影響を及ぼすことになるのか。アメリカで起こったことを検証しながら考察してみた。

■「デス・バイ・アマゾン」アマゾンに怯える大企業たち

前回述べたように(アマゾン・エフェクトの脅威vol.2で言及)、多くの小売チェーンが大規模な店舗閉鎖を余儀なくされているが、アマゾンの躍進によって大きな打撃を受ける株式銘柄を集めた「アマゾン恐怖銘柄指数(Deathby Amazon Index)」、通称「デス・バイ・アマゾン」の注目度が年々高まっており、日本でも目にする機会が増えてきた。

米投資情報会社ビスポーク・インベストメント・グループが2012年2月に設定した「アマゾン恐怖銘柄指数」は、アマゾンの収益拡大や新規事業参入、買収などの躍進の影響を受け、業績が悪化すると見込まれる小売関連企業54社で構成されている。この54社は「事業の主な収益源がリアル店舗によるもの」であり、「販売する商品は他社の製品が中心」で、「S&P1500種株価指数とS&P小売セレクト指数に採用されている銘柄」という基準で選ばれている。

構成銘柄には、小売業世界最大手ウォルマート・ストアーズ(以下、ウォルマート)をはじめ、日本でも人気が高い会員制卸売コストコ・ホールセール(以下、コストコ)、百貨店のJCペニー、書籍チェーンのバーンズ・アンド・ノーブル、事務用品のステープルズといった米国を代表する小売企業ばかりだ。

実際、2018年6月にアマゾンが高級スーパーのホールフーズの買収発表をすると、アマゾン恐怖銘柄指数は急落した。アマゾン恐怖指数の構成全54銘柄は、2018年初から半数以上が2桁の下落率を記録していることからもわかるように、株価から見ても、小売業にとってアマゾンの脅威は増すばかりであることがわかる。

■ボイス・ショッピング市場で米国の巨人がつば迫り合い

アマゾンによる脅威が増すなか、2017年8月にウォルマートは、米グーグルとインターネット通販事業で提携すると発表した。小売業界で存在感を増すアマゾンの拡大を防ぐためにグーグルとの提携で対抗する構えだ。

グーグルのネット通販・宅配サービス「グーグル・エクスプレス(Google Express)」に、ウォルマートが日用品など数十万点を出品し、すでにグーグルの人工知能(AI)を搭載した対話型AIスピーカー「グーグルホーム(Google Home)」に向かって声を発することで、簡単に商品を注文できるようになっている。

ウォルマートとグーグルが意識しているのは、2014年にアマゾンが発売した同社製の対話型AI搭載スピーカー「エコー(Echo)」にほかならない。アマゾンはこれにより「声で買い物する」ボイス・ショッピングという新しい買い物スタイルを開拓した。

アメリカの調査会社コムスコアによると、アメリカでは、スマートスピーカーの入門機の位置づけとなる「エコー・ドット(Echo Dot)」や「グーグル・ホームミニ(GoogleHome Mini)」が30ドルと手の届きやすい価格に下がったことで爆発的に普及した結果、2017年12月から2018年2月までの3ヵ月間にスマートスピーカー所有者が50%以上増加し、2018年2月時点でアメリカ国内の普及率は20%に達したと試算している。

スマートスピーカーには、自分のスケジュール確認、天気予報やニュースを聞くなど、様々な機能があるが、この調査によると、スマートスピーカーを使ってボイス・ショッピングをしている人は、所有者のうち22%に達するという。アメリカではアマゾン主導でボイス・ショッピングの普及が確実に進展しているのだ。

調査会社ボイスボット・エーアイ(Voicebot.ai )が2018年5月に発表したレポートでは、全米の成人2億5,200万人のうち、19.7%の4,730万人がスマートスピーカーをすでに所有しているという結果になった。この調査では、スマートスピーカーのシェアについても言及しているが、アマゾンが61.9%と圧倒的な占有率になっており、2位のグーグル(26.9%)に大きな差をつけている。

この調査でもボイス・ショッピングについて聞いているが、アメリカでは26.9%がすでにボイス・ショッピングを行っているという結果になっている。

IT業界の巨人グーグルは、アマゾンに対抗できる技術力を持ちながらスマートスピーカーでアマゾンに大きな差をつけられている。ユーザーの利便性向上のために、小売業者と手を組むことで、アマゾンと対抗しようとするのは必然の流れだろう。また、ボイス・ショッピングでアマゾンに大きく先行された小売業者の危機感が大きいことも想像に難くない。

(つづく~「アマゾン・エフェクトの脅威vol.4 トランプ大統領はアマゾンを批判【フィスコ 株・企業報】」~)

《HH》

提供:フィスコ

関連記事・情報

  1. ソフトバンク効果で“鉄壁テーマ”急浮上! 狙え「配当利回り5%」銘柄<株探.. (12/08)
  2. 話題株ピックアップ【夕刊】(1):アカツキ、HEROZ、国際石開帝石 (12/10)
  3. 利益成長“青天井”銘柄リスト【総集編】第2弾 30社選出 <成長株特集> (12/09)
  4. 話題株ピックアップ【夕刊】(2):コマツ、ダイヘン、ソフトバンク (12/10)
  5. 話題株ピックアップ【夕刊】(3):大和ハウス、積水ハウス、三菱UFJ (12/10)
  6. 【↓】日経平均 大引け| 急反落・一時500円超安、米中摩擦への警戒感で売り優勢 (12/10)
  7. 本日の【ストップ高/ストップ安】 引け  S高= 10 銘柄  S安= 5 銘柄 (12月10日)
  8. ★本日の【サプライズ決算】速報 (12月10日)
  9. 明日の決算発表予定 シーイーシー、HISなど10社 (12月10日)
  10. レーティング日報【最上位を継続+目標株価を増額】 (12月10日)

人気ニュース (直近8時間)

  1. 1
    .「AI人材バブル」が来る――究極の大相場が待つ“特選5銘柄” <株探トップ特集> 特集
  2. 2
    【杉村富生の短期相場観測】 ─ 急騰の昭和、波乱の平成、そして希望の令和に! 市況
  3. 3
    【北浜流一郎のズバリ株先見!】 ─ 近づく外国人買い転換の足音! New! 市況
  4. 4
    利益成長“青天井”銘柄リスト〔3-5月期〕 22社選出 <成長株特集> 特集
  5. 5
    今週の「妙味株」一本釣り! ─ ウェルビー 注目
人気ニュースベスト30を見る
ゲストさん プレミアム会員登録
ログイン PC版を表示
【当サイトで提供する情報について】
当サイト「株探(かぶたん)」で提供する情報は投資勧誘することを目的としておりません。
投資の最終決定は、ご自身の判断でなされますようお願いいたします。
当サイトにおけるデータは、東京証券取引所、大阪取引所、名古屋証券取引所、 China Investment Information Services、CME Group Inc. 等からの情報の提供を受けております。
日経平均株価の著作権は日本経済新聞社に帰属します。
(C) MINKABU THE INFONOID, Inc.