ステップ Research Memo(1):今後2年間は将来の発展に向けた事業基盤づくりのための投資期間と位置付け

特集
2018年12月12日 15時01分

■要約

ステップ<9795>は神奈川県内で小学5~高校3年生を対象とした学習塾「STEP」を展開している。教師のプロ化による質の高い学習指導力に定評があり、「トップ校」(19校)と呼ばれる県内公立進学校の合格者数では2位の学習塾を2倍以上引き離し独走状態となっている。2018年9月末の校舎数は小中学部が128スクール、高校部が14校、個別指導部が1校のほか、2016年3月より新たに開始した学童保育「STEPキッズ」1校の計144校(前期末比5校増)となっている。新規開校数は年間4~5校ペースと堅実で、学習塾業界の中ではトップクラスの収益性と安定性を誇る。

1. 2018年9月期の業績動向

2018年9月期の売上高は前期比4.4%増の11,033百万円、経常利益は同4.8%増の2,760百万円とほぼ会社計画どおりの着地となり、過去最高業績を連続更新した。期中平均生徒数は小中学生部門で前期比3.6%増、高校生部門で同2.8%増、合計で同3.4%増と堅調に推移した。引き続き、同社の学習指導方針や志望校への高い合格実績が支持されているほか、2017年春から新たに導入した「はば広教養」※が好評で、新規生徒数増加の一因となっている。そのほか、2016年3月末から開始した「STEPキッズ」(学童保育)も、多彩で質の高いプログラム(理科実験、英会話やはば広教養、エンジョイプログラム等)が好評で順調に生徒数を伸ばし、2018年9月期は開校2年半にして若干ながらも黒字化している。

※社会的分野や理科的分野など教科を超えた教養を幅広く身に着けていく授業。パワーポイントやプロジェクターを使って授業を進めていくほか、早押し機を使ったクイズ形式の授業も取り入れることで、「楽しんで学ぶ」カリキュラムとなっている。2017年春より小学5~6年生(全スクール)と中学1年生(一部スクール)で開始。2018年春より中学1年生も全スクールで開始した。

2. 2019年9月期の業績見通しと事業戦略

2019年9月期の業績見通しは、売上高で前期比3.7%増の11,442百万円を見込んでおり、利益については開示していない。今後2年間は将来の発展に向けた基盤づくりに集中して取り組む方針であり、利益目標をあえて設定せず積極的な投資を行っていく予定にしている。具体的な取り組みとして、中長期的に持続的な成長を実現していくため、川崎市や横浜市北部地区など今後も就学人口の増加が見込める地域で積極的にスクールを開校し、生徒増をはかっていく。生徒数を増やすためには当該地域でのブランド力を向上する必要があり、同社は、横浜市内の公立トップ校(9校)合計の合格実績トップを2年間で達成すべく「横浜プロジェクト」を始動させ、その先には当該地域で最も影響力の強い横浜翠嵐高校の合格実績トップ奪取を視野に入れている。同時にIT投資や人材育成投資、働き方改革などへの取り組みも進めていく予定だ。また、学童保育部門でも2020年春に2校目となる「STEPキッズ茅ヶ崎教室」を開校する予定で、そのための新校舎を建築する。これら投資を実行することで、一時的に利益率が低下する可能性があり、2020年9月期までは利益面で伸び悩む可能性があるものの、「横浜プロジェクト」が達成できれば横浜・川崎地区での生徒数増加が進み、業績も安定成長が続くものと予想される。

3. 株主還元策

株主還元策として、従来は配当性向30%を目安に増配を続けてきたが、今後2年間を投資期間と位置付けていることもあり、今回は2020年9月期までの配当予定をあらかじめ発表している。2019年9月期については前期比4.0円増配の38.0円、2020年9月期は40.0円と連続増配となる。あわせて、自己株式の取得(取得株数12万株、取得総額2億円を上限)も発表している。また、株主優待制度については従来と変わりなく、9月末の株主に対して保有株式数に応じてオリジナルQUOカード(1,000~3,000円分)を贈呈する。

■Key Points

・質の高い学習指導に定評、神奈川県内の公立トップ高校で圧倒的な合格実績を誇る

・小中学生、高校生部門ともに生徒数が着実に増加、学童保育部門も黒字化を達成

・「横浜プロジェクト」を始動、今後2年間で横浜・川崎エリアのブランド力向上を実現し、成長基盤を構築する

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《MH》

提供:フィスコ

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