Jストリーム Research Memo(7):ライブ配信以外全般的に好調を持続

特集
2018年12月12日 15時07分

■業績動向

1. 2019年3月期第2四半期の業績動向

Jストリーム<4308>の2019年3月期第2四半期の業績は、売上高3,333百万円(前年同期比20.3%増)、営業利益91百万円(同33.2%減)、経常利益88百万円(同38.4%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益53百万円(同72.7%減)となった。売上高は、医薬系業界を中心としたライブ配信受注が想定を下回る結果となったものの、メディア向けでコンテンツ配信サービスの内容や機能強化に伴って実施されるシステム開発関連の大口受注があったほか、金融向けでは情報共有・情報提供に関連するシステムやWebサイトの構築、一般企業向けにはWebサイトリニューアルに係る比較的大口の案件を獲得できた。また、前期に子会社化したイノコスの売上高も貢献した。利益面では、開発・運用体制の強化に伴う先行費用に加え、Webサイトリニューアルやシステム開発、映像制作など比較的外注比率の高い案件が増加したため労務費や外注費、業務委託手数料の増加、仕入販売主体で原価率の高いイノコスの子会社化もあって、売上総利益率が低下した。販管費については、特段の増加要因がなく前年同期並みにとどまった。なお、営業利益の進捗率が低いのは、医薬系向けライブ配信が第1四半期を中心に苦戦したことが主因だが、、メディアなどの配信システム開発など、他の分野でカバー可能と思われる。

事業別では、配信事業が売上高1,674百万円(前年同期比0.8%減)、営業利益432百万円(同22.0%減)となった。メディアにおいてコンテンツ配信関連の技術サポートやライブ配信の大口案件を獲得したが、医薬系企業によるオンライン講演会など情報提供に関連するライブ配信案件の受注が想定を下回ったこと、採算の低い代理販売サービス(仕入売上)の活用や外注が多くなったことから減収減益となった。制作・システム開発事業は、売上高1,187百万円(同16.8%増)、営業利益38百万円(前年同期は3百万円の損失)となった。制作子会社における映像制作受注は軟調に推移したものの、メディア系のコンテンツ配信のシステム開発や、金融情報提供のための映像・Webサイトの制作、集客を意図したeスポーツスタジオ構築、一般企業のWebサイトリニューアルなど、Web制作から映像制作、システム開発まで全般的に比較的大口の受注が獲得できた。その他は、売上高471百万円(同603.9%増)、営業損失10百万円(前年同期は28百万円の損失)となった。売上増は、大手コンテンツホルダーのエンコード設備などの大型機器仕入販売が多いイノコスの子会社化の影響が大きかった。

事業戦略に従って先行投資を継続

2. 2019年3月期の業績見通し

2019年3月期の業績見通しについて、同社は売上高6,950百万円(前期比13.9%増)、営業利益375百万円(同5.0%増)、経常利益375百万円(同1.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益250百万円(同13.1%減)と見込んでいる。親会社株主に帰属する当期純利益の減益予想は、2018年3月期において子会社を清算した際に生じた税効果の反動で、一時的なものである。

事業戦略に従い、一般企業内の情報共有やコミュニケーションにおける動画の利用を促進、メディア企業に向けてIPサイマル放送関連市場への対応を充実させる方針である。このため、医薬系のライブ配信の回復を見込むとともに、企業の社内コミュニケーション用動画やメディア企業のコンテンツ配信などの需要増加も見込んでいる。一方、将来を見据えて、大規模配信のための技術投資や新規事業の開拓・展開、必要な人員確保のための投資を積極的に進めていく考えである。また、同社内の経営管理面の充実を考慮して、業務対応力の強化に向けた人材の有効活用や、業務負荷の集中などを考慮した適切な人員採用、社内業務のシステム化を推進するなど、多様な働き方やキャリアパスにも対応できる制度を構築する方針である。このため、2018年3月期に引き続き営業利益は増益を予想するものの、その伸び率はやや低くなる見込みとなっている

なお、第2四半期の業績がやや厳しいものになった要因は、ライブ講演会の減少など医療向けの売上高が減少したことにある。従来の高コストと言われるMR(Medical Representative)を利用した対面営業からWeb講演会による情報発信などへと、医薬業界での販促方法が変化していることが同社の成長をけん引してきたが、第1四半期において、一部大口顧客が販売戦略を一時的に凍結した影響が出ている模様。顧客の組織変更や一部価格競争が背景にあるもようだが、現場対応力などで優る同社の受注は第2-第3四半期にかけて既に回復しつつあるようだ。今後も引き続き販促方法の変化が進行することが予測される上、地方拠点での小規模開催などに伴い回数が増える見込みもあり、医薬業界は再び同社の成長をけん引していくものと期待される。一方、動画など大容量のファイル配信が急増していることから、主力の「J-Stream CDNext」に集中して営業を強化、ソフトウェア更新の多いゲーム業界に特化したプランを投入したり、12月に向けて増える傾向にあるライブ配信の受注をこまめに確保したりすることで、今期売上高のプラスオンを図る。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)

《MH》

提供:フィスコ

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