エノモト Research Memo(6):やや保守的な印象のある売上予想

特集
2018年12月14日 15時06分

■業績動向

3. 2019年3月期の業績見通し

2019年3月期業績見通しについて、エノモト<6928>は売上高20,500百万円(前期比7.3%減)、営業利益1,250百万円(同25.4%減)、経常利益1,350百万円(同15.7%減)、親会社株主に帰属する当期純利益1,050百万円(同15.7%減)を見込んでいる。なお、第2四半期業績の発表と同時に、2019年3月期通期の業績見通しを売上高で1,000百万円、営業利益で450百万円、経常利益で350百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で250百万円と下方修正した。理由は、自動車向けや大型ディスプレイ向け部品は概して当初計画どおりに業績が推移しているものの、第1四半期にスマートフォン向けコネクタの出荷開始時期が遅れた影響を考慮したためである。ただし、第3四半期に入ってスマートフォン向けも好調さを取り戻したようで、生産繁忙期に向けて収益は改善していくことが期待される。このため、新しい売上高予想はやや保守的な印象である。

製品群別の業界及び同社の見通しは、IC・トランジスタ用リードフレームについては、市場の堅調な動きは変わらず、むしろ今後、産業機械やサーバーなどIoT需要や自動車の電装化率上昇、自動運転技術の進化の恩恵を受ける見込みである。このため中期的な出荷数量の伸びは5~6%増と見られている。同社も、車載向けは2020年3月期に向けて変わらず堅調で、計画どおりの推移を見込んでいる。オプト用リードフレームに関しては、国内で2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けたインフラ整備や大型設備投資に向けて増大が見込まれており、パブリックディスプレイの中期成長率は8%ほどと言われている。同社では足元、当初想定を上回る好調な推移になっているもようで、特に大型設備投資向けの需要は中長期的な成長が期待されている。コネクタ用部品については、市場もスマートフォン部品の出荷後ろ倒しの影響はあるが、車載用大型コネクタ部品の需要は引き続き堅調な上、ウェアラブルやコネクテッドカーが伸びていることから、市場規模は中期的に3%弱程度の成長が期待されている。同社も、スマートフォン向け部品の第1四半期の遅れを完全に挽回することは短期的には難しいが、エアバッグ関連など車載向けコネクタが相変わらず堅調な推移が見込まれるため、生産能力を強化する方針である。また、得意の微細化技術でウェアラブル関連部品も伸びている。

同社は、2018年3月期に引き続き品質改善と製造コスト低減を目的に、生産プロセスの自動化や効率化を推進している。一方、金属と樹脂の精密複合加工技術という強みを生かして、新規顧客の開拓を積極的に行う方針でもある。第2四半期に通期業績見通しを下方修正したが、下期については確実に見込める需要しか業績予想に織り込んでいないと思われる。検査工程や金型製造など工場における自動化やカイゼン活動による生産性の向上、2015年に開設したフィリピン・カビテ第2工場の稼働率上昇と効率の改善、前期に実施した工場修繕の一巡など加え、第3四半期など足元の状況を見る限りスマートフォン向けの苦戦は一時的と考えられること、同社技術力や製品の高品質性、顧客ニーズへの対応力が秀でていることなどから、今後も同社製品群に対する信頼に変化はないと考えられる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)

《RF》

提供:フィスコ

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