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2019年1月13日 9時00分
市況

EU離脱法案否決後のポンド相場【フィスコ・コラム】

外為市場は1月15日、2019年最初のヤマ場を迎えそうです。イギリスの欧州連合(EU)離脱合意法案は議会で採決される予定ですが、承認を取り付けるのは困難とみられ、ポンドの値動きが警戒されます。どのような相場展開となるでしょうか。

イギリス政府はメイ政権が取りまとめた合意案について審議の結果、15日夜(日本時間16日未明)以降に採決する方針です。メイ英首相はそれに先立ちテレビ番組に出演し、議会がこの合意案を承認しない場合は「未知の領域」に入るとの見解を示し、強硬離脱を示唆しています。また、3月29日としているEU離脱について延期の可能性も否定し、不退転の決意を示しました。

採決は昨年12月10日に予定されていましたが、メイ首相は支持を得られないと判断し、先送りしています。同首相は年末年始を挟み、支持を広げようと保守党議員への説得を続けましたが、状況に変わりはないもようです。下院650議席のうち正副議長などを除いた過半数は320ですが、強硬派以外の保守党は245にとどまり、北アイルランドの地域政党で、連立を組む民主統一党(DUP)も反対しています。

議会が合意案を否決した場合、政府に対し交渉の決裂を容認するか、再交渉を要求するかの選択肢はあり、前者は強硬離脱となります。また、後者の再交渉の要求に対し、EU側がイギリス議会の決議を尊重する形で容認すればなお修正の余地はありますが、拒絶すればやはり強硬離脱しか道はありません。一方、労働党は議会の否決後、内閣不信任案を提出する構えをみせています。

ここへきて親EU派の議員から強硬離脱を回避する動きが広がり、議会否決後3日以内にメイ首相が議会に提出する代替策にらみとなりそうです。ポンドの値動きに関しては、議会否決はほぼ織り込み済みで極端な売りは想定しにくい状況です。むしろ買い戻しで急反発も予想されます。1月14-18日の週は消費者物価指数(CPI)など重要指標の発表が目白押しですが、議会の動きが中心となるでしょう。

ポンドが急落する場面は、労働党を中心とする野党が内閣不信任案を提出した時です。保守党内でメイ首相に批判的な強硬派が党議拘束を破って野党に同調し、解散・総選挙を容認するケースです。2017年6月の総選挙では、当初惨敗が見込まれていた労働党が福祉政策の拡充を主張して大健闘した経緯があり、イギリスが社会主義国家に生まれ変わるとの懸念がポンドを強く押し下げるでしょう。

ただ、1年半前の選挙は「ブレグジット選挙」と言われたわりに、離脱問題への議論が深まりませんでした。労働党のマニフェストはソフト路線の離脱にとどめています。仮に労働党政権が発足した場合、経済や社会の構造を変える可能性からブレグジットの話題性は急速に過去の問題となっていきそうです。国家の分断が深まるだけの不毛なブレグジットを終わらせるには、それが一番の解決策のようにも思えます。もっとも、その場合、財政支出の急拡大が嫌気され、ポンドの長期下落トレンドは避けられないかもしれませんが。

(吉池 威)

※あくまでも筆者の個人的な見解であり、弊社の見解を代表するものではありません。

《SK》

提供:フィスコ

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