NYの視点:世界経済の見通しに悲観的見方広がる

経済
2019年1月23日 7時40分

米政府機関閉鎖が1カ月超の長期にわたっている。解除される兆しもまだ見られない。スイスのダボスでは22日から25日まで、恒例の世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)が開催されている。米国はトランプ大統領、ムニューシン財務長官をふくみチームの出席を政府機関閉鎖の影響で、取りやめた。英国のメイ首相も、離脱問題解決を最優先にし、出席を見合わせた。昨年は参加したフランスのマクロン大統領も欠席するなど、政治関係者は出席を見送る動きが多々見られた。ムニューシン米財務長官は昨年のダボス会合で、「米国経済にとりドル安が良い」と発言し、ドルの急落につながった。一方で、例年のように著名投資家の発言に注目が集まる。

会合では、多くの著名投資家による景気悪化への警告が目立つ。ヘッジファンド運営会社ブリッジウォーター・アソシエーツを率いるダリオ氏は会合で、次の世界経済の不況が最大の脅威だと述べた。金融政策に限界があると指摘。また、米国経済は2020年にも景気後退に陥る大きなリスクがあると警告し、やがてFRBが利下げを強いられる可能性を指摘した。米国だけでなく、欧州、中国、日本など世界的な成長悪化を警告。国際通貨基金(IMF)は世界経済の成長見通しを2019年3.5%、2020年3.6%と、前回10月の予測3.7%からそれぞれ引き下げた。

実際、全米不動産業者協会(NAR)が発表した12月中古住宅販売件数は499万戸と、予想を下回り3年ぶり最低となった。中国の2018年の国内総生産(GDP)経済も6.6%成長と、1990年来の低い伸びに落ち込んだ。

米中貿易協議にもリスクが存続。米国が中国通信機器大手、ファーウェイの副会長兼最高財務責任者(CFO)の身柄引き渡しをカナダに正式要請する方針だとの報道を受けて、中国外務省が「もし、米国がファーウェィのCFO身柄引き渡しを要請した場合、重大な問題となる」と警告。楽観視されていた貿易協議の進展も覆されるリスクが高まる。第2次米朝首脳会談にも影響を及ぼしかねない。

●世界経済への悲観的要因

・米政府機関閉鎖32日目、解除の兆しなし

・IMFが世界経済の成長見通しを引き下げ、2019年3.5%(10月3.7%)、2020年3.6%(10月3.7%)

・ブリッジウォーター・アソシエーツを率いるダリオ氏「米国経済は2020年にも景気後退に陥る大きなリスク」「次の世界経済の悪化が最大の懸念に、金融政策が限定的」

・英国の欧州連合(EU)離脱への不透明感

・米中貿易協議

・2018年の中国国内総生産:+6.6%、1990年来の低水準

・米中古住宅販売3年ぶり低水準

《CS》

提供:フィスコ

人気ニュースアクセスランキング 直近8時間

特集記事

株探からのお知らせ

過去のお知らせを見る
米国株へ
株探プレミアムとは
PC版を表示
【当サイトで提供する情報について】
当サイト「株探(かぶたん)」で提供する情報は投資勧誘または投資に関する助言をすることを目的としておりません。
投資の決定は、ご自身の判断でなされますようお願いいたします。
当サイトにおけるデータは、東京証券取引所、大阪取引所、名古屋証券取引所、JPX総研、ジャパンネクスト証券、China Investment Information Services、CME Group Inc. 等からの情報の提供を受けております。
日経平均株価の著作権は日本経済新聞社に帰属します。
株探に掲載される株価チャートは、その銘柄の過去の株価推移を確認する用途で掲載しているものであり、その銘柄の将来の価値の動向を示唆あるいは保証するものではなく、また、売買を推奨するものではありません。
決算を扱う記事における「サプライズ決算」とは、決算情報として注目に値するかという観点から、発表された決算のサプライズ度(当該会社の本決算か各四半期であるか、業績予想の修正か配当予想の修正であるか、及びそこで発表された決算結果ならびに当該会社が過去に公表した業績予想・配当予想との比較及び過去の決算との比較を数値化し判定)が高い銘柄であり、また「サプライズ順」はサプライズ度に基づいた順番で決算情報を掲載しているものであり、記事に掲載されている各銘柄の将来の価値の動向を示唆あるいは保証するものではなく、また、売買を推奨するものではありません。
(C) MINKABU THE INFONOID, Inc.