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2019年3月26日 17時31分
特集

富士ソフト Research Memo(1):1970年設立の独立系大手ITソリューションベンダー

■要約

1. 会社概要と事業内容

富士ソフト<9749>は、1970年5月設立の独立系大手ITソリューションベンダーである。そのルーツは、現在の同社代表取締役会長執行役員である野澤宏(のざわひろし)氏が自宅で自身に加え2名の社員とともに開業した株式会社富士ソフトウエア研究所であり、設立から半世紀近くを経た今、連結子会社29社、持分法適用非連結子会社2社、持分法適用関連会社2社で構成される従業員数14,000人超のグループにまで発展している。

報告セグメントは、SI(システムインテグレーション)事業、ファシリティ事業、その他の3つからなる。主力のSI事業では組込系/制御系および業務系ソフトウェア開発を軸に多彩なソリューションメニューを提供、ファシリティ事業はオフィスビルの賃貸、その他はBPOサービス事業やコンタクトセンター事業、再生医療事業等を行っている。

2. コアコンピタンスは「技術力+提案力」

同社は、自社が顧客から選ばれる理由を「日々進化し続ける高い技術力と提案力にある」としている。自動車や半導体製造装置など極めて高い精度が要求される組込系/制御系ソフトウェアの開発を通じて得た先進技術ノウハウと幅広い業種向けへのソリューション提供で培われたシステム構築力、独立系ならではの柔軟なプロダクト提供力などに裏打ちされた「技術力と提案力」を自社のコアコンピタンスとすることへの納得度は高い。

3. 財務体質の強化を果たしつつ、リーマン・ショック前のピーク売上高を2期連続で更新中

同社は、創業来リーマン・ショック前のピーク売上高(2006年3月期)を2017年12月期に更新、続く2018年12月期も2ケタ増収を実現している。ピーク売上高更新まで実に10年余り要したわけだが、その間にフロー利益の回復だけでなく、財務体質の強化と成長ポテンシャルの増強が図られている点は高く評価できる。

具体的には、自己資本比率が2006年3月期末47.3%→2018年12月期末54.6%、流動比率が同96.4%→同161.8%など、代表的な財務指標は大幅な良化を実現している。その一方で、2015年12月期以降の新卒中心の大量採用により、従業員数は同9,415人→同14,910人と1.6倍にまで拡大、単体ベースの認定技術者比率(同社制度に基づく認定スペシャリストと認定プロダクトマネージャーの合計数が全従業員数に占める比率)を見ると2014年12月末22.8%→2018年12月末29.2%と上昇しており、人材面から見た成長ポテンシャルは質・量ともに拡充されていることが読み取れる。

4. 先行投資と働き方改革に注力しながらも、長期的には一段の収益性向上を目指す

2019年2月に公表された同社による2019年12月期の業績予想は、売上高が前期比3.0%増の210,500百万円、営業利益が同2.6%増の11,700百万円、経常利益が同1.1%増の12,200百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同2.8%増の6,700百万円である。2018年2月に公表された業績予想(売上高:193,000百万円、営業利益:10,300百万円)に対して、売上高は9.1%、営業利益は13.6%の上方修正がされている。

また、2020年12月期の業績予想も、売上高199,000百万円→217,000百万円(前期比3.1%増)、営業利益10,600百万円→12,000百万円(同2.6%増)と上方修正された。どちらの予想も2ケタ増収増益となった2018年12月期実績における上振れ分を単純に上乗せしたものであり、増収局面にありながら営業利益率が横ばい見込み(2018年12月期実績5.6%→2019年12月期予想5.6%→2020年12月期予想5.5%)となっていることも加わって、物足りなさも感じられるだろう。

これらの点について会社側は、1)公表業績予想は必達目標であり、更なる上積みが可能、2)収益性に対する課題認識は持っており、長期的には一段の収益性向上を目指す、としている。先行投資と働き方改革に注力しながらも、売上総利益率や営業利益率を維持していることは評価に値し、1人当たり生産性の向上も認められるため、今後の収益動向については期待を持って見守りたい。

■Key Points

・1970年創業の独立系大手ITソリューションベンダー。積極的な人材投資と補完的M&A戦略が奏功し、売上高1,000億円の壁を大きく突破、2018年12月期末の連結従業員数は15,000人に迫っている

・コアコンピタンスは豊富な実績と企業理念に裏打ちされた「技術力と提案力」。リーマン・ショック後の業績低迷期を経て、財務体質の強化と成長ポテンシャルの増強を実現しており、イノベーション企業グループを目指した「挑戦と創造」が加速しつつある

・同社による業績予想公表値は、やや物足りない内容ながら必達目標との位置付け。先行投資と働き方改革に注力しながらも、売上総利益率や営業利益率を維持していることは評価に値し、1人当たり生産性も向上しているため、今後の収益性動向については期待を持って見守りたい。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 前田吉弘)

《MH》

提供:フィスコ

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