好決算先取り! 20年3月期「最高益大復活」候補7銘柄に照準 <株探トップ特集>

特集
2019年4月9日 19時30分

―決算発表シーズン突入が目前、長い雌伏期間を経て最高益を塗り替える有望株はこれだ―

3月期決算企業の本決算発表が今月下旬から本格化する。直近3ヵ月の18年10-12月期決算では、中国景気の減速やスマートフォン市場の鈍化などが逆風となり、増益基調が続いていた企業業績に急ブレーキがかかった。米中貿易摩擦の行方など引き続き先行き不透明感が拭えないなか、20年3月期は慎重な計画を立てる企業が増えるとの見方が多い。

一方、こうした逆風下において大幅増益や過去最高益を見込む企業へのマーケットの視線は一段と熱いものになりそうだ。すでに発表を終えた12月期決算企業ではその動きが顕著で、好業績見通しを発表した企業の株価は堅調な値動きをみせるものが目立つ。そこで今回は最高益のなかでも「最高益復活企業」に着目し、20年3月期に長い雌伏期間を経て最高益を塗り替える可能性の高い有力候補を探った。

●本決算発表はGW10連休明けに集中

3月期決算企業の本決算は、大半が4月下旬から5月中旬にかけて発表する。東京証券取引所の集計(4日現在)によると、連休前の4月26日までに発表を終えるのは全体のおよそ15%にあたる343社で、8割超の企業は5月7日以降に発表する予定となっている。今年はゴールデンウィーク10連休があり、連休明けの金曜日にあたる10日や“45日ルール”の最終日となる15日に発表が集中するとみられていたが、最大ピークの10日でも459社(昨年ピークは641社)にとどまり、東証の呼びかけにより分散された形となった。

●大復活サプライズの株価インパクトに期待

20年3月期は米中貿易摩擦や世界景気減速の影響が懸念されるほか、国内でも根強い節約志向やコスト高を背景に苦戦を強いられることが予想される。そうしたなか、利益成長が長期停滞を脱し、成長路線への復帰が期待される“最高益大復活”企業には注目が集まりそうだ。久しぶりに最高益を更新する企業については市場に業績復活が十分に織り込まれていないケースが多く、株価に大きなプラスインパクトをもたらす材料となる。

以下では、足もとの業績が増収増益基調で19年3月期の経常利益見通しが過去最高益に接近し、20年3月期に10年以上のブランクを経て最高益更新が期待できる7社をリストアップした。

●鉄建は38年ぶり大復活にトライ

大復活期待のトップバッターは鉄建建設 <1815> 。1944年の創業当初から鉄道工事に強みを持ち、現在も筆頭株主の東日本旅客鉄道 <9020> から多くの工事を受注するなど鉄道工事でトップクラスの実績を誇る。また、道路やトンネルといったインフラ工事、ビルやマンションなど建築工事での評価も高い。19年3月期は土木工事、建築工事ともに手持ち工事の進捗が順調なうえ、採算を重視した選別受注などで利益率も改善傾向にある。18年4-12月期経常利益の通期計画72億円に対する進捗率は90.5%に達しており、計画から上振れする可能性が高いとみられる。20年3月期は豊富な受注残高を背景に、1982年3月期に記録した過去最高益84億2800万円の更新に期待がかかる。

●クレオは旺盛なIT投資が追い風

ソフト開発会社のクレオ <9698> [JQ]とNSD <9759> は、業務効率化ニーズの高まりや働き方改革の進展を背景とする企業の旺盛なIT投資意欲が業績にフォローの風となっている。クレオの19年3月期は主力の会計・人事給与パッケージソフト「ZeeM」を中心とするソリューションサービスで複数の製品やサービスを組み合わせて提案する大型案件を獲得しており、これが業績を押し上げている。20年3月期はソリューションサービス事業が収益を牽引する形で、中期経営計画において必達目標に掲げる20年ぶりの過去最高益を更新する公算が大きい。昨年投入したクラウド型RPAサービスで業務自動化ニーズも取り込む構えにあり、連続2ケタ増益が期待される。

●NSDは“新コア事業”への注力で一段の業績拡大へ

一方、NSDの19年3月期は主力の金融向けシステム開発で生保・損保の受注が好調なうえ、サービス業や製造業向けなどの受注も大きく伸ばしている。1月には足もとの業績好調を踏まえ、中期経営計画における20年3月期の経常利益目標を91億円(従来計画は84億円)に引き上げており、08年3月期に記録した最高益88億7900万円をクリアしてくるとみられる。今期は人工知能(AI)IoT(モノのインターネット)関連など“新コア事業”への注力で新たな業績拡大ステージに歩を進める。また、20年3月期は50周年記念配当を予定しており、こちらも要注目だ。

●富士急は富士急ハイランド入園無料化で21年ぶり最高益狙う

富士急行 <9010> の19年3月期は昨年7月から入園を無料化した「富士急ハイランド」の来園数が増加するなど、レジャー・サービス部門の収益が拡大している。また、富士急ハイランドとの連携効果などでバス事業を主力とする運輸部門も伸びており、通期計画(53億4000万円)の到達は濃厚とみられる。20年3月期は1999年3月期に記録した過去最高益59億7000万円が見えてくる。株価は3月7日に29年ぶり高値4285円をつけたあと膠着状態にあるが、21年ぶりの最高益大復活となればもみ合い上放れが期待できそうだ。

●東洋合成は高成長ステージ突入へ

東洋合成工業 <4970> [JQ]は半導体や液晶ディスプレーの製造に使用されるフォトレジスト用感光性材料で世界トップシェアを誇る化学メーカー。19年3月期は主力の感光性材料が絶好調なうえ、電子材料向け高純度合成溶剤の引き合いも旺盛で、経常利益は前の期比24.0%増の13億5000万円を見込む。この業績高変化を支えるのが継続的な生産能力増強だ。足もと感光材生産ラインの拡張工事をしているほか、20年9月には感光材新工場の稼働を予定している。23年3月期を最終年度とする中期経営計画では、経常利益30億円と5年で3倍化させる目標を掲げる。

●メイテックはリーマン前を超える水準に復帰

製造業向け技術者派遣大手のメイテック <9744> はリーマン・ショックの影響を受けて10年3月期に赤字に転落したが、その後は増収増益基調を続け最高益に手が届く位置まで回復してきた。足もとでは自動運転やコネクテッドカーなどの開発プロジェクトが急増している自動車関連の伸びが顕著である。19年3月期の経常利益予想は120億円と06年3月期に記録した最高益125億円が目前に迫る。同社は総還元性向80%を目標としており、株主還元の切り口で魅力が高いことも注目ポイントだ。

●A&Dはホロン連結化で12年ぶり最高益の公算

エー・アンド・デイ <7745> は高精度な計測技術に強みを持ち、薬品などに使用される電子てんびんで国内シェアトップを誇る計測・計量機器メーカー。昨年6月に持分法関連適用会社だったホロン <7748> [JQ]を連結子会社化しており、これが足もとの業績を大きく押し上げている。19年3月期はホロンで半導体測定・検査装置の販売が急増しているうえ、自動車業界の活発な設備投資を背景に、計測・制御シミュレーションシステムの受注も高水準にある。指標面では予想PER7倍台と超割安で、大幅増益予想となれば見直し買いの動きが強まりそうだ。

◇“10年超ぶり”大復活が期待される7銘柄

最高益  ┌── 経常利益 ──┐

コード 銘柄名   間隔期数 19年3月期 過去最高益/決算期

<1815> 鉄建建設     38    7200    8428(1982年3月期)

<9698> クレオ      20    680     705(2000年3月期)

<9759> NSD      12    8510    8879(2008年3月期)

<9010> 富士急      21    5340    5970(1999年3月期)

<4970> 東洋合成     15    1350    1545(2005年3月期)

<9744> メイテック    14   12000    12562(2006年3月期)

<7745> A&D      13    3200    3418(2007年3月期)

※「最高益間隔期数」は20年3月期の経常利益予想が過去最高益となった場合、何年ぶりの最高益となるかを表したもの。

※経常利益の単位は百万円。

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