明日の株式相場戦略=過度な米利下げ期待後退も大勢に影響なし
きょう(8日)の東京株式市場は、日経平均株価が3日ぶりに反落した。変化日で前週のリスクオン相場が一服するタイミングではあったが、このまま下降トレンドに向かうような下げではなく、自然な押し目形成とみてよさそうだ。国内投信のETFによる分配金捻出のための売り圧力も反映された。市場では週央の10日も同様の売り圧力を警戒する声はあったが、いずれにせよこれは一過性の要因で、波の上下動に過ぎない。
米早期利下げへの期待感が高まる中にあって、6月の米雇用統計が強すぎた。しかし、これによって7月利下げ観測が根底から覆されれば、それは問題だが、0.5%の利下げの選択肢が消えただけでは米国の上昇トレンドが決壊するとは考えにくい。今週10~11日のパウエルFRB議長の議会証言も株式市場に配慮したものになるはずで、乱気流に巻き込まれるようなことはないだろう。むしろ米10年債利回りが2%台を回復してきたことは、外国為替市場でドル売り・円買いの動きに歯止めをかける材料として前向きに捉えることもできる。
もっとも、きょうは中国・上海株市場の下げも大きく、アジア株が総じて売りに晒されたことも投資家心理を揺さぶっている。米中摩擦の問題も、協議の再開は必ずしも解消に向けた前進を意味するものではないだけに、この点は注意したい。
個別株の物色意欲は引き続き旺盛だ。そのなか、低位株人気を先導するのが日本通信<9424>で売買高は9500万株強と1億株商いにあと一歩、一時17%高の277円と気を吐いた。既に全員参加型材料株の様相を呈しているが、2014年7月には1268円の高値に買われた実績があるだけに、この時の大相場の記憶が投資資金の拠りどころとなっているフシもある。同社株は昨年5月から6月にかけても今回と同様の上昇パフォーマンスを演じており、差し当たってはその時につけた高値298円を抜き、300円台に乗せてくれば新たな視界が開けてくる可能性もある。
このほか、きょうは5G関連では大泉製作所<6618>、バイオ関連ではフェニックスバイオ<6190>などがストップ高。ソフトマックス<3671>などの足も軽い。
このほか新しいところではnmsホールディングス<2162>の400円近辺のもみ合いや5日・25日移動平均線のゴールデンクロスからチャートが好形となっているユビキタス AI コーポレーション<3858>などもマークしておきたい。光通信関連が引き続きマーケットの潜在的なテーマとなるなか、西日本を地盤に設計測量を行うウエスコホールディングス<6091>も面白い存在といえそうだ。
日程面では、あすは6月の工作機械受注が発表されるほか、5年物国債入札が予定される。海外ではEUの経済・財務相理事会、米国では3年物国債入札が予定される。(中村潤一)
出所:みんなの株式(minkabu PRESS)