明日の株式相場戦略=“逆アベノミクス”のリスクと向き合う

市況
2019年8月19日 17時58分

週明け19日の東京株式市場は、日経平均が144円高と続伸した。朝方に2万600円台まで上値を伸ばした後は伸び悩んだが、これは想定の範囲で、むしろ前場後半の利食い急ぎの動きを引き継ぎ、後場一段と値を消すような展開にならなかったのは地合いの強さを映したともいえる。

東京市場は「世界景気の減速に対する懸念と、金融・財政両面からの政策期待の狭間で揺れ動く展開」が続いているが、きょうのところは前週末の米国株市場でのダウ300ドル高の残像が買い方に味方した格好となった。

今週は、22~24日の日程で行われるジャクソンホールでの国際経済シンポジウムを材料視する声が強く、この結果次第で相場は再びボラティリティが高まる可能性がある。したがって今は売り買いともにポジションを一方向に傾けにくい環境にあるが、それにしてもアルゴリズム売買が休止した時は、東京市場における市場参加者の少なさが浮き彫りとなる。

きょうの売買代金は1兆5000億円台とお盆明けにも関わらず再び超閑散相場の色を強めた。米10年債利回りの低下が一服し、為替市場でも足もと1ドル=106円台前半までドルが買い戻される円安の追い風が吹き、更に中国や香港など同時進行のアジア株も軒並み高となっている。この環境下で日経平均が下値を探るケースは考えにくいわけだが、売買代金の低迷は気になるところだ。

海外資金が日本株を素通りする理由があるとすれば、それはただ一つ、10月の消費税引き上げだ。8%から10%と引き上げ幅は2%に過ぎないが、これは安倍政権の政策センスに対する拒絶反応。「たかが2%、されど2%」である。中国では財政出動の観測が浮上しているが、安倍政権も消費税引き上げの緩衝材としての景気対策を本気で考えないといけない局面に来ている。このままではそれこそ、“逆アベノミクス”になってしまう。

日銀のETF買いや国内年金資金によるPKO的な買い、あるいは自社株買いで下値を支えても、狭いボックス圏内で無機質なアルゴ売買に身を委ねるだけになりかねない。市場は投資家に上値を買う動機を起こさせる材料を渇望している。もちろん、これは海外発ではなく、安倍政権を発信源とするものでなければならない。

個別では前週取り上げた日本ファルコム<3723>が強い動き。RPGのヒット作「イース」最新作が9月リリースされる。また、不動産セクターではテーオーシー<8841>が上値指向で継続マークしてみたい。このほか新しいところでは、目先動意含みとなってきた電子書籍関連で、低位のSEホールディングス・アンド・インキュベーションズ<9478>に妙味が感じられる。また、社名でSEつながりは偶然だが、橋梁向け補強ケーブルで強みを持つエスイー<3423>も面白い。

日程面では、あすは20年国債の入札のほか、7月の主要コンビニエンスストアの売上高が発表される見通し。海外ではオーストラリアの中央銀行が金融政策会合の議事要旨を開示する。(中村潤一)

出所:みんなの株式(minkabu PRESS)

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