米国株式市場見通し:投資家のリスク選好姿勢が後退
先々週に米国が9月1日に実施予定である中国からの輸入品3000億ドル相当への追加関税措置で、一部製品に対する関税賦課の延期を発表し、貿易摩擦を巡る懸念が後退したものの、中国政府が米国からの輸入品750億ドル相当への関税措置を発表し、投資家心理が急激に悪化した。トランプ大統領は、同国の対応を強く非難しており、両国間で報復の応酬が続くだろう。今週は米中対立の深刻化を受けて株式相場は軟調推移が予想される。特に半導体を中心とするハイテク株の下落に注意が必要だ。
先週の金融・経済シンポジウムで、パウエルFRB議長は米経済が望ましい状況にあるものの、貿易を巡る不確実性の中で国外経済が減速しており、下方リスクに直面しているとの認識を示した。FF金利の先物取引から算出される利上げ確率は、年内に最低2回の利下げが予想されているが、連銀高官の多くが景気減速の兆しが見えない限り、金融政策は現状維持が望ましいとの認識を示しており、引き続き経済指標を注視する展開となりそうだ。
企業決算では、法人向けハードウエア・サービス事業のヒューレット・パッカード・エンタープライズ(27日)、宝飾品のティファニー(28日)、ビデオゲーム小売のゲームストップ(29日)、ディスカウントストアのダラー・ゼネラルやダラー・ツリー (29日)、家電量販店のベストバイ(29日)、PCメーカーのデル(29日)、食品会社のキャンベルスープ(30日)などの決算発表が予定されている。デルは、従来のPCハードウェアメーカーという印象が強く、より広範な事業を営むIT複合企業であると認識されていない。決算では、PCやITサービスなど中核事業が成長されているか注目したい。ゲームストップは、金融危機時に大きな利益を上げたことで知られるマイケル・バリー氏率いるサイオン・アセット・マネジメントが同社株を取得したことが明らかとなり、先週大きく上昇した。大規模な自社株買いの発表を行うかが注目点となりそうだ。
経済指標は、7月シカゴ連銀全米活動指数(26日)、7月耐久財受注(26日)、8月消費者信頼感指数(27日)、4-6月GDP改定値(29日)、7月卸売在庫(29日)、7月個人所得・支出(30日)などの発表が予定されている。
(Horiko Capital Management LLC)
《FA》
提供:フィスコ