前週末30日に「買われた株!」総ザライ (2) ―本日につながる期待株は?―
■レーサム <8890> 1,126円 (+36円、+3.3%)
レーサム <8890> [JQ]が大幅反発、上値追い基調を強めている。時価は3月初旬以来約5ヵ月半ぶりの水準に復帰、テクニカル的にも週足3陽連で13週・26週移動平均線のゴールデンクロスも目前に迫っている。富裕層向けに投資用不動産を売却する流動化ビジネスを展開するが、日銀による一段の緩和的措置が期待されるなか、資金調達コストの低下や有利子負債負担の軽減がフォローの風となる。PER5倍台で約4%の配当利回りも魅力となる。
■住友鉱 <5713> 2,991.5円 (+91.5円、+3.2%)
住友金属鉱山 <5713> 、三菱マテリアル <5711> 、三井金属 <5706> 、大阪チタニウムテクノロジーズ <5726> 、UACJ <5741> など非鉄株が軒並み高。ここ最近は金市況が一貫して上昇する一方、世界景気の減速懸念を背景として銅市況の下落歩調が際立っていた。足もとは米中摩擦問題に対する懸念後退から流れが変わり、LME銅先物価格は29日まで3日続伸、5営業日ぶりに終値ベースで1トン=5700ドル台を回復した。これに連動する形で非鉄セクター全般はリスクオフの巻き戻しによる買いを呼び込んでいる。
■アンリツ <6754> 1,989円 (+61円、+3.2%)
アンリツ <6754> 、アルチザネットワークス <6778> [東証2]、santec <6777> [JQ]など次世代通信規格「5G」関連株が軒並み高。29日に小池百合子東京都知事が5Gの通信網の拡大に行政として乗り出す方針を表明、通信キャリア大手と連携し、基地局整備を加速させる構えをみせていることで、関連銘柄を強く刺激している。これに歩調を合わせるように、民間企業も同分野の基地局実験などで風雲急の動きをみせている。同日に、住友商事 <8053> と東京急行電鉄 <9005> は、来年1月をメドとして渋谷駅周辺のハチ公前などで5Gの基地局を通信事業者向けにシェアリングする実証実験を開始することを発表している。通信計測器を手掛けるアンリツやアルチザ、5G基地局向け光モニターの製造販売を手掛けるsantecなどは商機につながるとの思惑で物色人気を集めた。
■明電舎 <6508> 1,749円 (+51円、+3.0%)
明電舎 <6508> が大幅反発。29日の取引終了後、従来未定としていた中間配当を25円にすると発表しており、前期の中間配当4円(ただし18年10月1日付で5株につき1株の割合で株式併合を実施)に対して実質増配となることが好材料視された。なお、期末配当予想は引き続き未定としている。
■ヒロセ電機 <6806> 12,070円 (+350円、+3.0%)
ヒロセ電機 <6806> が4日続伸。三菱UFJモルガン・スタンレー証券が29日付で、投資判断を「アンダーウエイト」から「ニュートラル」とし、目標株価を1万1000円から1万1500円へ引き上げたことが好材料視されたようだ。同社はスマホから車載・産機へ事業ポートフォリオを転換途上であり、車載向けコネクタの拡大に伴い業績成長が見込まれるという。車載向けは新分野が多く、今後も高成長を予想しているという。
■ファナック <6954> 18,455円 (+490円、+2.7%)
ファナック <6954> 、安川電機 <6506> など中国向け売上比率の高いFA関連株やコマツ <6301> 、日立建機 <6305> など建機株に買いが優勢。29日の米国株市場では米中摩擦問題における両国の姿勢がやや和らいだことで市場心理が改善し、NYダウなど主要株指数が大きく上昇した。キャタピラーなど中国関連に位置付けられる銘柄が軒並み買われており、この流れが東京市場にも波及した。
■JCRファーマ <4552> 8,160円 (+200円、+2.5%)
JCRファーマ <4552> 、タカラバイオ <4974> 、そーせいグループ <4565> [東証M]、ヘリオス <4593> [東証M]、サンバイオ <4592> [東証M]、カルナバイオサイエンス <4572> [JQG]、ナノキャリア <4571> [東証M]、リプロセル <4978> [JQG]、ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング <7774> [JQG]などバイオ関連株が一斉高に買われた。30日は、ここ急落をみせていたアンジェス <4563> [東証M]が切り返しに転じており、これに合わせて再生医療や遺伝子薬などを手掛ける創薬ベンチャーが大きく買い戻される格好となった。29日にiPS細胞から作った目の角膜の細胞を世界で初めて患者1人に移植したことを大阪大学のチームが発表、経過も順調なことが伝わり、これも再生医療関連銘柄の株価を刺激している。
■JXTG <5020> 439.1円 (+10.6円、+2.5%)
JXTGホールディングス <5020> 、出光興産 <5019> など石油関連株が上昇。世界景気の減速懸念などを背景に下落基調にあった原油価格も直近は急速に戻りに転じている。29日のWTI原油先物価格は93セント高の1バレル=56ドル71セントと大幅3日続伸した。これを受けて29日の米株市場でシェブロンやエクソンモービルなどのエネルギー関連株が買われており、東京市場でも原油価格と株価連動性の高い石油セクターに買いを引き込む背景となっている。
■久光製薬 <4530> 4,300円 (+95円、+2.3%)
久光製薬 <4530> は3日ぶりに反発。29日の取引終了後、経皮吸収型持続性疼痛治療剤「フェントステープ」のオピオイド鎮痛剤未使用がん疼痛患者への適応拡大に向けて、承認事項の一部変更承認を申請したと発表しており、これが好材料視された。同剤は、10年4月に「中等度から高度の疼痛を伴う各種癌における鎮痛」を効能・効果として製造販売承認を取得し、14年6月に「中等度から高度の慢性疼痛における鎮痛」の効能・効果の追加承認を取得している。今回の承認申請は、オピオイド鎮痛剤未使用のがん疼痛患者を対象に0.5ミリグラムから投与を開始した臨床試験を行い有効性、安全性を確認し申請しており、20年度中の承認取得を目指すとしている。
■シチズン時計 <7762> 484円 (+10円、+2.1%)
シチズン時計 <7762> が高い。29日、同社が発行済み株式数の1.87%にあたる600万株の自社株を消却すると発表したことが買い材料視された。需給改善や株式価値の向上といった株主還元が好感されたほか、株価浮揚策としてもポジティブに受け止められた。消却予定日は9月30日。
■三菱UFJ <8306> 510.4円 (+9.9円、+2.0%)
三菱UFJフィナンシャル・グループ <8306> や三井住友フィナンシャルグループ <8316> 、みずほフィナンシャルグループ <8411> といったメガバンクが高い。29日の米国市場で10年債利回りは28日比0.020%高い1.497%に上昇した。中国が米国との貿易協議に期待を表明し、トランプ米大統領もラジオインタビューで協議再開に前向きな姿勢を示したことから、米中貿易摩擦への警戒感が後退した。30日の東京市場でも10年債の利回りは上昇しており、金利低下による利ザヤ縮小による業績悪化懸念がやや薄らいだ。ただ、9月に予定されている米連邦公開市場委員会(FOMC)では金利引き下げが予想されており、先行きの金利低下懸念は払拭されていない。
■日本取引所グループ <8697> 1,682円 (+28円、+1.7%)
日本取引所グループ <8697> が4日続伸。米ウォール・ストリート・ジャーナルが29日、サウジアラビアの国営石油会社であるサウジアラムコが「東証上場も視野」と伝えたことから、日本取引所に見直し買いが流入。同紙によればサウジアラムコの新規株式公開(IPO)は2段階に分けて実施する案が検討されており、具体的には年内にサウジ国内に上場した後、来年または再来年に外国市場に上場する案があるという。その外国市場の有力な上場先として東証が浮上している模様だ。他の候補であるロンドンと香港は政治情勢が不透明となっていることが警戒されている様子だ。30日は、日本取引所に加えて国内大手証券の野村ホールディングス <8604> や大和証券グループ本社 <8601> も堅調な値動きとなっている。
■京セラ <6971> 6,315円 (+68円、+1.1%)
京セラ <6971> が反発。30日前引け後に日本経済新聞電子版で、「自動運転車の『目』となる高性能センサー『LiDAR(ライダー)』に参入する」と報じられており、これが好材料視された。記事によると、20年春をメドに試作品を出荷し、25年にも量産に乗り出すという。LiDARは欧米勢が先行しているが、同社では価格を半額以下に抑えて巻き返すとしている。
※30日の上昇率が大きかった銘柄を株価変動要因となった材料とともに抜粋。
株探ニュース