明日の株式相場戦略=「三空踏み上げ」の先に広がる景色

市況
2019年10月16日 17時39分

東京株式市場ではリスクオンのスイッチが入ったまま上値指向が止まらない状況となっている。きょう(16日)は日経平均が続急伸、4月につけた年初来高値を突き抜け、寄り後早々に400円高と値を飛ばし2万2600円台まで上値を伸ばす場面があった。終値でも昨年12月以来約10カ月ぶりの高値圏に歩を進めている。

“リスクを取る動き”が加速したといっても、実需の買いが売りを凌駕して力ずくで上値を駆け上がるというのではなく、売り方の買い戻し主導でつむじ風に巻かれるような上昇だ。海外ヘッジファンドなど空売り筋の“リスクを回避する動き”が加速した、といった方が当を得ているかもしれない。

10月第1週の主体別売買動向を見ると、海外投資家が先物を5100億円売り越している。9月最終週との合算では8700億円の先物売り越し。これが10月第2週から第3週にかけて起爆する形で上昇相場を演出した。世界景気減速が喧伝されるなかで、金融緩和のカードを切りまくる各国の中央銀行、更に政府サイドではドイツをはじめ財政出動によるポリシーミックスの動きも見え隠れする。そうした政策期待への思惑が醸成されるなかで、米中貿易協議が無難に通過した。これが踏み上げ相場のトリガーとなった。

いずれにせよ、日経平均は2万~2万2000円のゾーンで形成されていた頑強なボックス圏の上ブタを突き破ってきた。主戦場は2万2000~2万4000円のゾーンへと切り上がる局面に移行しつつあると解釈してもいい。

ただし、きょう寄り付き早々に400円高に跳ね上がったところで目先の高値を形成し、買い戻しによる押し上げ効果は一巡した感もある。ファーストリテイリング<9983>の問答無用の上値追いが一服した時点で、おそらく日経平均の勢いも止まる。日経平均の日足チャートはセオリーに従えば「三空踏み上げに売り向かえ」だが、短期的にはいったんクールダウンする可能性を念頭に置くところ。また、踏み上げ相場の残滓ではここからの中期上昇は見込みにくい。前方に広がる景色は、海外投資家の日本株買い(現物買い)に火がつくかどうかがカギを握ることになる。

個別で注目してみたい銘柄としては、ある意味異色の強さをみせている三光合成<7888>。10月9日に発表された20年5月期第1四半期(6~8月)決算は、会社側も「正直、想定外」という利益の落ち込みだった。しかし株価は下がる気配がない。これは、1Q決算でトップラインは前年同期実績を小幅ながら上回っているということと、利益面の落ち込みは海外子会社のイニシャルコストがかさんだという要素が強かったこと。加えて、PER7倍台、PBR0.6倍前後という割安さが株価の下げ圧力を封印している。

そして、同社は樹脂製部品の大手だが、その「ものづくり」における技術力の高さに定評がある。金属3Dプリンターを活用した金型製造では業界の先端を走る。会社側は今後もこの強みを存分に生かし、共同研究も進めていく方針という。

このほか、目先調整モードとなっているウインテスト<6721>。足もとの業績は決して良くないため、短期割り切りで臨む必要はある。半導体向け検査装置を展開しているが、ここにきて半導体関連株人気が中小型株にも波及しつつあり、そのなか株価200円台という値ごろ感と群を抜く出来高流動性が人気化素地につながっている。

日程面では、あすは9月の首都圏・近畿圏新規マンション販売が発表されるほか、5年物国債の入札がある。海外では、9月の米住宅着工件数、9月の米鉱工業生産指数・設備稼働率、10月の米フィラデルフィア連銀製造業景況感指数などが発表されるほか、EU首脳会談(~18日)が行われる。このほかG20財務省・中央銀行総裁会議(~18日)がワシントンで開催される(中村潤一)

出所:MINKABU PRESS

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