明日の株式相場戦略=ワークマンの激騰と全体相場の本音

市況
2019年12月10日 17時38分

日経平均株価は上昇一服してなお強し、の印象を受ける。きょう(10日)の東京株式市場では、前日の米株安を受けて利益確定売りやむなしの状況にあったが、下値では押し目買いが厚く下げ幅は広がらないどころか、一時前日終値を小幅に上回る水準で推移する場面もあった。重要イベントを前に見切り発車的に上値を買い進むことは困難でも、時間軸を意識しない部分での先高期待が今の地合いの強さに投影されている。

来週15日には、対中制裁関税「第4弾」において残されていた1560億ドル相当の物品に対する引き上げ期限を迎える。ここをクリアできるのか否かは予断を許さないが、マーケットはやや楽観に傾いている。中国側が歩み寄りの姿勢をみせていること、対してトランプ米大統領は相変わらず強気を貫いているが、政府要人に関税引き上げの見送りを匂わせる発言も聞かれ、すっきり解消とは行かないまでも落としどころが用意されているはず、という見方が市場関係者の間でも優勢となっている。これが全体相場の本音でもある。中小型株への物色意欲は引き続き旺盛。ちなみに日経ジャスダック平均は13連騰を記録した。

きょう、個別株で市場の視線をさらったのはワークマン<7564>だ。400円を超える上昇をみせ10月16日につけた上場来高値9650円(株式分割後株価)を久々に払拭、青空圏再突入を果たした。同社株は最高値をつけた直後から急速にバランスを崩し、25日移動平均線を下回る水準まで調整を余儀なくされた。完全復活は難しいかともみられたが、その予想を良い意味で裏切り、11月下旬から機関投資家の手口、いわゆるファンド資金の流入により上値追いを再開させ、そこからはほぼ一本調子の戻り足で今日に至っている。きょうの複数の国内ネット証券の手口からは、同社株を個人投資家は大きく売り越していることが確認されており、その分をファンドが飲み込んでいる勘定となる。同社の既存店月次は前年同月実績を2年以上にわたり上回っていることなどからも、その躍進ぶりがうかがえる。時価PER74倍は、底知れない成長力で説明がつくのかどうかは未知数ながら、株は一つのモノサシによって動きが支配されることはない、という事実を同社株の復活が証明している。

主力輸出株ではソニー<6758>の上げ足に勢いがある。スマホ向けイメージセンサーの実力を高く評価されているが、米中対立の余波で不透明感が強かった半導体全般に対する評価改善も株高を後押ししている。この流れを受けて、休養十分の半導体関連の中小型株に改めて視点を合わせてみるのも一法。そのなか、短期急騰型の栄電子<7567>はここ中段もみ合いが続いておりそろそろというタイミングにも見えるが、信用買い残の整理が進んでいない現状を考慮するとまだ機が熟していない可能性がある。一方、急伸後に高値圏で売り物をこなすアドテック プラズマ テクノロジー<6668>などは買い残の整理が進んでいるもようで、今20年8月期の業績急回復期待をベースとした噴き上げもありそうだ。ひと捻り加えて、半導体製造装置向けセラミックを手掛けるイソライト工業<5358>が上値指向で陽線が多く、注目してみる要素は十分だ。このほか、PER、PBRともに超割安なエノモト<6928>半導体関連の穴株としてチェックしておきたい。

半導体以外ではテーマとして人気が根強いセルロースナノファイバーで星光PMC<4963>の1000円近辺で緩んだところや、目先動意含みとなっているCAD/CAMシステムを主力展開するC&Gシステムズ<6633>などが面白い存在だ。C&Gシステムズについては、注力する金型向けCAD/CAMソフト「CAM-TOOL」に引き合いが旺盛、米シーメンスデジタルインダストリーズソフトウェア社製品に対応した「CAM-TOOL for NX」の販売・サポートを来月(20年1月)から開始する見通し。また、隠れ実力株発掘の目利きである光通信<9435>が同社株主に入っていることも注目される。

日程面では、あすは11月の企業物価指数、10~12月期法人企業景気予測調査がいずれも朝方取引開始前に発表される。また、IPOも1社予定され、マザーズ市場にマクアケ<4479>が新規上場する。海外では、FOMCの結果発表とパウエルFRB議長の会合後の記者会見に注目が集まる。このほか、11月の米CPI、11月の米財政収支も発表される。(中村潤一)

出所:MINKABU PRESS

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