清水洋介氏【世界株大波乱、新型肺炎の拡大で今後の展望は】(2) <相場観特集>

特集
2020年2月25日 19時45分

―リスクオフ一色、日経平均2万2000円台攻防も視野―

3連休明けとなった25日の東京株式市場では日経平均株価が急落、一時1000円を超える下げをみせ、2万2300円台まで突っ込む波乱展開を余儀なくされた。中国で発生した新型コロナウイルスによる肺炎はアジアだけでなく欧米でも感染が拡大し、これに伴う消費の低迷や製造業のサプライチェーンに支障をきたすことへの懸念が広がっている。前日の欧米株急落を受け、東京市場でもリスク回避の売り圧力が顕在化している。ここからの相場展望について、投資家からも人気の高い市場関係者2人に意見を聞いた。

●「株価急落で調整進展」「新型コロナの状況次第の展開に」

清水洋介氏(Argo Navis フィナンシャルコンシェルジュ)

今年1月には、日経平均が2万4000円台まで上昇する場面があった。この株価の高値は、日本の景気が今年1-3月期に回復に転じることを前提に形成されたものだった。それだけに、欧州のイタリアなどでも感染が拡大し、新型コロナウイルス による肺炎が世界経済に与える影響が当初の見込みより大きくなったことから、日経平均が下落するのは当然だともいえる。今春以降にかけ期待された景気回復は、後ずれすることになるからだ。

ただ、この日、日経平均が一時2万2300円台にまで下落したことで、調整は大分進んだと思う。景気回復を見込み株価が上昇し始めた昨年10月頃の水準までいったん調整したことから、もし一段の下落があっても下げ幅は限定的だろう。今後3月末までの日経平均のレンジは2万2200~2万3200円前後を見込んでいる。

4月以降の株価は新型コロナウイルスの状況次第となるだろう。例えば、ファーストリテイリング <9983> 傘下のユニクロは中国の一部店舗を休業しているが、新型コロナウイルスの感染拡大が収束しなければ休業は長期化し、業績は悪化することになる。こうしたなか、もし7月からの東京オリンピック開催が難しくなるようなら、日経平均は2万円、あるいはそれ以下の水準をみなければいけないかもしれない。

個別銘柄では、JT <2914> やツバキ・ナカシマ <6464> 、三越伊勢丹ホールディングス <3099> に投資妙味があるとみている。JTの7%近い配当利回りには妙味があると思う。同社は豊富なキャッシュを持ち、当面は減配の懸念は小さいとみている。ツバキナカは昨年11月以降、株価は急落しており、さすがに売られ過ぎの水準にある。また、三越伊勢丹は株主優待の権利取りで投資妙味があるとみている。

(聞き手・岡里英幸)

<プロフィール>(しみず・ようすけ)

大手証券会社に入社後、外資系証券会社、外資系オンライン証券会社などを経て、証券アナリスト、テクニカル分析の第一人者として、「チャートの先生」「ストラテジスト」の役割でテレビのレギュラー出演や雑誌の連載などで活躍。現役ディーラーとしても日々相場と対峙している。10年以上続いているメールマガジン「日々是相場」や投資に関しての講演などを行っている。2014年5月株式スクール開校、証券投資の本質、株式投資の楽しさを啓蒙している。

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