明日の株式相場戦略=テレワーク、医療ICT関連に光明

市況
2020年4月1日 17時46分

名実ともに新年度相場入りとなった1日の東京株式市場だが、出足から厳しい売りの洗礼を浴びる形となった。前日の米国株市場ではNYダウが大幅反落となったが、新型コロナウイルスの世界的な感染は収束に向かうまでに時間がかかるとの見方が強まっており、これが株式市場でもリスクオフの歯車を再び回し始めた。きょうは、前場段階では軟調ながら日銀のETF買い発動に期待した押し目買いや買い戻しで下げ渋る動きをみせたものの、後場に入ると再び軟化。前日まで入っていたファンドのリバランスの買いや配当再投資などの買い需要が見込めず、米株価指数先物の下げを横目にダラダラと水準を切り下げてきたところに、午後2時過ぎあたりからアルゴリズムの売り仕掛けで下げが加速した。日経平均株価は一時1000円超の下げで1万7000円台に沈む場面もあった。

中国で収束の方向が見えてきたとはいえ、むしろ新型コロナウイルスへの恐怖は日増しに高まっている感が強い。イタリアやスペインなどは感染者数もさることながら致死率の高さも警戒される状況にあり、米国での感染者数も潜在的な人数を含め今後飛躍的に増加する可能性が高い。こうした不安がきょうの相場で浮き彫りとなった。もちろん、日本も例外ではなく緊急事態宣言と都市封鎖の政治的決断は秒読み段階に入ったと考えざるを得ない。

人心がパニックに陥ることは理性で食い止められる。しかし、ロックダウンによる都市のフリーズは止められない。人命を尊重するために世界中が経済を殺す選択をとるしかない状況で、これはある意味リーマン・ショックを遥かに上回る難局に遭遇しているといってよい。ただし認識しておくべきは、ここから先、漆黒の闇が口をあけて待っているということではない。危機は政策を生むというのは事実であり、米国を筆頭にこれまた地球規模での財政出動と資金供給が行われることで、売り方の立場に立てばその効果は決して侮れないものとなる。コロナウイルスの感染に世界的な収束の兆しがみえること、これが最大の焦点。見えない敵だが、マーケットにとっては分かりやすい敵でもある。この間にどれだけ経済が落ち込んでも、人が動き出せる環境さえ整えば復活も早い。そして、その号砲を鳴らすのは、経済の近未来を映しだす株式市場にほかならない。

個別株に目を向けると、全体相場が大波に襲われている状況下で波乗りサーファーのように突き進む銘柄も少なからず存在する。きょうはおなじみのブイキューブ<3681>をはじめ、テラスカイ<3915>やセグエグループ<3968>などテレワーク関連が電撃的な上昇をみせた。また、常勤医師の紹介サイトの運営を主力に医療人材サービスを展開するMRT<6034>は、遠隔医療分野でも商機を捉えており、一気に年初来高値圏に浮上してきた。このほか、AI医療関連の穴株としてはFRONTEO<2158>の200円割れ水準に意外性がある。テレワーク関連ではハイパー<3054>の400円台は位置的に悪くない。更にハイパーと連携する朝日ネット<3834>も強いチャートだ。ACCESS<4813>などの押し目もマークしておきたい。

日程面では、あすは寄り付き取引開始前に3月のマネタリーベースが日銀から発表される。また、引け後に財務省から3月の財政資金民間収支が開示される。海外では、2月の米貿易収支、2月の米製造業受注などにマーケットの関心が高い。アジア株市場では台湾、インド、ベトナム市場が休場となる。

(中村潤一)

出所:MINKABU PRESS

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