ビーネックス Research Memo(4):英国は収益強化進展で黒字拡大、アジアは基盤を構築中

特集
2020年4月13日 15時04分

■事業概要

4. 海外領域

ビーネックスグループ<2154>は英国及び中国を始めとするアジアに進出している。同社の成長戦略の中でも海外領域は重要な位置付けにあるが、社会の成熟度によって人材サービス業の発達のステージが異なるため、英国など先進国を主体とした成熟市場と、アジアなどの未成熟市場とに分けて戦略を変えている。ちなみに、収益の大半は英国事業から得られている。

成熟市場で人材サービスが発達している英国では、MTrec、Gap Personnel、Quattro Groupといった現地企業のM&Aを通じて進出・拡大を図ってきた。このため、近年売上が急成長を続ける一方、足元ではM&A費用が一巡してきたこともあって、利益の黒字幅が急拡大しつつある状況だ。事業内容は国内の製造系領域と同様で、収益構造もほぼ同じとみられる。一方、未成熟市場と言えるアジアでは、現状、各エリアとも市場調査や情報収集などフィジビリティスタディのステージにあると言える。このため現地へは負担の小さい合弁による進出が多く、事業も人材紹介のみを手掛けている。まだ事業規模は小さくコスト構造も軽いため、収益インパクトは小さいといえる。

強みは技術者起点の発想と技術者に寄り添う「EVモデル」にある

5. 同社の強み

顧客企業の要請に見合った技術者を派遣するというのが一般的な派遣企業の考え方だが、同社では、技術者をスキルに見合った顧客企業に派遣するという考え方をしている。一般的な考え方ではスキルの高い技術者を次々雇わなければならないが、同社の考え方に従えば、技術者のスキルアップを促進することで、より高いレベルの顧客企業にマッチングすることが可能になる。そうなれば契約単価が上がり、技術者のモチベーション向上につながるほか、同社にとってもマージンの拡大や、モチベーション向上による離職率の低下というメリットが得られる。だから同社は、技術者一人ひとりに寄り添い、データに従って細かくスキルアップをサポートしているのである。そして、同社独自の技術者育成の仕組みである「EV(エンジニアバリュー)モデル」を活用し、技術者一人ひとりの現在のスキル、のびしろ、志向などを考慮しつつ、スキルアップを強力にサポートしているのである。こうした技術者起点の考え方が、同社のビジネスモデルの根幹を成す強みとなっていると考えられる。

ちなみに「EVモデル」とは、技術者の「価値」の可視化→「価値」の向上→「活躍」の実現→「可能性」の深化というサイクルを回すことで、技術者のスキルアップを継続的に進める仕組みである。具体的には、まず、スキル・経験・成果・就業先での評価などの情報を多方面から集め、技術者からは面接もしくはスマートフォンサイトを使って技術力・キャリア志向・就業希望といった情報を高密度で収集、集積したデータをAIで解析し、技術者の「価値」を可視化する。次に、可視化した技術者の能力・課題・志向に対応するスキルアップ促進の仕組みをHRテックなどによって構築、技術者の習得した技術レベルに応じた配属プランを提供して適正な請求に生かすことで、技術者の「価値」を向上させる。そして、各技術領域に適した人事評価や雇用形態によって技術者個々の多様性や働き方の変化に機動的に対応し、表彰制度や昇給・賞与制度、研修制度によって技術者として働く誇りややりがいを後押しして、技術者の「活躍」を実現する。さらに、Web面接やマーケティングツールを駆使する一方、分業や専業化によって営業プロセスの専門性を高め、マッチングを高精度化することで、技術者の「可能性」を深化させている。このように「EVモデル」は、同社の特徴的な考え方を具現化するプラットフォームになっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)

《ST》

提供:フィスコ

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