明日の株式相場戦略=ワクチンやDNA装置などバイオ周辺

市況
2020年4月13日 17時46分

週明け13日の東京株式市場では日経平均が大幅反落に転じた。大引けは450円を超える下げで、引け際には1万9000円大台割れか、と身構えるような瞬間があった。下げ幅としては急落の部類ではあるが、最近のジェットコースター相場ではそれほど急な勾配ではない。

日経平均は前週の上昇がやや行き過ぎで、首をかしげていた市場関係者も多かったことを考えれば、今週はSQ週を通過したことで、理外の理(ファンダメンタルズから離れた需給要因)で上乗せた分の修正があっても仕方のないところ。前週の決算発表前のファーストリテイリング<9983>の値運びは異常ともいえた。しかしきょうは夢から覚めた同社株の下げが全体相場の縮図ともなっている。アルゴリズム売買に振り回され、全体指数が上がる時も下がる時も不思議な感覚にとらわれるということが新型コロナに支配された相場ではもはや日常なのである。

株式需給面ではこれから先の外国人投資家の動きに変化が出てくるのかどうかがカギを握る。4月第1週の外国人投資家動向は現物で売り越しが続いているものの、売り越し幅は660億円程度にとどまり、これまでの日本株売り圧力は一服した感もある。ただ、先物のほうは3月最終週に大きく買い戻しが入ったとはいえ、4月第1週には2650億円あまり売り越した。一部のヘッジファンドのアンワインドの動きなど理解しにくい株価の値運びに翻弄されることが決算期末前後には多かったが、全体指数は動き出すと一方向に滑り過ぎる傾向がある。オプションSQを境に当面は下向きのベクトルに備えるタイミングかもしれない。

前週にも触れたように、相場の先見性をもってしても新型コロナウイルスの影響は一朝一夕に織り込めるとは思えない。ボラティリティは大きくてもそれは波の上下動であって、今のトレンドが上か下か依然として不透明だ。日経平均は3月19日のザラ場1万6300円台が1番底だったとしても、政策期待と実勢悪の綱引きはこれから始まるわけで、その過程で2番底を見極めるという流れになると考えられる。悲観に与するような言い方をすれば、実は1番底はまだつけておらず、つまり3月19日の安値を下回る局面がこれから来ないとも限らない。投資家としては冷静な第三者的な離れた視点を持ちつつ、トレードはまた別次元でとらえ、新型コロナでネガティブな影響を受けない銘柄を対象に至近距離で立ち回る必要がある。直近のクロスキャット<2307>やキーウェアソリューションズ<3799>などの強さはそうしたニーズに合致している。

個別株は全体指数に連動しやすい主力株を避けて、テーマ性を内包する小型の材料株と深入りしない浅い付き合いで、機動的なトレードを繰り返すほうがよい。目先はバイオ関連株にも流れが来ている。研究試薬やワクチンなど新型コロナ関連の材料が絡みやすい点、更に新型コロナの影響により好業績株の区分がかなり広い範囲で形骸化して、足もとの業績を不問とするムードがあることも投資資金の流入を後押ししているようだ。

そのなか、ワクチン関連でメドレックス<4586>が人気化したが、テラ<2191>や免疫生物研究所<4570>なども動意含みでマークしたい。また、注目しておきたいのは新型コロナ向け遺伝子検査装置を手掛けているプレシジョン・システム・サイエンス<7707>。株価は500円近辺で売り買いを交錯させているが、時流に乗るテーマで2月26日の高値612円奪回の動きに発展する可能性もありそうだ。

このほか、多方面で臨時の仕事を求める動きが活発化するなか、人材関連で特に短期就労に関連する銘柄に光が当たりそうな気配がある。アルバイトタイムス<2341>やツナググループ・ホールディングス<6551>などに目を配っておきたい。

日程面では、あすは国内では主だったイベントはないが、海外では中国の3月の貿易収支が注目されるほか、3月の米輸出入物価指数も発表される。また、IMFの世界経済見通しが開示される。

(中村潤一)

出所:MINKABU PRESS

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