飯野海運---20/3期は増収減益、外航海運業は堅調に推移
飯野海運<9119>は15日、2020年3月期(19年4月-20年3月)連結決算を発表した。売上高が前期比5.1%増の891.79億円、営業利益が同16.8%減の39.76億円、経常利益が同26.5%減の34.55億円、親会社株主に帰属する当期純利益が同19.1%減の37.88億円となった。
外航海運業の売上高は前期比5.4%増の683.91億円、営業利益は同11.8%増の6.51億円となった。オイルタンカーは、支配船腹を引き続き長期契約に投入したが、第1四半期中に入渠船があった影響等から損益は悪化した。
ケミカルタンカーは、基幹航路である中東域から欧州向け及びアジア向けの数量輸送契約に加え、北アフリカからの燐酸液やスポット貨物を積極的に取り込むことにより稼働の維持に努めた。米国オペレーターとの合弁事業も数量輸送契約やスポット貨物の集荷により効率的な配船を行った。また、メタノールを推進燃料とすることが可能な同社初の2元燃料主機関搭載船が竣工し、長期契約に投入された。
大型ガスキャリアは、LPGキャリア及びLNGキャリア共に既存の中長期契約へ継続投入することで安定収益を確保したことに加え、LPGキャリアの一部が好市況を享受した。
ドライバルクキャリアは、石炭専用船とチップ専用船については順調に稼働した。ポストパナマックス船及びハンディ船では運航採算は市況と比較し堅調に推移したが、市況悪化の影響を完全に避けることはできなかった。
内航・近海海運業の売上高は前期比1.9%減の92.44億円、営業利益は同38.5%減の5.70億円となった。内航ガス輸送は、LPGの季節的要因による輸送量減少と石油化学ガス出荷プラントの定期修繕及び設備検査等による出荷量減少の影響を受けたが、中長期契約に基づく安定的な売上確保と効率配船の実施に努めた。しかし、2020年3月期に入渠工事が重なった影響により減益となった。近海ガス輸送は東南アジアの荷動きが軟調で市況下落の影響はあったが、定期用船契約を締結していることで、安定した貸船料収入を維持した。
不動産業の売上高は前期比9.4%増の116.67億円、営業利益は同15.8%減の27.55億円となった。賃貸ビルは、飯野ビルディングで一部事務所テナントの移転に伴い空室期間が生じたが、新規テナントの誘致に成功した。一方、この移転時にLED照明の入替工事などを実施し、設備更新費用も増加したこと等から、同ビルは総じて減益となった。その他の各所有ビルにおいては堅調な稼働を維持した。イイノホール&カンファレンスセンターは、催事の積極的な誘致と映像設備の更新により高稼働を維持していたが、2020年3月期末において、新型コロナウイルス感染症の影響による催事自粛要請により稼働に著しい影響を受けた。フォトスタジオ事業を運営するイイノ・メディアプロは、主力のスタジオ部門の稼働が堅調に推移し、安定した収益を確保した。
2021年3月期通期の業績予想については、売上高が前期比1.3%減の880.00億円、営業利益が同4.4%減の38.00億円、経常利益が同4.2%増の36.00億円、親会社株主に帰属する当期純利益が18.8%増の45.00億円を見込んでいる。
《SF》