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2020年7月2日 17時38分
市況

明日の株式相場戦略=炭鉱のカナリアは鳴いているか

きょう(2日)の東京株式市場は日経平均が反発したとはいえ、上げ幅はわずか24円にとどまった。米国では直近2週間で新型コロナウイルスの感染者数が8割も増加しており、収束どころの騒ぎではない。日本はケタ違いに少ないとはいえ、東京都内の感染者数100人超えは、緊急事態宣言の再発令につながるもので油断はできない。個別株も買い疲れ感が溜まっており、朝高くてもその後は売りのターゲットとなる銘柄がほとんどを占めている。

流れは明らかに変調である。東証マザーズ指数の今回の崩れ方はこれまでとは様子が違う。マザーズ指数は6月11日から週をまたぎ6月15日にかけて波乱安に見舞われたが、この時は25日移動平均線をサポートラインに踏みとどまった。しかし、今回は25日線を大きく下に抜けてきた。3月19日終値で557の年初来安値を形成した後、そこを起点に強靭な上昇トレンドを構築し、わずか3カ月あまりで1060まで水準を倍化させたのは周知の通りだが、その“世界最強の株価指数”も決壊した可能性がでてきた。

市場では、「個人の信用買い残がパンパンに膨れ上がった状態となるなどマザーズ市場に危険な兆候はあった。前週あたりから国内ネット証券に外資系証券からの貸し株要請が頻発化していたので、売り崩しへの警戒ムードは漂っていたが、実際にヘッジファンド系資金が(空売りで)動き出した気配がある」(国内証券マーケットアナリスト)という声がある。きょうは、マザーズ市場の中で時価総額2位にランクされ、その値動きから“マザーズの化身”にも位置付けられるアンジェス<4563>が大幅安で4日続落となり、投資家の体感温度急低下を代弁した。一時は400円近い下げで1600円台半ばまで一気に売り込まれる場面があった。その後は13週移動平均線まで下押したところで下げ渋り、下ヒゲをつけてかろうじて1800円台で引けるなど意地をみせたが、市場関係者の見方は厳しい。「信用買い残も多く売りターゲットになっている。これはアンジェス株というよりはマザーズを崩しに来ている」(前出のマーケットアナリスト)という指摘もある。

少し離れた視点に立って週足で見れば、マザーズ指数は依然として13週移動平均線と上方カイ離しており、900前後までの下げは許容されるとの見方もできるが、そこで止まる保証もない。ここは機動的な売買で腕に覚えのある投資家であっても、いったん資金を引いて様子を見るところではないかと思われる。

一方、東証1部は相対的に強い動きだが、新興市場から東証1部銘柄に資金シフトするという投資行動も危険な匂いがする。マザーズ市場の時価総額は高々6~7兆円に過ぎないとはいえ、グローバル資金の流れに敏感なカナリアだ。過去を振り返ると新興市場が大きく崩れた後に、本丸の東証1部市場が後を追うケースも多い。既に買い残の膨れ上がっている日経ダブルインバース<1357>を後追いで推奨する意思はないが、ヘッジ的な意味合いであれば購入に一考を要するところかもしれない。

新型コロナウイルス感染拡大に歯止めがかからない状況というのは、もちろん世界景気の回復シナリオを遅滞させるものとして株価にネガティブだが、本質的には行き過ぎた振り子の修正局面であるとの認識が正しい。新型コロナに絡む悪材料が下げの理由として後付けで乗ってくるようなイメージだ。

電気自動車(EV)大手のテスラの時価総額がトヨタ自動車<7203>を上回ったというのは、テスラとEV市場の今後の成長性を暗示する出来事とはいっても、株価の先見性として肯定し得るものではない。やはりこれはイレギュラーであって、ひとことで言えばバブルである。トヨタとの時価総額逆転に一番動揺しているのが、実はイーロン・マスクCEO自身かもしれない。この現象を全体株式市場のモノサシとしてあてがえるものかは分からないが、かつて伊藤忠子会社の伊藤忠テクノソリューションズ<4739>が、上場したての2001年に親会社の時価総額を抜いた時のようなインパクトがある。ITバブルもその渦中においては、危うさに気づいてはいても“今”を肯定する理論のほうが幅を利かせていた。テスラとトヨタの時価総額比較も、そんなものかと感じるようになったら危険である。

日程面では、あすは7月の日銀当座預金増減要因見込みが取引開始前に発表される。また、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が19年度の運用状況を開示する。海外では5月の豪小売売上高、6月の財新中国非製造業PMIなど。米国株式市場は休場となる。

(中村潤一)

出所:MINKABU PRESS

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