明日の株式相場戦略=10月25日総選挙はあるか

市況
2020年9月1日 17時30分

名実ともに9月相場入りとなった1日の東京株式市場は、日経平均株価が前日終値をはさんで狭いゾーンで右往左往するもみ合いに終始した。結局1円安とわずかにマイナス圏で着地。前週末(28日)や週明け(31日)のような先物絡みの仕掛けは皆無だったといってよく、凪状態の静かな相場だった。今月14日の自民党総裁選、17日の総理大臣指名選挙、そしてその後10月下旬当たりに解散総選挙があるのかどうか。国内政局を前に、嵐の前の静けさと身構えるような感じもしないが、足もとは模様眺めムードが強い地合いであることは確かである。

カギを握るのは解散総選挙の可能性だ。新型コロナウイルスの感染拡大についてはピークを越えたといっても依然として予断は許さない状況にある。そのなかで総選挙のカードを切るというのは、おそらく難しい。ただ、永田町の尺度では、自民党にとってチャンスでもある。野党がまとまりのつかない今なら大勝する可能性が高い。また、7年8カ月の総括として国民の好意的感想が多かった安倍政権の余熱が残っているうちに仕掛ける、という発想は戦略的には正しいと思われる。

仮に菅官房長官が次期総裁に選出されたとして、支持率を横にらみに9月25日解散、10月25日総選挙の線もあり得ないシナリオではない。その場合、自民が大勝したとして“菅総理大臣”のショートリリーフという話も立ち消えとなるが、善悪はともかく変化を求める株式市場にとってはよりポジティブかもしれない。

ただし、全体相場の流れを支配する米国株の動向がやや怪しい。「共和党がこれ以上景気対策に財政出動することには難色を示しており、投入される資金の規模が大幅に縮小される可能性がある」(国内ネット証券アナリスト)という。米国株は高値警戒感もあるだけに、目先的に波乱含みとなっても不思議はない。9月相場は8月とは異なり、日経平均の過去10年の月足で6勝4敗と勝ち越している。しかし、米国株がバランスを崩せば東京市場も影響は免れない。バフェット氏の総合商社株“大人買い”は思わぬビッグプレゼントとなったが、今度はトランプ大統領周辺で発生する米国発の思わぬ突風にも注意が怠れない。

個別ではアステリア<3853>が強いチャートだ。XML技術を基盤としたシステム開発会社で、サブスクリプション型ビジネスに力を入れ、デジタルトランスフォーメーション(DX)関連ではコロナショック後の戻り足の速さが際立つ。また、金融機関向け受託開発で実績が高くクラウド分野を深耕するソルクシーズ<4284>も上値指向が強い。

アフターコロナをにらんだ人材サービス会社ではジェイエイシーリクルートメント<2124>の1200~1300円台のもみ合いをどうみるかだが、越境テレワーク人材関連として注目しておきたい。このほか、人材関連で株価に勢いのある2銘柄を挙げるとすれば日総工産<6569>とウィルグループ<6089>。前者は足もとの業績は悪いものの半導体5G関連の人材需要で今後の回復を先取りする動き。後者は家電量販店などを対象にスマートフォンの販売支援など行うが、21年3月期の利益予想を大幅上方修正するとともに増配も発表している。

きょうの株式市場では、三菱商事<8058>が大商いで昨日に続いて上値を指向、その他の総合商社株も総じて高く、“バフェット効果”の威力を再認識させられる展開となった。商社で連想されるのは資源エネルギーや貴金属、穀物などのコモディティー。バフェット氏の真意は分からないが、穀物関連はグローバルに視野を広げれば今後投資テーマとして注目される可能性が高い。フィード・ワン<2060>は株価200円未満で株価指標面でも割安感が強い。値運びは緩やかだが、時価はテクニカル的にも26週移動平均線との絡みで拾い場が近いかもしれない。

日程面では、あすは8月のマネタリーベースが日銀から発表される。海外では4~6月期の豪GDP。米国では7月の製造業受注、ベージュブック(地区連銀経済報告)のほか、8月のADP全米雇用リポートが注目される。なお、ベトナム市場は休場となる。

(中村潤一)

出所:MINKABU PRESS

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