明日の株式相場に向けて=上昇加速の日経平均、個別株の視点

市況
2020年11月11日 16時59分

きょう(11日)の東京株式市場は、日経平均株価が444円高の2万5349円と大幅高で7日続伸となった。引き続き新型コロナワクチン開発期待が強気相場の原動力となっているが、ワクチンによって経済正常化が早まるとの思惑で日米ともに景気敏感株が買われるというのは、いかに先見性を発揮する株式市場であっても先走り過ぎではある。米国事情に詳しい生保系アナリストは「ワクチンが実際出回るのは来年春以降の話、足もと急速に増勢基調にある新型コロナ感染者数をどうこうできるものでもない」と首をかしげる。

つまり、メディアを通じた解釈はあくまで仮説であって、本当にワクチン開発期待で景気敏感株の上値を買っているのかといえば、本当のところはそうではない可能性の方が高い。カネ余り相場にあって、大統領選の通過やワクチンの臨床好結果、足もとの経済指標の改善などは、上がる理由ではなく、上がった理由にあてがわれているだけである。しかし、とはいえ相場は上向きで極めて強い、ということは紛れもない事実だ。

大統領選は郵便投票における不正の可能性をトランプ氏が指摘し、法廷闘争を続ける構えをみせているが、メディアは既にバイデン新政権を前提に世界が動き出していることを伝えている。(仮に不正があったとして)バイデン氏の勝利を既成事実化して幕引きを図ろうという力が働いている、といううがった見方も根強いのは事実で、今後“大どんでん返し”がないとは言い切れない。

ただ、少なくとも株式市場は“バイデン新大統領”を前提とした資金の流れが形成されており、冷静にみてこれが覆る可能性は低そうだ。「勝てば官軍」、これはマーケットも政治の世界も一緒といえる。

個別ではバリュー株の範疇にある大型株に物色の矛先が向いている。グロース買い・バリュー売りのアンワインドで、これまで高かったグロース系銘柄については思いのほか株価の下げが激しくなっているが、コロナ禍で買われた成長期待が消えたわけではなく、ここでの押し目形成は中長期的に買い場提供場面になっている可能性がある。新興株についてはマザーズ指数の明日以降の動きがポイントで、今月2日と同様75日移動平均線上でリバウンドできるかどうかが注目される。

大型株で強い株につくのであれば日本電産<6594>、ソニー<6758>が有力。逆張り対象のバリュー株では武田薬品工業<4502>やジェイ エフ イー ホールディングス<5411>あたりの戻り足に期待ができそうだ。また、半導体製造装置関連で圧倒的な商品競争力を持ちながら同業他社に株価面で出遅れているレーザーテック<6920>なども合わせてマークしておきたいところ。

中小型では好決算銘柄の中からPERやPBRが低めの銘柄に照準。指標が割安なぶん業態は地味な銘柄が多いが、バリュー株に見直し機運が台頭している今の地合いには乗りやすい。ファルコホールディングス<4671>、高砂香料工業<4914>、東京鐵鋼<5445>などは好決算発表で直近買われたものの、割安で押し目は注目となる。

あすのスケジュールでは、9月の機械受注統計、9月の第3次産業活動指数、10月の企業物価指数、10月の都心オフィス空室率など。海外では10月の米消費者物価指数(CPI)、10月の米財政収支、メキシコ中銀の金融政策決定会合など。(銀)

出所:MINKABU PRESS

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