明日の株式相場に向けて=牙をむく新型コロナ、防疫関連株が動兆

市況
2020年11月12日 16時59分

きょう(12日)の東京株式市場は買い先行、日経平均株価が171円高の2万5520円と上昇し、これで8日続伸となった。8日間合計で2500円を超える上昇となった。少なからずAI売買の影響は大きいと思われるが、それにしてもである。

きょうは、朝方買い優勢で始まった後、日経平均は一時240円弱上昇し2万5600円近くまで水準を切り上げたが、その後はさすがに息切れ模様となり値を消す場面に遭遇した。きょうは変化日ということもあって、慎重なムードも漂う。前引けの段階で日経平均は109円高だったが、既に値下がり銘柄数が値上がりを大幅に上回っていたことからも1日を通じ実質的には弱い地合いだったといえる。ただ、あすにオプションSQの算出日を控え、取引終盤にヘッジファンドなどの駆け込みでショートポジションを畳む動きが日経平均の再上昇に反映された。なお、大引け時点で値下がり銘柄数は全体の63%を占めており、TOPIXはマイナス圏で着地している。アジア株も総じて安かった。

新型コロナウイルスのワクチン開発期待から経済活動が正常化することへの思惑が強気相場を牽引しているというが、足もとは世界的に感染者数が加速している状況にあるのが現実である。今回脚光を浴びている米製薬大手ファイザーは、当局の承認が得られれば、年内にワクチンを最大で5千万回分製造するという計画を打ち出しているが、仮にそれが実現したとても、すぐに日本に回ってくることはなく、その後の量産局面で早くても来春以降まで待たなければならない。新型コロナについては国内を見渡しても北海道や大阪で1日当たり過去最多の感染者数を出しており、東京も前日に2カ月ぶりに感染者数が300人を超えてきたが、きょうは400人近くに達したもようで、さすがに看過できない状況となっている。今が冬の入り口であることを考えると懸念は更に深まる。今さらGoToキャンペーン政策の功罪を俎上に載せても仕方のないところだが、菅政権としても難しい対応を迫られる局面に入った。

これまで、ウィズコロナ、アフターコロナで業績成長を維持できる銘柄としてオンライン関連や巣ごもり消費関連、デジタルトランスフォーメーション(DX)関連などが投資マネーを誘引してきたが、目先はグロース買いのバリュー売りというロングショート戦略の巻き戻しで、風向きが悪くなっていた。一方、バリュー株のリターンリバーサル(出遅れ物色)は水準訂正狙いの買いは入っても、そこからの成長シナリオが描けなければ中期的な上昇トレンド構築は見込みにくい。結果として、どこかでグロース銘柄の押し目買いに舞台が移ることになると思われるが、当面は目先筋の利食いをこなすプロセスが必要となる。

短期的にはしばらく蚊帳の外にいた防疫関連株に資金が向かいやすい。グロース・バリュー論議にやや食傷気味ということもあって、そういう次元とは離れたリアルタイムの目線でニイタカ<4465>やマナック<4364>、中京医薬品<4558>、川本産業<3604>、大木ヘルスケアホールディングス<3417>、興研<7963>、アゼアス<3161>といった銘柄への攻勢が続く可能性がある。

あすのスケジュールでは、国内に大きなイベントはないが、株価指数オプション11月物SQ算出日にあたる。海外では11月の米消費者態度指数(ミシガン大学調査・速報値)、10月の米卸売物価指数(PPI)などが注目となる。(銀)

出所:MINKABU PRESS

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