日経平均は5日ぶり大幅反発、「シナリオ定まった」ムードにあえて一石/ランチタイムコメント

市況
2021年1月7日 12時07分

日経平均は5日ぶり大幅反発。497.15円高の27553.09円(出来高概算7億6000万株)で前場の取引を終えている。

6日の米株式市場でNYダウは437ドル高と大幅続伸し、過去最高値を更新した。民主党がジョージア州の上院決選投票で2議席とも確保し、大統領と上下院を握る「ブルーウェーブ」が事実上実現することとなった。先行き不透明感が後退したことに加え、積極的な財政政策や環境政策の推進を期待した買いが入った。一方、長期金利の上昇に伴いハイテク株が売られ、ナスダック総合指数は反落。ただ、本日の東京市場では米国株の上昇を好感して幅広い銘柄に買いが先行し、日経平均は284円高からスタートすると、寄り付き後も上げ幅を広げる展開となった。前場中ごろを過ぎると27624.73円(568.79円高)まで上昇する場面があり、取引時間中としては1990年8月以来の高値を付けた。

個別では、米長期金利の上昇を受けて三井住友<8316>、三菱UFJ<8306>、オリックス<8591>といった金融株が大幅高。米ハイテク株安にもかかわらずエムスリー<2413>など値がさグロース(成長)株も上げが目立つ。環境関連ではEV用モーターの日本電産<6594>などが買われ、再生可能エネルギー発電のレノバ<9519>は急伸。一部証券会社の投資判断付与も観測された日立造<7004>は東証1部上昇率トップとなっている。一方、売買代金上位ではソフトバンクG<9984>が逆行安。出資先の中国アリババ集団について、米政府が米国人の投資禁止を検討しているなどと報じられている。新作ゲームの発売延期を発表したスクエニHD<9684>も軟調ぶりが目立つ。また、神栄<3004>などが利益確定売りに押され、東証1部下落率上位に顔を出している。

セクターでは、全33業種がプラスとなり、その他金融業、鉄鋼、非鉄金属、保険業、パルプ・紙などが上昇率上位だった。東証1部の値上がり銘柄は全体の83%、対して値下がり銘柄は14%となっている。

米ジョージア州の上院決選投票が民主党勝利という形で終わり、NYダウの上昇につれて日経平均は大幅高となっている。米長期金利の上昇に伴い金融株が大きく上昇し、出遅れていたバリュー(割安)株のリバーサル(株価の反転上昇)への期待が一段と高まっているようだ。ただ、米市場ではハイテク株が売られたが、東京市場はというとエムスリーなどのグロース株も大きく買われている。まずは「大きな不透明要因が払しょくされた」とのムードが市場を覆っているのだろう。昨年11月の米大統領選後の市場反応を見ても、米政治情勢は最大のリスク要因と受け止められていたことがわかる。以前当欄で述べた「シナリオさえ定まれば投資資金は動き出す」が今回再現されたようだ。本日ここまでの東証1部売買代金が1兆4000億円強に膨らんでいることもこれを裏付けるだろう。

こうしたムードは大規模な金融緩和による空前のカネあまりがなせる業か。大方、「今月20日のバイデン次期米大統領の就任式さえ通過すれば米政治情勢は落ち着く」と考えられているのだろう。ただ、ことはそう簡単ではないかもしれない。6日、米連邦議会の議事堂内にトランプ米大統領支持者が乱入。既にデモ隊は排除され、バイデン氏の選出手続きも再開されたが、この混乱で銃撃されたトランプ氏支持者の女性1人が死亡したもようだ。米ツイッターが規約違反としてトランプ氏のアカウントを一時凍結したとも伝わっている。トランプ氏支持者の怒りをさらに高めてしまう恐れはないか。

仮に為政者が抑止しようとしても、民意の大きなうねりを止められなかったケースは歴史上少なくない。今回の事件を過小評価すべきでないのではないか。それに今年は欧州でも盟主ドイツの総選挙が予定されている。2005年の首相就任以降、15年以上にわたる超長期政権を築いたメルケル氏後のドイツの行方はなお見通せない。日経平均がバブル崩壊後の高値更新したタイミングではあるが、あえて2021年の大きなリスク要因として「欧米の政治混乱」を挙げておきたい。(小林大純)

《AK》

提供:フィスコ

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