ナノキャリア---3Q減収経常損失改善。純損失拡大は核酸技術吸収によるのれん減損。引続き早期ライセンス・承認申請を目指す

材料
2021年2月15日 18時12分

ナノキャリア<4571>は10日、2021年3月期第3四半期(20年4月-12月)決算を発表した。売上高が前年同期比42.8%減の2.49億円、営業損失が8.60億円(前年同期は9.32億円の損失)、経常損失が8.94億円(同9.69億円の損失)、四半期純損失が24.50億円(同11.37億円の損失)となった。営業損失および経常損失は改善したものの、アキュルナ社吸収合併により、モダリティとして注目されるmRNAなどの核酸医薬をパイプラインとして拡充したことにより純損失は拡大となった。

注力する後期の臨床パイプラインの進捗状況について、シスプラチンミセル(NC-6004)は、頭頸部がんを対象に、NC-6004及びキイトルーダ(R)との併用による第II相臨床試験を実施している。2020年11月に欧州、台湾において、キイトルーダ(R)単独群との比較試験として第IIb相試験を開始した。遺伝子治療製品「VB-111」は、現在、VBLがプラチナ抵抗性卵巣がんを対象に国際共同第III相臨床試験(OVAL試験)を実施している。同社はOVAL試験に日本から参画する準備を進め、2020年11月に国内第III相臨床試験開始のため、医薬品医療機器総合機構に対し治験計画届を提出した。治験施設との手続きを進めており、準備の整った施設より順次患者登録を開始する予定としている。ENT103については、国内において中耳炎を対象とした第III相臨床試験を実施している。対象患者が例年より少なかったことや新型コロナウイルス感染症の影響等により患者登録が遅れていたが、施設の入れ替え等を実施し、今冬における患者登録を加速化している。

パイプライン拡充については、吸収合併したアキュルナが進めていた核酸医薬品の研究を継承、推進している。siRNAを内包した核酸DDS製剤(SRN-14/GL2-800)は、がん研究会有明病院において2020年9月より医師主導第I相臨床試験を開始した。また、mRNAを含む新しいモダリティとして、この他2件のプロジェクトに対し、日本医療研究開発機構の事業に採択されており、ヒトでの臨床試験実施につなげる非臨床試験を進めていく。

販売事業については、アルビオンが販売する美容液エクラフチュール及び薬用美白美容液エクシアALホワイトニングイマキュレートエッセンスIDD用の同社技術を応用した原材料を供給している。また、アルビオンとの共同開発製品であるスカルプトータルケア製品「Depth(デプス)」事業を共同で推進している。エイオンインターナショナルから国内販売権を取得した「Acti-PRP(血球細胞分離機)」については、産婦人科PRP研究会の会員施設に対し「Acti-PRP」を販売し、併せて臨床研究を実施している。

2021年3月期通期の業績予想については、売上高が前期比38.9%減の3.38億円、営業損失が14.95億円、経常損失が14.96億円、当期純損失が30.43億円とする2020年11月12日に修正した業績予想を据え置いている。修正では、アキュルナ社吸収合併に伴い発生したのれんの減損損失15.53億円を計上したが、引き継いだ研究開発等の費用は、その他の費用の削減等で吸収できる見込みとしている。

《ST》

提供:フィスコ

人気ニュースアクセスランキング 直近8時間

プレミアム会員限定コラム

お勧めコラム・特集

株探からのお知らせ

過去のお知らせを見る
株探プレミアムとは

日本株

米国株

PC版を表示
【当サイトで提供する情報について】
当サイト「株探(かぶたん)」で提供する情報は投資勧誘または投資に関する助言をすることを目的としておりません。
投資の決定は、ご自身の判断でなされますようお願いいたします。
当サイトにおけるデータは、東京証券取引所、大阪取引所、名古屋証券取引所、JPX総研、ジャパンネクスト証券、China Investment Information Services、CME Group Inc. 等からの情報の提供を受けております。
日経平均株価の著作権は日本経済新聞社に帰属します。
株探に掲載される株価チャートは、その銘柄の過去の株価推移を確認する用途で掲載しているものであり、その銘柄の将来の価値の動向を示唆あるいは保証するものではなく、また、売買を推奨するものではありません。
決算を扱う記事における「サプライズ決算」とは、決算情報として注目に値するかという観点から、発表された決算のサプライズ度(当該会社の本決算か各四半期であるか、業績予想の修正か配当予想の修正であるか、及びそこで発表された決算結果ならびに当該会社が過去に公表した業績予想・配当予想との比較及び過去の決算との比較を数値化し判定)が高い銘柄であり、また「サプライズ順」はサプライズ度に基づいた順番で決算情報を掲載しているものであり、記事に掲載されている各銘柄の将来の価値の動向を示唆あるいは保証するものではなく、また、売買を推奨するものではありません。
(C) MINKABU THE INFONOID, Inc.