アウトソーシング---20年12月期コロナ禍でも全セグメント黒字に加え、第4四半期・下期では売上・営業利益が過去最高
アウトソーシング<2427>は15日、2020年12月期連結決算(IFRS)を発表した。売上収益が前期比1.5%増の3,667.11億円、営業利益が同6.5%減の143.37億円、税引前利益が同31.4%減の91.43億円、当期利益が同54.5%減の40.88億円、親会社の所有者に帰属する当期利益が同59.6%減の33.24億円となった。コロナ禍にあってもすべての事業セグメントにおいて黒字を確保しただけでなく、第4四半期(10月-12月)及び当下半期(7月-12月)においては、売上収益及び営業利益ともに同期間の過去最高を更新した。
国内技術系アウトソーシング事業の売上収益は前期比13.7%増の1,038.40億円、営業利益は同22.0%増の85.29億円となった。コロナ禍の影響は限定的で、大幅な増収増益となった。採用人数は、KENスクールを活用した未経験者を教育して配属するスキームにより採用コストを抑制しながら伸ばしており、業界随一の採用力により、期末外勤社員数は前期末比2,262名増の18,150名となった。製造業の景気変動の影響を受けにくくするための重点分野として位置づけるIT分野や建設、医薬分野も順調に拡大した。緊急事態宣言発令に伴う一部顧客の稼働停止により技術者の休業待機が増加したことや、新卒者の配属の遅れ、残業時間の減少傾向が続いたことなどが売上を抑制する要因となったが、在宅勤務推進によるコストダウンや、雇用調整助成金の受給等により、利益面への影響は一定程度緩和された。
国内製造系アウトソーシング事業の売上収益は前期比8.3%減の647.11億円、営業利益は同18.9%減の59.63億円となった。コロナ禍による製造業の深刻な景気後退の影響を大きく受け、製造派遣・請負及び期間工の有料職業紹介ともに成長が足踏みする結果となった。管理業務受託は、顧客メーカーの外国人技能実習生活用ニーズは引き続き堅調だが、出入国規制により技能実習予定者の来日が困難な状況が継続している。しかし、コンプライアンスに則った適切な管理実績は高く評価され、国内で突出した首位の事業者として12月末の管理人数は22,296名となった。
国内サービス系アウトソーシング事業の売上収益は前期比20.5%増の247.95億円、営業利益は同32.6%増の28.57億円となった。米軍施設向け事業が主力事業であり、米軍施設の建設物や設備の改修・保全業務がコロナ禍の影響もほとんどなく順調に伸長した。米軍工事の入札には、同額のボンド(履行保証保険)が義務付けられることが通例であり、同社の信用力を活かしボンド枠を拡張し利益率の高い大口受注へと繋げ、大幅な増収増益が継続している。
海外技術系事業の売上収益は前期比10.0%減の394.60億円、営業利益は同57.8%減の9.89億円となった。コロナ禍の影響を受け減収減益となったが、業績予想を上回るペースで回復に勢いがあり、第4四半期(10月-12月)は前年同期を上回る結果となった。英国での公的債権回収の受託業務では、政府や自治体から回収停止要請が入り、外出規制により債務者宅への訪問が困難となっていたが、エッセンシャルワーカーと認定され段階的な再開以降は、事業を継続している。また、豪州及びシンガポールでのエンジニアトレーニング事業では、感染防止やソーシャルディスタンス確保のため集合研修キャンセルが生じたが、オンライン研修への切り替えが拡大した。
海外製造系及びサービス系事業の売上収益は前期比0.3%減の1,338.18億円、営業利益は同12.8%増の28.34億円となった。コロナ禍の影響を受けネガティブインパクトとポジティブインパクト双方が発生し、前期比で売上収益は横ばい、セグメント利益は増益となった。ドイツ及び一部東南アジアの製造系は生産活動が停滞し、サービス系は人々の移動制限がマイナス要因となった一方で、オランダのインターネットショッピング関連事業が、外出禁止による需要拡大で大きく伸長したほか、英国では給付金や税還付関連の地方自治体向けBPO事業が特需となり、公共系派遣も既存契約の延長が増加し、再就職支援事業も活況となっている。南米では医療施設向けの消毒業務や小売向けの清掃業務などが好調であった。
2021年12月期通期の連結業績予想については、売上収益が前期比44.0%増の5,280.00億円、営業利益が同75.1%増の251.00億円、税引前利益が同134.1%増の214.00億円、親会社の所有者に帰属する当期利益が同285.0%増の128.00億円を見込んでいる。
2021年12月期末配当金の予想は、2020年期末配当金10円から21円増配の31円を予定している。
《ST》