明日の株式相場に向けて=「日銀ETF」不在が波乱相場を増幅
この日の東京市場は、日経平均株価が朝方は上昇したものの買い一巡後は売りが膨らみ、後場の寄り付きでは一時400円超安まで売られる場面があった。市場の焦点は米国のインフレ懸念だが、この日は先物に対して仕掛け売り的な動きも出ていた様子だ。後場寄り付きで安値をつける動きには、日銀ETFに絡む思惑が台頭する。
3月の日銀金融政策決定会合ではETF購入の効率化が発表されたが、4月に買い入れがあったのは21日の701億円のみ。5月に入ってからの買い入れはない。市場には「前場時点のTOPIX下落率2%超」を買い入れの基準とみる声が多く、この日もETF買いは見送られた。
この状態が続けば日銀のETF買いは、よほど大きな下落がないと入らないことも予想される。海外投資家が日本株に慎重な姿勢を続けるなか、昨年度まで日銀は日本株の最大の買い手となっていた。日銀によるETF買い不在の状況を市場は織り込んでいく必要があるが、いずれにせよ日銀の不在は相場の波乱局面を増幅することになりそうだ。
明日は、東洋埠頭<9351>やイチケン<1847>、シダックス<4837>などが決算を予定している。また、午前8時50分には1~3月期国内総生産(GDP)速報値が発表される。市場では前期比年率で4.5%程度のマイナス成長(前の期は11.7%増)が予想されている。