田部井美彦氏【最高値街道の米株に追随できるか、日本株の行方】(2) <相場観特集>

特集
2021年7月5日 19時45分

―新型コロナ警戒で上値重い展開、上値追いの条件とは―

週明け5日の東京株式市場は日経平均株価が反落に転じた。米国株市場が主要3指数ともに史上最高値を更新しているにもかかわらず、日本株の弱さが目立つ状況となっている。果たして今後、米株高にキャッチアップする形で日経平均は上昇トレンドを描くことができるのだろうか。先読みに定評のあるベテラン市場関係者2人にここからのマーケット展望と物色の方向性について意見を聞いた。

●「目先はETF絡みの需給を警戒、半導体関連の中小型株など注目」

田部井美彦氏(内藤証券 投資調査部 リサーチ・ヘッド&チーフ・ストラテジスト)

ハイテク株などの上昇を背景に米国市場では、NYダウが最高値を更新するなど堅調だ。ただ、その一方で東京市場は上値の重い展開が続く。目先的には、ETFの決算に絡んだ分配金捻出の動きが今週末にかけ出てくる懸念があることが相場の上値を抑える要因となりそうだ。また、今月下旬から決算発表が本格化することも、様子見要因に働いているのだろう。

全体相場は年末にかけては、上昇が期待できるとみているが、夏場にかけしばらくは横ばい展開が続きそうだ。今後1ヵ月程度の日経平均株価のレンジは2万7000円台前半~3万円をみている。

今後の相場のテーマとしては、 半導体関連に注目している。今年の年末商戦に向けて、メーカーは半導体の手当てをする必要があり、夏場にかけ半導体の受発注のペースは高まることが予想される。半導体絡みのなかでも、当面は中小型のセンサー関連銘柄が注目できるだろう。

日本企業は自動車向けなどの温度センサーに強く、大泉製作所 <6618> [東証M]のほか芝浦電子 <6957> [JQ]、SEMITEC <6626> [JQ]などが注目できる。電気自動車(EV)はバッテリーやモーターを温度センサーで管理する必要がある。EV化が進めばセンサー需要も増えるだろう。まずは、中小型のセンサー関連株が値を上げ、続いてCMOS(相補性金属酸化膜半導体)センサー関連のソニーグループ <6758> やミリ波レーダーなどに絡む村田製作所 <6981> など時価総額が大きい銘柄へと物色が移る展開が期待できる。

更に、半導体製造装置関連では、半導体の微細化や多層化に絡むCMP装置などを手掛ける荏原製作所 <6361> なども注目できるだろう。

(聞き手・岡里英幸)

<プロフィール>(たべい・よしひこ)

内藤証券リサーチ・ヘッド&チーフ・ストラテジスト。株式市況全般、経済マクロの調査・分析だけでなく、自動車、商社、アミューズメント、機械などの業種を担当するリサーチアナリストとして活動。年間200社程度の企業への訪問、電話取材、事業説明会への参加などを通して「足で稼ぐ調査・情報の収集」に軸足を置いている。

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