NECキャピ Research Memo(8):収益向上とCSR向上は車の両輪のように推進することが必要

特集
2021年7月29日 15時08分

■CSV経営の実現を目指す

NECキャピタルソリューション<8793>は社会課題の解決と企業の利益創出が両立するCSV経営を目指している。以前から、環境に配慮した事業活動を推進してきたが、2013年にグループビジョンを策定して以来、社会と企業双方に共通の価値を生み出すCSV経営という考え方を根底に置き、グループビジョン実現に向けた取り組みを推進している。既存事業であるコア領域と新規事業の両輪で、社会・ICTインフラの整備、地域社会・経済の活性化、地球温暖化の防止、高齢社会への対応等に取り組んでいる。収益向上とCSR向上は車の両輪のように推進することが必要であり、同社では代表取締役社長が議長を務め、全執行役員を構成員とした「PDCA会議」の中で、毎月マテリアリティ施策(収益基盤の拡充、経営基盤の強化、企業風土の変革)の進捗やCSRに係る重要課題の議論を行っている。

(1) コア領域

コア領域の主な取り組みとしては、NECやNECグループ各社と協業し、最適な提案活動を行うことで、公共のインフラ整備等、社会基盤構築につながる取り組みを進めている。また、NECが参画する香港とグアムを結ぶ総延長約3,900kmの大容量光海底ケーブルシステム建設プロジェクトにおいて、シンジケートローンのリードアレンジャー(幹事金融機関)を務めるなど、各種取り組みをファイナンス面からサポートしている。ICT資産を運用・管理する労力・コストの削減に寄与する「PITマネージドサービス」やベンダーファイナンスの取り組みを実施し、NECとの戦略的なパートナーシップの推進や、ICTの取扱に知見のある同社ならではのサービスを展開している。

また、リサ・パートナーズが組成・運営する「リサ・コーポレート・ソリューション・ファンド」は、事業承継や企業再生、成長支援、株式公開支援、MBO支援等のニーズに対してソリューションを提供し、投資先の企業価値向上を目指すプライベート・エクイティ・ファンド(PEファンド)の取り組みを行っている。その他、SMBCベンチャーキャピタル(株)と共同運用する「イノベーティブ・ベンチャーファンド」や(株)ベンチャーラボインベストメントの協力を得て「価値共創ベンチャーファンド」を立ち上げており、テクノロジー系ベンチャー企業等への投資・支援に取り組んでいる。

(2) 新事業

エネルギー、観光、農業、ヘルスケアの4分野で、新たな取り組みを進めている。

エネルギーについては、地域新電力会社の設立や再生可能エネルギーへの投融資を推進している。2015年に「エネルギーの地産地消」をコンセプトに、静岡県浜松市に官民連携で新電力会社を設立した。再生可能エネルギーの普及を促進し、環境に配慮した「スマートシティ」実現に向けて同事業の構想段階から参画している。このプロジェクトによって地方自治体との連携事業モデルが加わり、様々なエネルギー領域への取り組みを加速させている。

観光については、2017年3月に(株)山形県観光物産会館等が発起人として設立を進めた「おもてなし山形(株)」に資本参加したことをはじめ、複数の地域で取り組みを進めている。資金を提供(出資)するだけでなく、事業に直接参加し、地域の観光資源を活かし観光地としての価値向上を目指して取り組む。最適なサービス提供のために最適なプレイヤーと柔軟にチームを組成して対応できる点が強みとなる。様々な地域が抱える課題の解決に貢献できるものと考えており、「地域まちづくり」の先行事例作りに邁進している。

農業については、働き手の高齢化・後継者不足や減反政策等による耕作放棄地の増加といった農業を取り巻く社会課題解決の取り組みを実施している。2016年8月、共同出資による農地所有適格法人「(株)みらい共創ファーム秋田」を、秋田県大潟村に設立した。遊休農地や未利用地を活用したコメ作りを行うほか、農作業の受託や農作物の販売等、6次産業化(農林水産物の生産にとどまらず、それらを原材料とした加工食品の製造や販売等に一体で取り組むこと)を視野に入れた効率的で収益性の高い大規模営農モデルの確立を目指している。

ヘルスケアについては、(株)三井住友銀行及びシップヘルスケアホールディングス<3360>と共同でヘルスケアアセットマネジメント(株)を設立した。高齢社会に不可欠なヘルスケア領域のインフラづくりの一翼を担うことを目的としている。ヘルスケアアセットマネジメントが運用を委託されているヘルスケア&メディカル投資法人は、2015年3月にJ-REITに上場した。ヘルスケアREITに組み込まれる前のヘルスケア施設を一時保有する(ウエアハウジング)等を通じてREITの成長を支援している。

(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)

《AS》

提供:フィスコ

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