レーバーデー明け後のセンチメント変化に注意、警告サインが点滅し始めた米国市場<東条麻衣子の株式注意情報>

市況
2021年9月1日 20時00分

本コラムでは、米ナスダックの騰落レシオ(5日)が売られ過ぎ水準(70割れ)に達すると同指数が反発をみせてきたことを度々指摘してきた(下記の参考記事を参照)。

▼参考記事

リバランスが重しとなる東京市場、月末に向け軟調に推移か?(3月11日配信)

MSCI入れ替えで資金流出リスク、5月末にかけて警戒を要するか?(5月19日配信)

直近でもナスダックの騰落レシオ(5日)は、8月18日に70を下回ると、19日に51.150で底を打ち、足元は30日の128.568まで水準を戻している。ナスダックも歩調を合わせるように19日の1万4423ポイントで底を打って切り返し、30日には1万5288ポイントと最高値を更新している。(8月31日午前11時現在)

このように米国株式市場は上昇基調を維持しているが、短期騰落レシオの動きに即して推移している。筆者は現在の米国市場は流入する短期資金が突き動かしているとみているが、短期資金によって押し上げられる相場は脆さを秘めていることには警戒しておきたい。

特に上値が重く、買い材料に乏しい東京市場では、米国株式市場が調整局面を迎えるとその影響が直撃し、米国市場以上に大きく下落することもあり得るだけに、注意したいところだろう。

そこで今回は、米国株式市場が目先の高値を付ける際に発するサインについて触れておこうと思う。

■騰落レシオ(5日)と株式市場

筆者の携わる「株式注意情報」では、毎営業日にNYダウ、ナスダック100、NYダウ輸送株20種など、米国だけで10指数もの騰落レシオを配信しているが、本年になってそのうち5指数以上の騰落レシオ(5日)が買われすぎ(120超え)水準となった日が6日以上連続した期間は以下の通りである。

(1)1月6日~1月14日(7営業日連続)

(2)2月3日~2月12日(8営業日連続)

(3)3月10日~3月17日(6営業日連続)

(4)3月31日~4月9日(7営業日連続)

この期間とその後の株式市場の動きをみると、ナスダック、日経平均株価ともに「120超え」を続けている間は上昇基調にあるが、連続記録がストップした前後もしくは数日以内に直近高値を付け、記録のストップから遅くとも2週間以内に調整していることがわかる。

8月30日の終値時点で、米国株式市場の5指数以上が「120超」である状態は4営業日連続となっている。上記の(1)~(4)の事例をみる限り、あと2~4営業日この状況が続くのならば、今回も近く調整局面を迎える可能性があるのではないか。

■直近注意すべきスケジュール

直近注意を払うべきスケジューとしては、9月3日(金)の米雇用統計の発表、6日(月)の米レーバーデーがある。

米国では雇用統計発表明けの9月6日(月)はレーバーデーで休場となるが、米国株式市場は『レーバーデー明けはセンチメントが変わりやすい』とされる。レーバーデー明けにIPOや公募増資などが一斉に動き出すことで需給が崩れ、物色対象や方向性が変わることが多いとわれているのだ。

騰落レシオ(5日)が示す高値警戒域サイン(6営業日以上)が今回も点灯するならば、調整局面入りするタイミングは米雇用統計の発表前後から2週間程度の時間帯と考えられ、レーバー明けの潮目の変化を示唆するアノマリーとも重なる。

もちろんこれが杞憂に終わり、あるいは仮に調整があったとしても長期投資であれば問題のない程度で済む可能性もあるが、長期上昇相場の終焉が意識されつつある米国市場を筆頭とした株式市場の調整にはそろそろ注意した方がよいのではないだろうか。

◆東条麻衣子

株式注意情報.jpを主宰。投資家に対し、株式投資に関する注意すべき情報や懸念材料を発信します。

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