S&P500 月例レポート ― 9月不振のアノマリーの罠、一段の調整も (3) ―

市況
2021年10月14日 13時31分

●IPOおよび「空箱」SPAC

○眼鏡ブランドのウォービー・パーカー<WRBY>は、1株当たり40ドルでニューヨーク証券取引所に直接上場しました。初値は54.49ドル、一時54.74ドルまで上昇しましたが、53.05ドルで月末を迎えました。時価総額は40億ドルです。

○今後も活発なIPOが見込まれます:

⇒地域SNSを運営するネクストドアはコスラ・ベンチャーズが運用するSPAC(特別買収目的会社)との合併を通じて上場を計画しており、企業評価額を43億ドルと見込んでいます。

⇒デジタル貯蓄・投資アプリ「Acorns(エイコーンズ)」を運営するエイコーンズ・グロウ(Acorns Grow Inc.)はSPAC経由での上場を計画しており、企業評価額を22億ドルと見込んでいます。

⇒イスラエルのデジタル取引プラットフォームのイートロ(eToro Group Ltd)はSPAC(フィンテック・アクイジション・コープV:FinTech Acquisition Corp. V)経由で上場すると発表しました。時価総額100億ドルを見込んでいます。

⇒東南アジアでライドシェア、フードデリバリー、送金のアプリを運営しているグラブ・ホールディングス(Grab Holdings)はSPAC経由で上場することを発表し、企業評価額を400億ドルと予想しています。

⇒シェアオフィス大手のウィーワーク(WeWork)が再び上場を計画しており、上場時の企業評価額として90億ドルを見込んでいます。これに対して、パンデミックにより労働環境が変化するよりかなり前の2019年の評価額は470億ドルでした。

●企業業績

○2021年第2四半期の決算シーズンが終わり、S&P 500指数構成銘柄のうち利益が予想を上回ったのは431銘柄(86.2%)、予想を下回ったのは53銘柄、予想通りだったのは16銘柄となりました。また、売上高に関しては、436銘柄(87.4%)で予想を上回りました。2021年第2四半期の営業利益は最高益を更新し、それまでの過去最高だった2021年第1四半期から9.7%の増益、2020年第2四半期からは94.2%の増益となりました。注意すべき点として、第2四半期の営業利益は2021年6月30日時点の予想を17.8%上回りました。

⇒2021年第3四半期については、過去最高益を記録した第2四半期から7.2%の減益が予想されていますが、S&P 500指数の歴史において、第2位となる見通しです。

⇒2021年通年については過去最高益を更新する見通しで、2020年比で62.0%の増益が見込まれており、2021年の予想PERは21.9倍となっています。

⇒2022年は2021年比でさらに9.7%の増益と、再度の最高益更新が見込まれており、2022年の予想PERは19.9倍となっています。

⇒2021年第2四半期の決算発表を終えた銘柄のうち、株式数の減少によってEPSが大きく押し上げられた銘柄の割合は5.4%となりました(2021年第1四半期は5.8%、2020年第2四半期は17.8%、2019年第2四半期は24.2%)。

●個別銘柄

○アルファベットA<GOOGL>のインターネット検索・広告部門のグーグル(Google)は、ニューヨーク市のオフィスビルを21億ドルで購入すると発表しました(米証券取引委員会に提出された2021年6月30日時点の報告書によれば、同社は560億ドル相当の土地と建物を保有しています)。

○自動車メーカーのフォード・モーター<F>は電気自動車プログラムを加速し、電池工場を3ヵ所(ケンタッキー州とテネシー州)に新設し、1万1000人を新規雇用し、70億ドルを投資する計画を明らかにしました。

○S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスは、IT・ソフトウェア持株会社のセリディアンHCMホールディング<CDAY>、保険会社のブラウン&ブラウン<BRO>、婚活サイト運営企業のマッチ・グループ<MTCH>をS&P 500指数に採用し、保険持株会社のユーナム・グループ<UNM>、石油・ガスの掘削・生産機器メーカーのNOV Inc.<NOV>、製薬大手のペリゴ<PRGO>を同指数から除外しました。

●注目点

○半導体メーカーのインテル<INTC>は、950億ドルを投じて欧州に各種製品の生産拠点を新設する計画を発表しました。

○米国10年国債利回りは、8月末の1.32%から1.49%に上昇して月を終えました(2020年末は0.92%、2019年末は1.92%、2018年末は2.69%、2017年末は2.41%)。30年国債利回りは8月末の1.94%から2.04%に上昇して取引を終えました(同1.65%、同2.30%、同3.02%、同3.05%)。

○英ポンドは8月末の1ポンド=1.3744ドルから1.3472ドルに下落し(同1.3673ドル、同1.3253ドル、同1.2754ドル、同1.3498ドル)、ユーロは8月末の1ユーロ=1.1806ドルから1.1577ドルに下落しました(同1.2182ドル、同1.1172ドル、同1.1461ドル、同1.2000ドル)。円は8月末の1ドル=110.14円から111.44円に下落し(同103.24円、同108.76円、同109.58円、同112.68円)、人民元は8月末の1ドル=6.4607元から6.4465元に上昇しました(同6.5330元、同6.9633元、同6.8785元、同6.5030元)。

○原油価格は8月末の1バレル=68.60ドルから75.26ドルに上昇して月を終えました(同48.42ドル、同61.21ドル、同45.81ドル、同60.09ドル)。米国のガソリン価格(EIAによる全等級)は、8月末の1ガロン=3.237ドルから3.271ドルに上昇して月末を迎えました(同2.330ドル、同2.658ドル、同2.358ドル、同2.589ドル)。

○金価格は8月末の1トロイオンス=1815.80ドルから下落して1755.50ドルで月の取引を終えました(同1901.60ドル、同1520.00ドル、同1284.70ドル、同1305.00ドル)。

○VIX恐怖指数は8月末の16.48から23.14に上昇して月を終えました。月中の最高は28.79、最低は15.68でした(同22.75、同13.78、同16.12、同11.05)。

⇒同指数の2020年の最高は85.47、最低は11.75でした。

※「9月不振のアノマリーの罠、一段の調整も (4)」へ続く

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