明日の株式相場に向けて=ポストFRONTEOは?「AI関連」に輝き

市況
2021年11月18日 17時00分

きょう(18日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比89円安の2万9598円と続落。後場終盤、あす閣議決定される経済対策の規模がおよそ56兆円になるとの報道にAIアルゴリズムが反応し、先物主導でわずかの時間だがプラス圏に浮上する場面もあった。しかし、その後は再びマイナス圏に押し戻され、実需買いがついてこない今の地合いを反映した。目先の相場は調整のリズムに入っているようだ。経済対策発表で相場の流れが一変するかどうか。きょうの値動きを見る限り、過度な期待はしにくい。

個別株も半導体関連株が目先一服したことで、全体相場は退潮ムードで銘柄選別がやや難しくなっている。もちろん、半導体関連、特に製造装置周辺の中小型株は中長期的に注目であり、テンバガーが相次ぐ可能性を秘める。今後しばらくは、経済安全保障の観点からサプライチェーンリスク解消という錦の御旗を掲げ、半導体設備関連は構造的な需要拡大が見込まれる。米中対立という政治的なパワーバランスが働き、こう言うと語弊があるかもしれないが、過剰投資は承知の上。言い換えれば「半導体製造装置バブル」形成の道筋に入ったといえるかもしれない。最先端半導体分野では更にその色が濃くなるだろう。これはコロナ禍を理由にFRBやECB、あるいは欧米政府が結果的に過剰となるのを分かったうえで流動性を供給したこと、つまりコロナバブルにも似た構図だ。

もっとも株式投資の観点では、常に上がり続ける株はなく“休養”も必要となる。半導体関連も主力どころの上げが一巡すれば、全体相場の潮の流れも変わりやすく、無理な追撃は避ける。短期トレードの時間軸では、マーケットは常に新鮮さを求める。矛先が変わるとすれば、ソフト分野の銘柄で、例えばDX投資需要を背景に業績を伸ばし、現実買いの領域に入ってきた「人工知能(AI)関連」の銘柄群が有力。直近では岸田政権が経済安全保障にかかわる先端技術への5000億円の資金支援で、AI技術や蓄電池、量子分野などを念頭に置いていることを明示しており、これが物色人気を後押しする。

AIテーマ買いの先導役となっているのはFRONTEO<2158>。人工知能(AI)分野に傾注し、その知見を武器にリーガルテックAI事業を手掛ける。またこれを横展開して医療AIなどライフサイエンス分野などの新境地開拓にも余念がなく、株価は文字通り大化けを果たした。株価4300円台のFRONTEOのPERは150倍でこれを現実買いと呼ぶのは憚(はばか)られるが、ファンドの組み入れなど実需買いがあったからこそ今の株価がある。昨年の3月、コロナショックによる急落時に同社株は何と150円台だった。既に「テンバガー」は、はるか後方に見える一里塚である。

同社株をここから追撃して買うよりは、ポストFRONTEO候補を探す方が実践的である。最近ではAI関連の雄、ブレインパッド<3655>が大きく動意づき、足もとでは調整を入れているものの今週16日に7180円まで駆け上がり2年ぶり高値を形成した。業績成長が著しいビッグデータ分析・AI開発のALBERT<3906>もここ動意含みの動きをみせている。そして、目先脚光を浴びているのはホットリンク<3680>だ。ビッグデータ解析ツールを活用したマーケティング支援を展開、前週末12日に21年12月期の最終利益を従来予想の1億6700万円から5億6600万円(前期実績は1800万円)に大幅増額しサプライズを誘った。株価は今週明けから急騰開始、きょうまでの4営業日で3回のストップ高を交え、高値959円まで買われる人気となった。4営業日で株価を65%も切り上げる鮮烈な上昇パフォーマンスである。

これらに続く銘柄を探す動きが活発化しそうだ。半導体製造装置関連同様に裾野は広いが、AI・IoT・次世代ブロックチェーンなど、先進技術を駆使した経営を標榜するアステリア<3853>をマーク。22年3月期上期(21年4~9月)営業利益は前年同期比2.6倍の8億6200万円で対通期進捗率は86%と高い。また、フィックスターズ<3687>も大底圏で動意含みだ。量子コンピューターなど次世代コンピューティング分野で先行し、AIコードレビューソフトにも注力。富士通<6702>、理化学研究所などとスパコン「富岳」で共同研究を進めるなど、Fスターズがこの道の権威であることを認識させる。

あすのスケジュールでは、10月の全国消費者物価指数(CPI)が朝方取引開始前に総務省から発表される。また、東証マザーズ市場にAB&Company<9251>が新規上場する。なお、インド市場は休場となる。(銀)

出所:MINKABU PRESS

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