【北浜流一郎のズバリ株先見!】 ─株高要因として円安メリットを見直しへ!
「株高要因として円安メリットを見直しへ!」
●ビッグ・テックの決算通過・円安で連休明け後に期待
円相場が対ドルで130円に入った。日銀が金融政策決定会合で、大規模な金融緩和を維持する方針を決めたことを受けた市場の反応だ。28日公表の経済・物価展望リポートでは2022年度の物価上昇率見通しを従来の1.1%から1.9%に引き上げたものの、日銀は物価上昇を一時的なものと見て、経済の失速を避けるべく緩和を続ける姿勢を明確にした形だ。
円の下落に対して、このところ市場はインフレを助長する要因として否定的だった。確かに、穀物や資源・エネルギー、素材、そのほか諸々の原材料価格が上昇する一方、企業がそれをそのまま価格転嫁するのは困難だからだ。
それでも日銀が大規模金融緩和を継続する姿勢を変えないのは、日本経済全体を考えた場合、金利上昇や輸出減少の方がマイナス影響が大きいとの判断になったのだろう。
頼りの中国経済がただでさえ減速基調で推移していることに加え、主要都市がロックダウン(都市封鎖)中であることなどを考えると、日本の輸出減は避けられないと見るのが自然でもある。
東京市場もようやくそれに気づいたようで、連休前の28日は、円が1ドル=130円台に入ったにも関わらず、日経平均株価は461円高で引けた。大型連休を控えているため続落しても、あるいは反発したとしても形ばかりの小幅高でおかしくなかったのだが、大幅に反発したのは日銀の緩和姿勢の継続と円安を歓迎したからだと見てよい。
それに、米国のGAFAM(アルファベットC<GOOG>、アマゾン・ドット・コム<AMZN>、メタ・プラットフォームズ<FB>、アップル<AAPL>、マイクロソフト<MSFT>)各社の四半期決算の発表は29日までに終わった。
これは率直に言って有り難い。国内企業の決算発表は、その直後に下げても他銘柄への影響はごくわずかであるのに対し、GAFAMのそれはテック関連株のほとんどに影響してしまうため、結果が出るまでは下手に動けなかった。
しかし、これらビッグ・テックの発表は終わったのだ。日本のハイテク株も連休明けは動きやすくなると見てよい。しかも、円安だ。それによる収益押し上げは市場では「単に円安によるもの」と軽く扱われがちだが、円高で収益が悪化する場合には大きなマイナス要因とされるのだから、実際のところ円安メリットは経営を強力に助けることになり、株高要因にもなる。
●今週は“無難策”で対応も、個別有望株にも目配り
ただ、残念ながら目先は連休であり、東京市場は5月2日(月)の稼働日を挟み3~5日は休場となる。週末6日(金)は平常通り売買が可能だが、正直気合が入りにくい。本格的に投資に取り組めるのは実質連休明けの9日以降となるため、今週は“無難策”で臨みたい。日経平均採用銘柄の25日移動平均線割れからの反発狙いがお勧めで、具体的な銘柄としてはNTTデータ <9613> [東証P] になる。通信システムサービスで圧倒的な信頼性を誇り、省庁・金融機関との関係が緊密であり、DX(デジタルトランスフォーメーション)事業は今後も拡大が必至だ。
個別物色の候補としては、フィリピンの通信インフラに強く、特に国際回線サービスで圧倒的な強みを持つアイ・ピー・エス <4390> [東証P] も、今後の事業発展が見込める企業になる。
循環器治療のPTCAガイドワイヤに強く、収益力には問題はないにもかかわらず、最近株価が大きく売り込まれた朝日インテック <7747> [東証P] も見直しの兆しが見えている。急がない投資には拾いどころに見える。
今後夏に向かうことを考えると、蚊やゴキブリの出現が気になるので、アース製薬 <4985> [東証P] も魅力的だ。
ネットセキュリティサービスで世界首位級のトレンドマイクロ <4704> [東証P]も、今後ニーズが増加することはあっても減少は考えられないため、株価も着実高が見込める。
連休中だけに限らないが、コロナの感染拡大が止まりつつあることから、旅行や遊びに出かける人が多くなることはまず間違いない。当然、パチスロやゲームを楽しむ人もどんどん増える。こう見てよいため、セガサミーホールディングス <6460> [東証P]も今後が楽しみな銘柄となる。
最後にすでに高値圏となっているものの、JUKI <6440> [東証P] を紹介したい。同社の想定為替レートは1ドル=105円。現在、円は130円前後。ということは、円安メリット大となる……。
2022年4月28日 記
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株探ニュース