明日の株式相場に向けて=決算発表の狭間で「中古車関連」再動意

市況
2022年8月1日 17時00分

名実ともに8月相場入りとなった1日の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比191円高の2万7993円と反発。終値で約2カ月ぶりの高値水準に達した。2万8000円大台にこそ届かなかったが、猛スピードでドル円相場のアンワインドが進むなか、日経平均は想定以上に底堅い動きだったといってよい。ひとことで言えば、きょうのところは前週末の欧米株高に追随したということになるが、それも含めて今の世界株高は何を意味しているのか。東京市場では月初でリバランスの買いが入ったという株式需給面の効果も考慮される。ただ、現在の環境下で上値を指向できる理由について明確な答えは見つかりにくい。

米国ではリセッション懸念は早くから取り沙汰されているが、それと表裏一体となっているFRBの金融引き締め思惑については、リセッションの兆しが見える以上は利上げのピッチが弱まるというロジックで、投資マインドが強気に傾いている。ただしこれは非常に心許ない部分もある。天使と悪魔が表裏一体のカードでどちらが上でどちらが下になるかの違い。一夜にして入れ替わることに理屈はいらない。

個別株物色は企業の決算発表たけなわで、決算跨ぎの売り買いはよほど手慣れてないと怪我をしやすい。また、決算発表直後に好調銘柄を買い不調銘柄を売る“決算プレー”にも短期投資家の関心は高いが、例えばマドを開けて値を飛ばすギャップアップ銘柄を追って、寄り付きを拾った後、秒で売り場を考えるようなトレードはなかなか上手くいくものではない。好決算を発表した企業についてはしっかりとチェックしたうえで、チャートが落ち着いたところで改めてファンダメンタルズと株価を照らし合わせ、上値が期待できるとみれば買い出動するというのが、いわゆる正攻法というものだ。しかし、決算発表といっても四半期決算であれば、本来それほど血まなこになる必要もないはずだ。少なくとも以前はAIアルゴリズムの介入が今ほどではなく、そこまで投資マインドや投資行動を振り回すようなことはなかった。本決算のように次期の見通しを発表するわけでもなく、ましてや3月決算企業にすれば第1四半期の数字を示すに過ぎないわけで、これに特化した視線はむしろチャンスを逃しやすい。同時進行する相場の有望テーマを見失うからだ。決算発表時期にあっても、企業の業績数字とは直接関係のないテーマ買いの轍(わだち)がマーケットにはしっかりと刻まれている。それを見逃さないことも大切だ。

例えば今なら中古車 関連や米アマゾン関連に投資マネーが誘引されている。中古車販売については引き続き好調だが、今は第2ステージ。市場関係者によると「これまでのスカイラインGT-Rの高騰にみられるマニア人気はもとより、最近は市販される新車よりも中古車の方が高くなるようなケースが増えている。例えばカローラクロスなどで新車と中古車の価格が逆転している。これは株式市場でも静かなテーマとなっている」(中堅証券ストラテジスト)とする。その典型はIDOM<7599>で、きょうは1月17日につけた813円を上抜き新高値に買われた。ケーユーホールディングス<9856>も高値圏で強調展開だ。

こうなると早晩、物色資金の流れは横にも波及する公算が大きい。アップルインターナショナル<2788>、カーチスホールディングス<7602>などはいずれも株価が200円台で、目先低位株人気も考慮したうえで注目度が高まる可能性もある。

一方、決算好調なアマゾン<AMZN>が東京市場でも存在感を大きくしている。直近ではアマゾンジャパンが、国内18カ所に配送拠点を新設すると発表。これにより、700万点以上の商品の翌日配送が可能になるという。関連企業ではファイズホールディングス<9325>が目を見張る上昇で一気に4ケタ大台まで駆け上がった。このほか丸和運輸機関<9090>や、商いは薄いが遠州トラック<9057>などが動兆しきり。段ボール最大手のレンゴー<3941>などにも特需が及びそうだ。ただし、決算絡みの銘柄については、注意が必要なことは言うまでもない。丸和運輸機関<9090>はきょう決算発表が行われている。

あすのスケジュールでは、7月のマネタリーベース、7月の財政資金対民間収支など。またIPOが1社予定されており、東証スタンダード市場に日本ビジネスシステムズ<5036>が新規上場する。海外では豪中銀による政策金利発表など。なお、国内主要企業の決算発表では、イビデン<4062>、ダイキン工業<6367>、三井物産<8031>、三菱商事<8058>、三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306>などがある。(銀)

出所:MINKABU PRESS

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