米国株式市場見通し:CPIや中間選挙に注目
中間選挙や10月月消費者物価指数(CPI)に注目だ。11月FOMCの声明では、一部メンバーの利上げペースへの懸念を反映し、利上げ減速も選択肢になるような文言が加えられた。しかし、パウエル議長は依然、高インフレ対処の政策を緩める姿勢を見せていない。過剰な利上げによる景気減速は懸念されるものの、利上げを躊躇するとインフレの定着に繋がりかねないとし、過剰な利上げの方がコストが少ないと考えている。ピーク金利も従来想定されていた水準を上回ると言及し、短期金融市場では来年のピーク金利5%台を織り込み始めている。こうした中、CPIは前年比で8%増、コアでも6.6%増と、FRBのインフレ目標の2%を依然大幅に上回る見通し。結果が予想をさらに上回ると、金利先高観が一段と強まり売り圧力になりそうだ。
一方で、中間選挙では、エネルギー価格の高騰や高インフレ、リセッション懸念が強まる中、経済対策が有権者の重要な注目点となっており、共和党が優勢と見られている。下院だけでなく、万が一、上下院両院とも共和党が過半数獲得に成功した場合、債務上限問題などの懸念に繋がる可能性はあるが、民主党の大統領の権力が分散することになり、極端な政策に傾斜するリスクが減るため、株式相場にとり上昇要因になる可能性もある。また、季節的な悪材料がなくなり、選挙終了とともに不透明感も払しょくするため、上昇基調に転じる可能性が十分にありそうだ。過去に中間選挙後の相場がマイナスリターンとなったケースがないことも、買い材料となるだろう。ただ、過去に例のない大幅利上げが実施されている最中で、景気後退の確率が上昇していることもあり、選挙後も相場が回復しない例外ケースに繋がる恐れも排除できず注目したい。
世論調査の結果では、下院は共和党が再び過半数を奪還すると見られている。上院では接戦が予想されており、特にペンシルベニア州などはすでに結果判明が数週間先になる可能性にも言及しており、混乱が予想されることはリスクだ。また、想定外に、上下院とも民主党が勝利した場合は一段のインフレ高進のリスクが高まり、売り材料になるだろう。
経済指標では、9月卸売売上高(9日)、10月消費者物価指数(CPI)、週次新規失業保険申請件数(10日)、11月ミシガン大消費者信頼感指数(11日)などが発表予定。8日には中間選挙が実施される。
主要企業決算では、保険のバークシャーハサウエイ(5日)、ゲーム開発のアクティビジョン・ブリザード、配車サービスのリフト(7日)、エンターテインメントのウォルト・ディズニー、化粧品メーカーのコティ(8日)、カジノ経営のウィン・リゾーツ、住宅建設のDRホートン(9日)のほか、エネルギー関連では、ダイヤモンドバック・エナジー(7日)、資源会社のオキシデンタル・ペトロリアム(8日)が決算を発表する。衣料品メーカーのタペストリーや高級衣料ブランドのラルフローレン、食品のUTZブランズ(10日)なども発表予定となっている。
ディズニーの決算では動画配信サービス・ディズ二?プラスの契約者の伸びが拡大すると期待されている。テーマパークでは、中国の都市封鎖による影響には警戒だ。短文投稿サイトのツイッターは、電気自動車メーカーテスラのマスクCEOによる買収を受けて8日にNY証券取引所で上場廃止される。
また、12日には中国でシングルズデーが開催される。国内の小売セクターにポジティブに作用するかどうか注目したい。
(Horiko Capital Management LLC)
《FA》